最後がAssociationの話(Photo37)。無線を使う以上、何らかの認証が必要(でないと容易に外部から侵入されたり傍受されたりする)であり、AES-128 CCMを使うという話は昨年もレポートした訳だが、大枠はここから一歩も進んでいない。

Photo37: 例えばBluetoothのヘッドセットとかを購入すると、PINがどれもこれも0000になってたりするわけで、Wireless USB Deviceでも同じことが起こりそうな気はする。当然この場合セキュリティの意味は無いわけで、その意味ではNFCが解決策というのは一応理に適ってはいる。

強いて言えばFriendly nameの機能を拡張して、Association前にFriendly nameを使えるようにする、というあたりが多少新機能か。複数の言語対応とかConnect to meは、それほど目新しい話とは言いにくい様に思う。またPhoto36でも"NFC may be ideal for association"という割には、これの追加コストをどう吸収するかという話が無いのは相変わらず。個人的にはNFCを推し進めるならば、RDKには当然NFCが実装されているべきだし、Wireless USBのコントローラにNFCの回路も当然統合されるべきだろうと思うのだが、このあたりに関する進展は特になさそうだった。

で、Launchは?

ということで簡単にレポートしてみたが、概ねWireless USB 1.1への準備はまもなく整うといったところ。一応年内には1.1のSpecificationを出したいようで、クリスマス商戦には何とか間に合わせたいと思っているようだ。勿論細かいところがまだ決まっていない(特にDRD廻り)問題はあるが、おそらくいきなりDRDが広く使われる事はないだろうから、こうしたデバイスは2009年以降に持ち越しだろうし、その頃にはDRD周りのUpdateがSupplementなりerrataで追加されるのだと思われる。

問題はやはり、「誰がHost普及の音頭を取るか」だろう。IntelにしてもAMDにしても、Wireless USBは今のところPlatformの構成要素に入っていない。Windows CE系も同じくだ。大穴はAppleだろうが(Mac Book Airなんかには最適なI/Fだろうとは思うし、Appleがこれを公式にサポートすれば、周辺機器ベンダーが対応に走り、結果としてWindows側に波及する可能性は少なくないだろう)、今のところそうした話はなさそうである。昨年Jeffに会ったときには、Mac Bookを使ってWireless USBのデモを使って見せてくれたが、動いていたのはBoot Campを使ったWindows XPという始末。

このあたりに関して周辺機器ベンダーやチップベンダーに聞いても「わかんない」の一点張り。逆に教えてくれとせがまれる始末である。Wireless USBの普及に今必要なのは、このHost側の普及を進めるためのアイディアだろう、と強く感じた。