総務省の後援を受けて、モバイルコンピューティングコンソーシアム(MCPC)が実施する「MCPCケータイ実務検定」の試験が1月28日に行われた。携帯電話販売員が携帯電話の技術や販売に関する正しい知識を備えていることを認定するこの検定がどのようなものか、筆者が実際に試験してレポートする。
ケータイ実務検定の背景と目的
近年の携帯電話は、端末の機能や料金プランが複雑化している。これらの情報を消費者に対して正確に提供することが、消費者保護の観点から携帯電話販売員に求められていた。このような背景から、携帯電話販売員の検定試験を行うことに関して総務省が2008年2月に「携帯電話サービス等の販売員等に係る検定試験に対する総務省後援の運用方針」を発表した。この運用方針に基づきMCPCが実施する検定試験が「ケータイ実務検定」である。販売員が携帯電話の技術や販売に関する正しい知識を備えていることを示す「携帯電話版ソムリエ」の認定制度といえる。
ケータイ実務検定では、携帯電話の技術やサービス、料金プランや割引サービス、セキュリティや個人情報保護、消費者保護など、携帯電話を販売するにあたって必要とされる知識が幅広く問われる。検定の合格者には有効期限なしの合格証が発行されるほか、携帯電話販売に従事している合格者は、所属法人を通して有効期限2年の「ケータイアドバイザー」認定カードの発行を受けることができる。ケータイアドバイザーは、携帯電話に関する正しい説明ができる販売員であることの証しといえる。
ケータイ実務検定~試験のはじめからおわりまで
それではここから、1月28日に行われた実際の検定の様子をレポートしたい。筆者の受験会場は東京・水道橋駅そばの全水道会館であった。この会場で予定された受験者数は100名で、実際に受験したのは93名であった。
筆者も入り口で受付を済ませて会場入りする。入口に座席表が貼られており、机の上に受験番号と氏名が印刷されたシール(以下「受験者シール」と記述)が置かれていた。自分の座席を探して座り、周りを見渡すと受験者の男女比はおおむね男性9:女性1くらいで、試験が平日のためかスーツ姿の男性の姿も目立った。
午前9時40分より試験にかかわる注意事項の説明があり、机の上に置けるものや試験時間などについて説明が行われた。机の上に置けるものは受験者シール、受験票、個人証明書(免許証など)、鉛筆、消しゴム、時計のみである。
午前9時50分より問題用紙と解答用紙が配布された。解答用紙に氏名と受験番号を記入し、受験者シールを張り付け、試験開始の合図を待つ。受験が始まる前に机に置いてよいのは、問題用紙、解答用紙、鉛筆、消しゴム、時計のみだ。
午前10時に試験開始。検定は4択問題が50問、マークシート形式で出題され、検定時間は1時間。筆者は25分ほどで50問を解き終え、引き続き見直しを行う。午前10時30分以降は、途中退室が認められる。問題を解き終えた受験者が続々と途中退室し、終了時間まで残ったのは筆者を含めて10人だけであった。午前11時に試験終了。問題用紙と解答用紙の両方を回収されて試験は終わりとなる。なお、問題用紙と解答用紙の両方が回収されるため、いわゆる過去問は出回らないことになる。
問題は公式テキストから出題、難問は少ない
これから検定を受けようとする人が気になるのは試験の内容だろう。前述のとおり問題用紙が回収されるため、完全な形で過去問を紹介することはできないが、大まかな出題傾向を紹介したい。
試験は公式テキストである「モバイル基礎テキスト」から出題された。このテキストの巻末に掲載されたサンプルの試験問題とほぼ同じレベルの問題が出題されたため、受験者は一度目を通しておくとよいだろう。出題形式としては、テキストに書かれている文章の一部を空欄にして、当てはまる言葉を選択させる問題が多く出題された。選択するべき言葉はトピックごとのキーワードになっていることが多く(「一般サイト」「迷惑メール」など) 、テキストをしっかり読み込んでキーワードを理解することで対応可能と思われる。
そのほか、略語に関する出題(「FMC」など)や、数値に関する出題(MNP予約番号の有効日数など) 、説明文の内容が示すキーワードを選択させる問題(「留守番電話」や「eコマース」など)が出題され、テキストの内容についてあいまいでない理解が求められる。また、ケータイ実務検定の特徴として、セキュリティや個人情報保護、消費者保護などに関する法律に関しての出題が見られたので、テキストに登場する法律について、名前と内容の対応付けをしておくとよいだろう。
全体的には、モバイル基礎テキストの内容が素直に出題され、いわゆる「引っかけ問題」のような出題は少ないため、モバイル基礎テキスト1冊をしっかり読み込んで内容を理解すれば、十分に対応可能な試験問題といえる。
携帯電話販売員のスキル向上のために
ケータイ実務検定の受験を通して携帯電話販売員が正しい知識を得ることにより、消費者への適切な説明が可能となり、料金など携帯電話にかかわる消費者のトラブルが減ることが期待される。その意味で、ケータイ実務検定は携帯電話販売に携わる人にとって必須の試験であるといえるだろう。今回は第1回ということもあり、東京・名古屋・大阪のみで試験実施されたが、地方の携帯電話販売員のスキル向上のために、他都市での試験を今後期待したい。
第2回MCPCケータイ実務検定
実施日:2009年8月5日 実施時間:10:00~11:00 開催場所:東京・名古屋・大阪
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(吉川英一/K-MAX)