中価格帯の機械式時計に特化するオリエント時計

従来より、一貫して機械式時計を商品ラインナップの軸としているオリエント時計の戦略は明確。それは、"モノ"として持つ喜びの大きい機械式時計の魅力を、幅広い層に訴求しやすい価格の商品で伝えていくというものだ。一方クォーツ時計のラインナップは、小型のレディスウォッチと外部ブランドのライセンスモデルに限定している。

オリエント時計ブース

レトロ調・アンティーク調デザインの流行が今後も当面継続すると見ており、かつて話題となったモデルの復刻版や、クラシカルなデザインを現代風にリファインしたモデルなどを集中的に投入する。同社では2月にも自動巻の入門ブランド「スリースター」で、女性向けの新シリーズ「スリースター mini」を発表しているが、レトロ感のあるケースデザインに、大胆に原色を配したダイヤルを組み合わせたモデルを用意するなどし、ファッションアイテムとしての機械式時計をアピールしている。

機械式時計は趣味性の高さから高級商品が珍重される傾向になりがちだが、同社では市場の間口を広げるため、手に取りやすい価格であることを重視している。長年蓄積してきた機械式時計のノウハウを武器に、10万円以下のラインナップでも高機能モデルを展開するなど、「中価格帯」の商品に特に力を入れているのが特徴だ。

先進技術を水平展開するカシオ

カシオ計算機はJWCには不参加だが、既報の通り同時期に新製品発表会を実施している。今回、特に幅広いモデルで搭載が強調されていたのが、世界(日本・中国・アメリカ・ドイツ・イギリス)6局の標準電波を受信可能な電波時計機能「マルチバンド6」だ。

カシオ計算機ブース

マルチバンド6は昨年3月に発表、同6月に発売された「G-SHOCK ライズマン」に初搭載された技術で、その後G-SHOCKの他シリーズや、ソーラー電波時計のハイエンドブランド「OCEANUS」などへ採用を拡大してきた。今年の春夏モデルでは、国内初投入となる「EDIFICE」ブランドや、「PROTREK」、「Baby-G」でも上位モデルを中心に搭載製品を用意し、同社の主力ブランドの多くでマルチバンド6がセールスポイントとして訴求されることになる。

世界共通を目指す「マルチバンド6」

日本国内では、電波時計は既に一定の市場規模を確立した商品となっているが、海外では電波時計発祥の地であるドイツなど一部の地域を除き、これから本格普及という段階だ。マルチバンド6を搭載していれば、世界の主要市場で共通の商品として展開することが可能となる。また、「世界6局対応」という特徴は、従来より高い技術や機能性が売り物となっているカシオ計算機のブランド力向上にも貢献する格好となる。

ソーラー電波時計は各社が揃って力を入れている商品カテゴリであるが、とりわけ機能性が高く評価されることの多い同社だけに、ブランドをまたいで先進技術を水平展開し、この分野での優位性を確かなものにしていきたい姿勢を見せている。