印字速度は、公称で「データ転送から共有まで55秒/枚」となっている。実際にいくつかのパターンで測定してみた。以下は、CoolPix S620で記録画素数を変えて撮影した同一被写体の写真を印字するのに要した時間である。カッコ内はデータ転送に要した時間である。
4000×3000ドット/1200万画素、3,949KB | 76秒(30秒) |
3264×2448ドット/800万画素、1,546KB | 73秒(26秒) |
2592×1944ドット/500万画素、1,020KB | 71秒(24秒) |
2048×1536ドット/300万画素、636KB | 70秒(23秒) |
1024×768ドット/130万画素、178KB | 68秒(20秒) |
640×480ドット/30万画素、78KB | 59秒(12秒) |
データ転送に要する時間はファイルサイズにもよるわけで、画素数が多い写真ファイルほど時間が長くなるのは当然である。一方で、データを受け取ってから印刷が完了するまでの時間は46~48秒程度で安定しており、こちらはほとんど画素数による影響を受けていないことが分かる。転送に要する時間は電波状態の影響などもあってか、多少前後することがあったが、最大でも1分半程度を見ておけば印刷は完了する状況だった。
価格は用紙24枚込みで12,800円となっており、すでに発売されているZINKペーパーを用いた機器に比べて割安感は際だっている。さらに、今回のテストではピンクを用いているが、ほかにブルーとブラックの計3色がラインナップされる。割安感やカラーバリエーションモデルの存在は、手軽に使うモバイルプリンタとしては大きな意味のあるものといえる。
写真を印刷する製品としては、いかにも新しいテクノロジーを使った初期段階の製品という感があり、現時点では、こうした一風変わった製品を楽しめるユーザー向けという印象は否めない。だが、それだけにZINKペーパーというテクノロジとは無関係な部分も含めてブラッシュアップの余地があるように感じられるのも事実だ。インク不要というほかのテクノロジにはない絶対的な優位性があるわけで、今後の進化に期待したい。