省電力に関しては、色々な話が出た。昨年は、superframeを使う形でDRPの送出間隔を伸ばすことでムダに送受信を行わないといった話が出ていたが、今年紹介された話はそこから一歩踏み込んだもの。WirelessUSB 1.0にもあるChannel Stop IE(Information Element)を拡張することがホスト側の大きな変更点である(Photo29)。一方デバイスの方は、こnのChannel Stop IEに対応する形でWakeupの方法をいくつか実装する必要があり、また細かな追加事項があるようだ(Photo30)。

Photo29: Channel Stop IEとは、そのUSB Channelを停止する前に送出するパケット。6Bytesの単純なもので、2Bytes目のBit 0だけでRemote Wakeupを行うかどうかを指定するが(Bit 1~7はReserved)、これが拡張されると思われる。要するに単にポーリングでまたWakeupを掛ける以外のWakeup方法が定義されると思われる。

Photo30: 一番最後の項目が中々面白い。つまりHostは各USB Deviceのバッテリ寿命まで管理する必要が出てくるわけだ。

また有線Adapter(DWA:Device Wire Adapter)に関しても、若干の変更があるとされている(Photo31)。

Photo31: DWAとは煎じ詰めればHubの事。非Wireless USB Deviceを接続するためにはDWAはどうしても必要になる。

次がDRDに関して(Photo32)。DRDは昨年の資料には無かった話であり、従来のUSBの場合はUSB 1.1/2.0のBase Specificationには含まれず、OTG Supplementという形で分離されていたのに対し、Wireless USBではこれが1.1のSpecificationに含まれそうな勢いであり、それだけ一般的な使い方になると想像していることになる。逆に言えば、こうした形で付加価値をつけない限り、WirelessUSBへの移行が進まないと考えているのではないかと思う。

Phtoo32: Combinationは、同時に複数の接続が発生するケース。Photo33~を見れば判りやすい。

そのDRD、Combination(Photo33)とP2P(Photo34)、及びその複合型(Photo35)という3つのシナリオが想定されている。ただこれを実装するためには、Role decision(役割の判断)が必要であり、これをどう解決するかに関してはまだ問題が残されているのが現状の様だ(Photo36)。またDevice同士のAssociationに関して、NFCが理想などと書いているあたり、この部分での問題も大きそうだ。

Photo33: PCからStreamingでデータを受け取りつつ、それを別のPortable Storage(例えばPersonal Media Player)にStorageするなんていうシナリオ。どれだけこんなケースがあるかは微妙だが、可能性としてはありえるケース。

Photo34: 例えば2台の携帯なりPDAなりで内容を同期するようなケース。もっとも現実のインプリメントで、両方のデバイスが同時にMasterとなりながら相手からデータを受け取りつつ相手にデータを送り出すなんてシーンがどれだけあるのか、ちょっと疑問ではある。

Photo35: 複合型。ただ現実問題として、これだと実効速度は50Mbpsとかその位に落ちてしまいそう。あまり大量のデータの転送には向いてなさそうな気が。

Photo36: 特定のデバイス同士であれば、動作モードに応じてCombinationなりP2Pなりを最初にハンドシェークすれば済むのだろうが、汎用的にこうしたプロトコルを追加するのは難しいということか。