テレワークセンターあざみ野は、国土交通省の委託を受け、日本テレワーク協会が運営を行っている。同協会によると、現在のところ土曜日の利用率が高いという。「人事の査定など、会社の自席ではやりづらい業務を行っている人が多いようです。平日であれば2、3時間程度の利用が多いのですが、土曜日は長時間利用されている人が多いですね」と、日本テレワーク協会 事務局長の柴田明氏は話している。
センターの開設/運用にあたっては、複数の民間企業が協力している。中でも、建物は東急電鉄が所有しているものを使用。「賃料は払っているが、配線等の内装工事は無償で協力してもらった」と柴田氏。東急側としても沿線の事業開発として成り立つかといった点で、実証実験に高い関心を寄せているようだ。そのほか、オフィス家具やプリンタといった備品もさまざまな企業によって寄贈されたものがほとんどだという。
会社員がオフィス以外の場所で仕事をする"在宅勤務"は、実は古くから存在していた制度だ。しかし、長年その活用法や運用法に明確な基準がなかったゆえに、活用しきれなかったとも言われている。ところが、そのような実態に対して、2004年に厚生労働省が「在宅勤務のガイドライン」を策定。労働法の下で正式な就労手段として在宅勤務が位置づけられ、労災の対象として認められた。つまり、それまで宙に浮いていた制度がはじめて明文化されることにより、在宅勤務の下地が形成されたかたちだ。しかし、柴田氏は「企業にとって、在宅勤務より郊外型サテライトオフィスのほうがメリットがある」と話す。そして、そのおもな理由として、労務管理、セキュリティ、企業の費用対効果の3点を挙げた。さらに、ようやく広がりを見せてきたテレワーク導入や、郊外型サテライトオフィスの設置の動きに対して、「国ではなく、民間でどう広げていくかが今後の課題」と柴田氏は付け加えた。
テレワークセンターあざみ野での実証実験への参加は、現在も受け付け中だ。業種/業態や従業員規模を問わず、原則としてすべての企業/団体が無料で参加できる。ただし、参加企業には、実証実験中や終了後にアンケートへの回答が求められる。