ついに昨年末に発売された「Adobe Creative Suite 4」。このページでは、「Adobe Flash CS4」の新機能を中心に、前後編の2回に渡って紹介する。前編では、Flash CS4の機能の中でも大きな変化と遂げた「オブジェクトベース」のアニメーション、「インバース・キネマティクス」そして「3D回転ツール」と「3D変換ツール」を紹介する。後編では、インタフェースの改良点や外部連携、そして「ActionScript」についても取り上げる予定だ。

「Flash CS4」スタートアップスクリーン

オブジェクトベースのアニメーション制作

Flash CS4では、従来のアニメーション作成方法とは根本的に異なる「オブジェクトベース」という方法でトゥイーンアニメーションを作成する。制作過程において、これは大きな変更のため、最初はつまづく部分もあると思うが、この方法が、これからのスタンダードになっていくと思われる。これまでのトゥイーンアニメーション作成方法に慣れているユーザーのために「クラシックトゥイーン」という形で従来の方法も用意されているが、「クラシックトゥイーン」自体が、次のバージョンでも搭載されるかどうかわからない。CS4がそのための移行期間という可能性もあるので、積極的に新しい機能に慣れる必要があるだろう。

「クラシックトゥイーン」は、フレームを右クリックして選択する。一方、ステージのオブジェクトを選択してから「モーショントゥイーンを作成」を選択すると、オブジェクトベースになる

大きく変わったのは、1フレームの状態しかステージには表示されていなくても、トゥイーンの様子がわかるように、その軌跡が描かれているという部分である。軌跡を示しているラインのドットのひとつひとつつがフレームに対応しているので、トゥイーンが等間隔で移動するアニメーションなのか、徐々に加速されていくのかが一目瞭然でわかる。また、曲線状を移動するために、従来はモーションパスを指定してアニメーションしていたが、新しい方法では軌跡をドラッグするだけで可能だ。

1フレームしか見えていないが、軌跡とドットのつまり具合によってアニメーションの様子が想像できるようになっている

キーフレームを基準に拡大縮小・回転をするクラシックトゥイーンに比べ、オブジェクトベースでは、すべてのフレームがキーフレームといってよい。そのため、移動している途中で、拡大縮小や回転をはじめることができ、より自由な表現が可能となった。

すべてのタイミングがキーフレームでありながら、値は連続的に変化しつづけるため、途中でプロパティを変化させても、前後のフレームで値がつながるようになっている。図は、トゥイーンが始まった時点では、明度が0だったにもかかわらず、6フレーム目から-100に向けてトゥイーンを開始して、8フレーム目で-100になった例。明度が変わっている間にも、本体は回転しつつ移動しつづけている

オブジェクトのそれぞれのプロパティ値は、プロパティパネルで直接数値を指定できるが、モーションエディタを使用すれば、縦軸がプロパティ値、横軸が時間(フレーム)となっている曲線で調整することができる。

プロパティを独立した形で設定できるようになり、値が変化する様子が曲線でわかる。タイムラインと同じ再生ヘッド(縦の赤線)が見える