世界一の色を目指して独自の技術を開発
──アクトビジョンSSには、色再現性能の向上にカシオ独自の「ACTIVE COLOR」というテクノロジーを使っていますね。
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最終的な色合いを決定した"色彩のスペシャリスト"の尾田氏 |
西浦「プロジェクターは、DLP方式と液晶方式の2種類に大別できます。パソコンの直視型ディスプレイと比較した場合、DLPは色合いが大人しく、液晶は色合いが派手になる傾向が一般的にあります。今回カシオでは、世界一の色を目指して、DLP方式をベースに我々独自の技術を開発しました。それをACTIVE COLORと呼んでいます」
──そもそも、なぜこれほど色にこだわりを?
西浦「色にこだわる学校の先生やデザイナーの方々などから『パソコン画面と同じ色で投影できるプロジェクターが欲しい』という声をいただきました。投映時のモード切り替えで色再現性は多少改善するのですが、モード切替に頼らずともパソコンの色が出るプロジェクターを作ろうと、開発に取り組みました」
──投影してもパソコンと同じ色を出すために、どのような技術を開発したのですか?
西浦「まずランプを新たに開発しました。赤の領域が非常にきれいに出るランプです。同時にカラーホイールの分光特性を変え、もっときれいな色が出るようにしました。この2つの要素を新しくすることで、色度域という色を表現する範囲を約10%広げることができました。これによって、赤はより赤く、青はより青く、色再現ができるようになったのです。
また、これまでのランプは常に同じ電力がかかっていました。今回のACTIVE COLORでは、赤を重視して強調するために、赤を投影する際には電力を上げるようにしています。このため、赤やピンク、肌色といった赤系の色が全体的に美しくなりました。
さらに色再現アルゴリズムを新しくすることで、表現できる色を増やしました。言うなれば、色空間の体積が広がって、今まで以上に広い空間の色を表現できるイメージです。これによって、黄色や水色などの再現性が向上し、色がよりきれいになりました」
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──色だけでなく、ホワイト部分もたいへんきれいに感じましたが。
西浦「階調制御にも新技術を取り入れたためです。従来モデルでは、RGBに途中から白を追加しているので、階調に少し不自然な部分がありました。ACTIVE COLORでは、全体的になめらかに変化し、明るくなる部分が広がって、より明るい階調が表現できるようになりました。従来モデルでもきれいだったものが、よりきれいになったと感じるのは、こうした新技術の成果です」……続きを読む