インテルは3日、同社最新状況を発表する恒例のアップデート会見を開催した。32nmプロセス世代までを視野に入れた最新の製品ロードマップが改めてまとめられている。今回はついに国内サービスが開始されたWiMAXも重要なキーワードだ。

不況に立ち向かう「イノベーションの継続」を強調するインテル代表取締役社長の吉田和正氏

32nmを前倒し、製品ロードマップ

既報の通り、インテルは32nmプロセスで製造される次世代プロセッサ製品への移行を前倒しで進めている。最初に登場するプロセッサは、Nehalemアーキテクチャがべースの「Westmere」(開発コードネーム)世代の製品だ。

「Tick-Tock」モデルの提唱どおりに32nmプロセスを投入。大規模投資で主力Fabの32nm化が強力に推し進められている

最初の32nm世代となる「Westmere」アーキテクチャ(右側)。Nehalemをベースに、CPUパッケージに45nmベースのグラフィックスコアを統合する

Westmere世代のアーキテクチャを採用したプロセッサとしては、デスクトップ向けデュアルコアの「Clarkdale」と、モバイル向けデュアルコアの「Arrandale」の製造が2009年中に開始される。元々は、デスクトップ向けの「Havendale」、モバイル向けの「Auburndale」という45nm世代のデュアルコアが計画されていた位置だが、それらをキャンセルがキャンセルされ、32nm世代のデュアルコアが上書きされた格好となっている。

「Clarkdale」と「Arrandale」の位置には、元々は45nmの「Havendale」と「Auburndale」が予定されていたが、これをキャンセルして32nm世代を前倒し投入する

このClarkdaleとArrandaleが、メインストリームクラスをターゲットに提供される一方、それと平行してクアッドコアの製品ではデスクトップ向けクアッドコアの「Lynnfield」、モバイル向けクアッドコアの「Clarksfield」が当初の計画通り投入される。ともに45nm世代Nehalemで、グラフィックス機能を統合していないプロセッサ。プロセスの世代としては一世代古いが、メインストリームの上のクラスにはこちらが使われるものだと考えられる。

Westmere世代の省電力機能などを解説するインテル技術本部 技術部長の土岐英秋氏

コア毎に独立した電源のオン/オフが可能に。そして消費電力を限りなくゼロに近づけるC6ステートをサポート。Westmereのデスクトップ向け、モバイル向けともに備えることになる省電力機能だ

CPU側はふた世代共存だが、以上と組み合わされるプラットフォーム側はそれぞれ共通のものが用意される。デスクトップ向けが「Piketon」ならびに「Kings Creek」と呼ばれていた「Intel 5 Series Chipset」。モバイル向けが「Calpella」と呼ばれていた「Intel 5 Series-M Chipset」だ。

チップセットはデスクトップ向けの「Intel 5 Series」とモバイル向けの「Intel 5 Series-M」。この世代からメモリコントローラや統合グラフィックスがCPU側に内蔵されることになるため、従来とは構成が大きく変わってくる

従来型のプラットフォーム構成と、Westmere世代のプラットフォーム構成の比較。チップ数が減り熱設計やサイズ面でのメリットもある

ほか、SSDに関するアップデートも紹介された。X25シリーズなど、現行の同社SSD製品では50nmプロセスに基づいたIntel NAND Flashを採用しているが、これを2009年中に34nmプロセスへと移行させる。細かな仕様等は追々公開、という段階だが、微細化により、一般的には記録容量の向上や省電力化、コストダウンといった効果が想定できる。

SSDは2009年中に製造プロセスの微細化が行われる予定。製品価格への影響もあるだろう

Centrino 2でWiMAXのサポートが本格化

先日、国内サービスが開始されたWiMAXでは、WiMAXモジュールを内蔵した「Centrino 2」モバイルPCが、7月以降に複数のメーカーから国内向けに登場する見通し。海外ではすでにはじまっていたCentrino 2のWiMAXモジュール内蔵だが、別途外付けの端末が必要無くなるため、WiMAXの普及が加速するという期待が集まっている。

UQ WiMAXがスタート。今年7月から有料サービスを開始し、2012年には人口カバー率90%以上を目標としている

WiMAXモジュールを内蔵する「Centrino 2」搭載モバイルPCの登場は7月頃と見られる。普及の起爆剤となるか?

インテルの内蔵WiMAXモジュール。すべてWiMAX/Wi-Fiのコンボモジュールで、形状やWi-Fi性能別に3製品が提供される

当日の会場ではWiMAXのライブデモなども行われた。都内各所で実際にワイヤレスブロードバンドを体験する様を紹介

なお、インテルでは同社の約200名の社員にUQコミュニケーションズのWiMAXモジュールを配布し、テストも兼ねて社内業務でのWiMAX利用を開始している。業務の生産性向上と、WiMAXを使った新たな利用モデルの考察に取り組んでいるとのこと。同社の吉田和正 代表取締役社長は、WiMAXの素晴らしさを発信できるようにしていきたいと話している。

インテル社内で約200名の社員がWiMAXの利用を開始。写真の人々はみな笑顔に見えるが、吉田社長曰く、新しいモノが好きな人間ばかりなので、嬉しくて"にやけて"いる、のだそうだ

新たな段階へ進む「Centrino 2」のプロモーション強化を説明するインテル マーケティング本部長の江田麻季子氏。おなじみの「セン"トリ"ーノ 2」の"鳥"のCMもパワーアップ

Centrino 2のアップデートではまた、ワイヤレスの新機能として「My WiFi テクノロジー」が搭載される予定だ。同機能を搭載したノートPCを"ハブ"とし、無線LANと無線PAN(Personal Area Network)を同時利用できるようにするというもの。物理的に1つの無線LANアダプタを仮想的に2つに見せることで、一方では無線LANでインターネット、もう一方では無線PANで家庭内のWi-Fi機器と接続、といった使い方ができる。Wi-Fiアライアンスで標準化された技術のみで構成されているため、追加ハードウェアは不要とされている。

提供予定の「My WiFi テクノロジー」。様々な機器とのワイヤレスでの連携がより便利に。英語サイトになってしまうが、こちらで解説のイメージデモを見ることができる