ASUSTeK ComputerからAtomプラットフォームを採用したモバイルノートPC「N10J」が登場した。今流行りの低価格Netbook(ネットブック)のように思えるが、興味深い機能が搭載された小型ノートだ。その実力とは。

主な仕様 [CPU] Intel Atom N270(1.60GHz) [チップセット] Intel 945GSE+ICH7-M [ディスプレイ] 10.2型ワイド液晶(1,024×600ドット) [グラフィックス] 内蔵/NVIDIA GeForce 9300M GS(切り替えスイッチ付き) [メモリ] 2GB [HDD] 160GB [OS] Windows Vista Home Premium SP1 [価格] オープン(予想価格99,800円)

高い基本スペック

インテルによるAtomプラットフォームは、低消費電力のモバイル向けプラットフォームで、最近はこれを採用した低価格ノートPC(Netbook)が人気だ。N10Jも、Netbookらしく10万円を切る価格の小型・軽量ノートPC。

高級感のある外装。特に安っぽい感じはしない

スペックとしては、CPUにIntel Atom N270(1.60GHz/L2 512KB)、メモリが2GB、HDDが160GBで、本体サイズは276(W)×195(D)×29(H)mm、約1.5kgとなっている。液晶には10.2型のワイドTFT液晶(1,024×600ドット)を搭載しており、ほかのNetbookと比べると液晶サイズは大きい。

本体サイズを見ると、10.2型液晶を搭載したことで、8.9型ワイド液晶を搭載した同じASUSのEee PCなどと比べると一回り大きい。その分、画面の見やすさが向上しているのはいい。

液晶自体は光沢のあるグレアタイプ。外光や照明の映り込みはあるものの、視野角は広く、輝度や色再現も問題は感じられない。最大輝度にすれば屋外でも見やすい。FnキーとF5/F6で輝度は調整できるほか、Fn+F7で画面オフが素早く行える。

液晶のサイズの割に額縁部がやけに太いのは、一定のボディサイズにしてキーボードサイズを確保するためだろう。実際、キーボードはキーピッチ18.5mmと十分なサイズを備えており、実際に試してみても十分打ちやすい。キートップが薄くて多少貧弱な感じもあるが、普段の利用にはほとんど問題はないだろう。

大きめのキーで十分なキーピッチが確保されていて、小型ノートとはいえ十分打ちやすい

液晶以上に特徴的なのが、グラフィックス機能としてディスクリートGPUであるNVIDIA GeForce 9300M GSを搭載した点。発表時点でディスクリートGPUを搭載したAtomノートPCは同製品が初めてらしいが、チップセット内蔵のグラフィックス機能に比べて高い性能が期待できる。

具体的なベンチマークは取っていないが、ビデオや画像を表示した時などに性能の違いが発揮される。OS付属のWindowsフォトギャラリーを使って、1,000万画素のデジタルカメラで撮影したJPEG画像を全画面スライドショー再生したところ、内蔵グラフィックでは画像切り替え時にもたつきが発生してしまった。

また、DVD映像を想定したファイルサイズ1GB・約15分間のMPEG-2ビデオ(720×480)を再生したところ、内蔵の場合はコマ落ちが発生してカクカクとした動きになったのに対し、GeForceを使った場合はまったく違和感なく滑らかに再生されており、確かな実力差を発揮していた。

本体左側面。中央ほどにある銀色のスイッチが切り替えスイッチ

本体右側面。インタフェースは必要十分

ただ、外部GPUを使うことで消費電力としては不利になるため、N10Jでは本体横のスライドスイッチを切り替えることで簡単にGPUのオン・オフができるようにしてある。状況に応じて使い分けるといいだろう。その代わり、切り替えには再起動が必要な点は残念な部分だ。

再起動が必要になるため、素早い切り替えができないのは残念

ちなみに、本体前面にはAltec Lansing Technologiesのスピーカーを搭載。XdB低音域拡張技術などといった技術を投入しているそうで、それなりに聞かせる音を鳴らす。過度な期待は禁物だが、単に価格が安いだけのノートPCではないようだ。

本体前面。左側にあるスロットはSDカードスロット。その上にあるスリットがスピーカー。右側にも同じものがある