NTTドコモは5日、携帯電話の新製品22機種を発表した。これまで、「90Xiシリーズ」「70Xiシリーズ」と2つのシリーズに分類していたが、「考え方を抜本的に見直し」(山田隆持社長)し、ユーザーのニーズやライフスタイルに合わせて選べるよう4シリーズに分けた。山田社長は今回の新シリーズが「新ドコモ宣言の1つの成果」であり、これによってドコモが抱える5,400万ユーザーの満足度向上を狙う。

ドコモの山田隆持社長

ドコモの永田清人プロダクト部長

ライフスタイルにあった、「自分らしいケータイ」

これまでのドコモの端末は、「高機能端末」の90Xiシリーズと、そこから機能を絞った普及型の70Xiシリーズという、搭載する機能によって分類された2つのシリーズを主軸に携帯電話端末を展開していた。

従来は機能ごとに区分けされた2シリーズ

しかし、端末に対するユーザーからのさまざまな声を集約したところ、「"自分らしいケータイ"を提供していかなければならないと確信した」(執行役員プロダクト部長永田清人氏)という。これまでの2シリーズ展開では不十分であり、ドコモでは日本の携帯ユーザーすべての好みを調査した。

ドコモに寄せられた声

「ケータイでどれだけのことをしているか、生活にケータイをどれだけ使っているか」(同)という利用頻度1つを取っても、若者のように音楽や映画、メール、音声、サイフ代わりにも使っているというような人から、メールと通話だけで十分という人もあり、調査の結果、5つのセグメントに分類できたのだという。

区分された5セグメント

それぞれのセグメントに新たなシリーズを割り当てた

そのうち、シニア向けの「らくらくホン」シリーズはこのまま継続し、残る4つのセグメントに当てはまるユーザーに対して、それぞれのライフスタイルやニーズにあった端末を提供していく。

それぞれのシリーズのコンセプト

その4つのシリーズが、「docomo STYLE series」「docomo PRIME series」「docomo SMART series」「docomo PRO series」の4シリーズだ。なお、各シリーズの端末詳細に関しては別記事を参照して欲しい。

ユーザーの満足度を向上させるための施策の内、端末を強化したのが今回の新シリーズ

従来のシリーズから、ライフスタイルに合わせたシリーズへ

なお、新シリーズに伴い各端末の型番の命名規則が変更された。例えば「docomo PRIME series F-01A」という端末の場合、「PRIME」がシリーズ名、「F」がメーカーを表し、次の数字は端末の開発順で、最後のAは発売年を表すという。数字は機能の上下ではなく、単なる連番で、「どのモデルが早く出るかぐらいは分かるかもしれない」(永田氏)ということなので、F-01Aの方がF-02Aよりも早く発売される可能性がある、ということらしい。「A」に関しては、来年モデルでは「B」になる、ということのようだ。

自分のセンスやライフスタイルにあったケータイを気軽に楽しみたい人へ

「STYLE」は、ファッション性の高い端末をそろえ、さまざまなデザインやカラーから選択できるようにした。若い女性のようにオシャレに敏感な層をターゲットにしたシリーズだ。

STYLEに用意された端末

企画を担当したプロダクト部・長沼知春氏によれば、愛着のわく仕掛けや豊富なカラーバリエーション、デコメや絵文字の充実などと行った特徴を備えるシリーズだで、「自分の感性に合った、今の自分を表現するケータイを選びたい人のためのシリーズ」(長沼氏)だという。

端末としては、ジュエリーブランドの4℃とコラボレーションし、天然ダイヤモンドをあしらった「F-02A」(富士通製)や、スイーツブランド・ピエール エルメ パリとのコラボケータイ「N-03A」(NEC製)など6機種28色を用意する。

時代を先取るエンターテインメントケータイ

「PRIME」は、映像や音楽をケータイで楽しみ、注目を集めたりみんなでケータイを楽しみたいという人をターゲットにしたシリーズ。ターゲットは主に若者層だが、映像やゲームなどのエンターテインメント機能を重視する層に向けた端末であり、「ケータイをとことん楽しみたいお客様に提供する」(永田氏)シリーズになる。

PRIMEの端末

タッチパネルなどの新しいUIの搭載し、大画面液晶や高画素カメラなどの充実した機能に加え、映像や音楽、ゲームなどのエンターテインメント性も高いシリーズ。

液晶にタッチパネルを搭載し、スライドさせての「コミュニケーションスタイル」と、液晶を横に倒した「シェアスタイル」の3種類のスタイルで利用できる「N-01A」(NEC製)や、撮像素子に有効800万画素CCDを搭載し、画像処理エンジン「ProPix」で高感度撮影も可能にした「SH-03A」(シャープ製)など、7機種25色を用意する。

ビジネスとプライベートを使い分けるオトナのためのシリーズ

「SMART」は、薄型・軽量でスーツのポケットや薄いカバンのポケットにも収まりやすく、「時計などの身につけるアイテムに強いこだわり」(プロダクト部・斎藤嘉平氏)を持つような人に最適というシリーズ。

SMARTの端末

どんなシーンに合わせても違和感のない上質で洗練されたデザインを目指し、海外やビジネスシーンで使われるような機能を備えたという。

薄さ9.8mmの折りたたみ型端末ながら、ワンセグやGSMローミングにも対応した「P-04A」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ製)は、業務でカメラ付きケータイが禁止されている人向けにカメラ無しモデル「P-05A」も用意。家電ブランド・amadanaとコラボレーションした「N-04A」(NEC製)など、4機種12モデルを用意する。

先進テクノロジーを投入したデジタルマスターケータイ

「PRO」は、ドコモの最新技術やサービスに対応し、Windows Mobile搭載のスマートフォンなどを含む「機能美、未来感を追求した」(プロダクト部・鍋谷大介氏)シリーズ。「最新のテクノロジを投入したデジタルツールを使いこなそうという人」(永田氏)をターゲットにする。

PROの端末

台湾HTC製のWindows Mobile搭載スマートフォン2モデルやシャープのQWERTYキーボード搭載端末、「BlackBerry Bold」など4機種を用意する。

山田社長は、今回の4シリーズによって「自分らしさやライフスタイルに合わせて選べ、それぞれ魅力を持った22機種を用意した」と話し、「自信を持って提供する」と胸を張った。

なお、今回ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の端末がないが、「いろいろな事情がある」と山田社長。「ソニー・エリクソンが考えること」と前置きしつつ、「世界に売っているソニー・エリクソンの端末を日本で販売する方向になるのではないか。スマートフォンが中心になってくるのではないか」という。

ユーザーそれぞれのライフスタイルに応じて4シリーズから選択できる

シリーズが増えたことによって家電量販店などでの販売方法も変化し、客の好みを聞いて端末を提案するほか、どのシリーズが適しているかを診断するツールも用意するという。端末価格はそれぞれのシリーズに4万円台と5万円台のものが混在し、従来の90Xi・70Xiと同等の価格帯になる見込みだ。

携帯電話業界には、市場の収縮と景気の減退が大きな向かい風となっているが、山田社長は「新しい端末をぜひ買いたいという魅力のある端末を提供できるかというのが1つのポイント」と指摘し、新シリーズによって今年上半期の端末販売数の下落を食い止め、上昇に転じたい考えだ。

新シリーズを持つ山田隆持社長

「お客様の期待に応える商品、期待を少しでも上回っていく商品やサービスを提供していきたい」(山田社長)。