日本が世界に誇るアクションホラーゲームの名作「バイオハザード」シリーズ。その最新作となる『バイオハザード5』が、Xbox 360とプレイステーション 3の両方でカプコンよりリリースされた。久々な国産ビッグタイトルということもあって本体とともに好調に売れている様子だ。

「バイオハザード」シリーズと言えば初代プレイステーションからの古参ゲーマーなら知らない人はいないであろう人気シリーズだが、最近のゲームファンにとっては少々なじみが薄いかもしれないし、諸事情でしばらくゲームから離れていた出戻りゲーマーにとっては、久しぶりのバイオハザード……ということもあるかもしれない。今回のレビューでは、この『バイオハザード5』のバックグラウンドを整理するとともに、最新作ならではの面白さを紹介していきたいと思う。

『バイオハザード5』のパッケージ。左がXbox 360版で右がPS3版


「バイオハザード」とは?
~バイオハザード・シリーズをおさらいしよう~

「バイオハザード」シリーズはカプコンが初代プレイステーション向けに1996年にリリースした作品が第一作目だ。アメリカの架空都市ラクーンシティの郊外で正体不明の失踪事件や殺人事件が続出。ラクーン警察は特殊部隊S.T.A.R.S.(Special Tactics And Rescue Service)チームを派遣する。正体不明の敵に襲われた捜査隊は不気味な洋館に逃れるが、ここでさらなる恐怖体験を味わうことになる。洋館での調査を進めていくうちに、今回の猟奇的事件と襲い来るモンスターの出現には、「アンブレラ」という巨大製薬会社が関係していることが分かってくる。ゲーム中盤以降のホラーからSF的な描写が多くなる意外性、パズルとアクションを絶妙に織り交ぜた個性的なゲーム性、そしてハードコアなストーリー展開と熱いキャラクター描写が高い評価を受け、初代『バイオハザード』はサバイバルホラーというジャンルを確立した。このときの主人公はチーム・メンバーであるクリス・レッドフィールドとジル・バレンタイン、レベッカ・チェンバースの3人で、このうち前者2名は今作『バイオハザード5』のストーリーにも大きく関係している。なお、今からプレイするのであればグラフィックスが強化されてリメイクされたWii版(元はゲームキューブ版)がオススメだ。

続く『バイオハザード2』は、1998年に、やはりPS向けとしてリリースされた。アンブレラの引き起こしたバイオハザードがラクーンシティ全域に及んだという設定の下、不幸な配属初日を迎えた新米警官レオン・S・ケネディと、兄を捜しに町に紛れ込んだ『1』の主人公の妹クレア・レッドフィールドの2名が、ラクーンシティからの脱出を目指すストーリーになっている。『2』は押し寄せるゾンビを撃退していくことにやや重きを置いた感があり、恐怖よりもスリルにフォーカスした作品となった。また、アンブレラという製薬会社の狂気がより明確に描かれ、大体、筆者を含むこの頃のファンたちは、「バイオハザード」シリーズが巨大なサーガに育っていくことを確信したのだった。

ゲームキューブ版の『バイオハザード』

プレイステーション向けの『バイオハザード2』。待望の続編として登場した

『バイオハザード3』は1999年に、こちらもPS向けにリリースされる。時間軸的に『2』とほぼ同じで、新しい主人公とシチュエーションでのラクーンシティ脱出を目指す内容となっている。主人公は『1』のジル・バレンタインとアンブレラの私設部隊のカルロス・オリヴェイラ。アンブレラの生物兵器が総登場し、「バイオハザード」の世界観を深く掘り下げる役割を果たした作品となった。

『バイオハザード4』は、まず2005年にゲームキューブ向けにリリースされ、のちにプレイステーション 2版が発売された作品だ。ラクーンシティの事件後、アンブレラの"闇"が世間に知られることとなり、アンブレラは崩壊してしまう。『2』の主人公だったレオン・S・ケネディはアメリカ合衆国の秘密エージェントになっており、大統領令嬢の警護につく予定だったが、その前に何者かに彼女が誘拐されてしまうという事件が起こった。少ない手がかりを追ってレオンはヨーロッパのとある山村にたどり着くが、そこでラクーンシティのバイオハザードに酷似した狂気の事件に遭遇する。なお、今からプレイするのであれば、『バイオハザード4 Wiiエディション』(元はゲームキューブ版)をオススメしたい。

『3』の発売から間が空いたこともあって、世界観は同一とするも、『4』はゲームシステムに大幅な変化が与えられた。ある意味、「バイオハザード」のリニューアル版とも言える仕上がりとなっている。これまで三人称俯瞰視点だった作風が、後方視点のTPS(三人称シューティングゲーム)スタイルに近く変更されたのだ。ちなみに、この『4』スタイルは『5』にも継承された。

こちらもプレイステーション向けの『バイオハザード3』。時系列はほぼ『2』と同じ

『バイオハザード4』は当初ゲームキューブ専用タイトルとしてリリースされたが、のちにPS2版もリリースされる

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