次世代通信規格の牽引役を印象付けた富士通ブース

CEATEC JAPAN 2008の富士通ブースでは、「STYLE FREE CONCEPT」と題して携帯電話のコンセプトモデルを展示。そのほか、らくらくホンの通話改良技術やiアプリとカメラの連動による色識別技術などの実演が行われた。

展示されていたコンセプトモデルは、携帯端末の画面部とキーボード部が分離するセパレートタイプ。画面部とキーボード部を分離したまま通話が可能なほか、両者の接続方法を変えることで、携帯ゲーム機風やフルキーボードを備えたスマートフォン風にするといった用途に合わせた使い方を提案していた。

また別のコンセプトモデルでは、ビジネスなどでよりスタイリッシュに活用できるカードタイプも展示されていた。

用途に合わせた形に"合体"できるコンセプトモデル

コンセプトモデルの活用シーンの提案

スマートフォン風のスタイル

携帯電話風のスタイル

ゲーム機風のスタイル

ビジネスシーンでの活用を想定した提案

名刺サイズのカード型筐体を組み合わせる

折り畳み式のキーボードは実用性も考慮されている

実用化されている携帯電話技術としては、らくらくホンVに搭載されている「スーパーはっきりボイス2」が展示された。これは携帯電話本体のダイヤルキー面と背面にそれぞれマイクを設置し、背面のマイクによって得られた音声情報をノイズキャンセリング技術によって相殺し、ダイヤルキー面のマイクから得られたユーザーの声のみを相手に送信するというもの。ブースでは70~90db程度の騒音を発生させた装置の中から発話するテストが行われていたが、人の声のみが非常にクリアに聞こえていた。

前機種に搭載されたスーパーはっきりボイスよりも、さらに音声が自然に聞こえるよう調整された

騒音を発生させる装置。ケースを開けてもらったが、人の声はほとんど聞き取れない状態だった

このほか、携帯電話のカメラ機能を利用したユーザー補助アプリケーションとして「ColorAttendant」の実演が行われた。ColorAttendantは、携帯電話に搭載されたカメラによって画像を読み込むと、画像の中心にある色を文字と音声によってユーザーに伝えるiアプリ。主に色覚異常者が色を判別するために利用することを想定しているが、大まかな色情報と共に詳細な色名が表示されることから、デザインやアパレル関連などの業種で活用する事もできるという。

ColorAttendant技術は、現在も調整中とのこと

色情報は円グラフと詳細な名称で示される

iアプリであるため、さまざまな機種に搭載が可能(機種ごとの調整は必要)

モバイル関連では、8月に発売されたLOOX Uと、そのコラボレーションモデルが展示された。LOOX Uは、CPUにAtom Z530を採用したUMPC。OSにWindows Vista Home Premiumを搭載。5.6型の回転二軸方式のタッチパネルディスプレイを採用してタブレットPCとしても利用できるなど、ユーザビリティとモビリティの高さを売りにしている。

コラボレーションモデルでは、ロサンゼルス在住のイタリア人デザイナー「シモーネ・レーニョ」が展開するブランド「tokidoki」のイラストを天板に採用していた。このコラボレーションモデルは、現在同社ウェブサイトなどで、300台限定で販売している。

前機種よりもキーボードなどの改良が目立つ

タブレット形態でも快適に使用できる

ポップなイメージの天板デザイン

次世代通信規格を扱うコーナーでは、LTE(Super 3G)とモバイルWiMAXが並んで展示されていた。LTEは基地局を展示。基地局は従来タイプと比べても小型化され、設置場所の自由度が上がったほか、低コストでの製造が可能になった点がアピールされていた。

また実演ではドコモブースと通信を行い、ゲームの通信対戦をユーザーが体験できるようになっていた。モバイルWiMAXはUSB接続タイプの通信ドングルや専用チップセットなどを展示。映画のストリーミング再生を実演していた。

どちらも高速通信規格であるLTEとモバイルWiMAXだが、説明員によると、LTEはモバイルWiMAXよりも高速移動中の通信に強いという。また、モバイルWiMAXはLTEよりも先に実用化されることや、すでに国際規格として採用されているため、汎用的な部品を利用でき、製品の普及やコスト面で有利だという。両規格は今後どちらかが縮小するのではなく、ユーザーの利便性や利用環境によって使い分けられていくだろうと説明した。

LTE基地局。NTTドコモが採用予定

LTEによる通信対戦デモの様子

モバイルWiMAXの通信デモ

モバイルWiMAXチップセット類

モバイルWiMAXモジュール

(あるかでぃあ/K-MAX)