一方、来賓として、文部科学省研究振興局情報課長の舟橋徹氏、NEC社長の矢野薫氏、東北大学電気通信研究所長の矢野雅文氏、東北大学大学院情報科学研究科長の西関隆夫氏、大阪大学サイバーメディアセンター長の竹村治雄氏、Univ.Stuttgart,HLRS所長のMichal Resch氏がそれぞれ祝辞を述べた。

文部科学省研究振興局情報課長の舟橋徹氏

文部科学省研究振興局情報課長の舟橋徹氏は、「初代センター長である大泉充郎氏は、技術的な観点からだけでなく、財政面からも課題をクリアする形で、電子計算機の開発、導入に尽力された。ここで果たした役割は大きい。その後、7つの国立大学でスーパーコンピュータが導入され、学術を支える重要な基盤になっている。また、高速化プログラムによる支援体制によって、早期に計算結果をもたらすといった利用者の観点からの成果も評価している。情報基盤利用の方向性を示すものである」とした。

NECの矢野薫社長

NECの矢野薫社長は、「当社の情報処理事業は過去は赤字事業だったが、いまでは全社の40%の売り上げを占め、利益を支える大黒柱になっている。SENAC-1が50年の節目を迎えたということは、NECのスパコン事業も50周年を迎えたということになる。この間の多くの叱咤激励が今につながっている。昨年、東北大学は100周年を迎え、最高、最先端の学術研究の拠点としての進化を遂げている。そこに、サイバーサイエンスセンターのスパコンは大きな力になる。引き続き、応用分野において、力添えしたい」とした。

東北大学電気通信研究所長・矢野雅文氏

東北大学大学院情報科学研究科長の西関隆夫氏

また、東北大学電気通信研究所長・矢野雅文氏は、「当時、文部省の予算は1,500万円しかなかったが、大泉氏は、NECからも同額を引き出して導入した」といった逸話が披露されたほか、東北大学大学院情報科学研究科長の西関隆夫氏は、「学生時代に片平町の大型計算機センターにプログラムを持っていき、翌日の計算結果を楽しみにしていたら、ピリオドがひとつ足りなくて、まるまる1日を潰したという失敗がある。いまとは隔世の感がある」などと自身のエピソードを語った。

大阪大学サイバーメディアセンター長の竹村治雄氏

さらに、大阪大学サイバーメディアセンター長の竹村治雄氏は、「大阪大学と東北大学はグリッドの運用にも共同で取り組んでおり、さらに、名称を大型計算センターではなく、お互いにサイバーという言葉を使ったセンター名としているところにも近さを感じる。だが、現場では新たなスパコンが入るたびに、これで利用者が取られるという危機感をお互いに持っている」と笑いを誘いながら、「お互いに有機的に利用できる環境を維持しながら、サイバーサイエンスの発展に向けて手を取り合いたい」とコメント。

Univ.Stuttgart,HLRS所長のMichal Resch氏

Univ.Stuttgart,HLRS所長のMichal Resch氏は、「東北大学とNECの50年間に渡る長年コラボレーションは、両者をHPC分野における世界的リーダーとした。だが、50年間に渡る協業は、問題もあり、リスクもあり、50年間の技術へ挑戦でもあった。これからの50年も、相互信頼の上での共同作業が進められることになるだろう。これが、日本、そして世界に対してベネフィットを提供できるものであってほしい」とした。