立体的なデザインが業界トレンドの一傾向に

近年の高級ウォッチのトレンドとして、スイスの時計メーカー「ゼニス」が文字盤の切り欠き部からムーブメントの一部を見せたり、「リシャール・ミル」のように内部の多層構造が見えるシースルー仕様をリリースするケースが増えてきている。こうした傾向が進み、文字盤を2層3層と多層構造にして、その一部を切り欠き、立体ダイヤル、3Dダイヤルと表現するケースも見られるようになった。

こうした観点から、多層ダイヤルに切り欠き部を設け、奥行きのあるデザイン性を強調したカシオ計算機の「EDIFICE」ブランドは、時代に即したものといえるのではないだろうか。また、中価格帯モデルに力を注ぎ、レトロデザインの復刻で巻き返しを図るオリエント時計も、「Mode ID」においてダイヤル切り欠き部から機械式ムーブメントの一部を見せている。今秋発売予定の、イタリアのロードバイクをモチーフとした「オリエントスター・レトロフューチャー」では、重なり合うギアをイメージした立体感のある構造自体がダイヤルで表現されている。

独自の最先端技術を打ち出したセイコー、シチズン

一方のセイコーウオッチ、シチズン時計は、「モノ作り」という本質から目をそらさず、独自の最先端ハイテク技術を惜しげもなく投下しつつも、現在の金融情勢、市場動向を読み、手が届きやすいリーズナブル価格を実現したニューモデルを発表している。

シチズン時計のワールドタイムクロノグラフ「アテッサ ジェットセッター"ダイレクトフライト"」は、リュウズを引き出し、時刻あわせのような感覚によりワールドタイム(世界時計)機能が操作できるようになっている。数カ国をまわる際、それぞれの国ごとのローカルタイムへの時刻修正が簡単操作で完了する。各国を飛び回るビジネスマンにも便利な機能なのではないだろうか。

また、機械式の輪列により動力を送り、時計の精度を決める制御部分を電子式とした「スプリングドライブ」という世界初の画期的なムーブメントを開発しているセイコーウオッチのブースには、同ムーブメントを採用して実際に宇宙に行き生還したコスモウォッチが展示されており、世界に誇る日本のメーカーならではの開発力の高さと将来性を雄弁に物語っていた。