デモンストレーションではまずGPUのパフォーマンスデモとして「ルビー」の映像を紹介。映画のような画質をGPUでレンダリングできるとして自社GPUのパフォーマンスの高さをアピールした。

AMDによるルビーのリアルタイムレンダリングデモ

続いて、GPGPUの紹介としてアークソフトのユニバーサルメディアプレーヤー「Total MediaTheatre」を紹介した。同ソフトの解説をしたのはアークソフト代表取締役本部長兼米国本社副社長の豊嶋稔氏。

アークソフト代表取締役本部長兼米国本社副社長の豊嶋稔氏

Total MediaTheatreにはUVDをサポートしたプレイバックエンジンに加え、SimHDエンジンと呼ぶエンジンが組み込まれていると紹介。SimHDはAMDとともに開発したものとされ、GPGPUをサポートすることでDVDのアップスケーリング再生が可能なエンジンであるという。また、GPGPUをサポートするにあたり、高画質はもちろん、CPUの負荷を80%~90%下げることを目標に掲げ、同ブース内で行われているデモにおいても、CPU負荷はほとんど10%~15%に収まっていると自信を示した。

高画質化、アップスケーリングとともにCPU使用率の引き下げを実現。なお、カシオのHIGH SPEED EXILIM「EX-F1」にUVDに対応したアークソフト製品がバンドルされたことに伴い、AMD HD! エクスペリエンスの取り組みにアークソフトおよびカシオも加わった

なお、アップスケーリング自体はソフトウェアで既に実現されているものである。これをGPUで行うことのメリットとして、土居氏は「画質を向上させる、パフォーマンスを向上させるといったところではGPUのパフォーマンスも不可欠」と説明している。

会場ではGPGPU有り無し、SD画質とアップスケーリングされたHD画質とを比較していた

続いてはトランスコーディングにおけるGPUの活用を紹介した、ますは1時間のフルHD映像動画をRadeon HD 4800シリーズで変換させた際の処理時間を紹介。CPUのみでの変換に対し18倍高速になるというデータを示したほか、モバイルプラットフォームにおいてAdobe Premire Elements 4を使った際も4倍高速になると示した。寝ている間を利用してHD動画をモバイル機器向けに変換するといったように、トランスコーディングのGPUアクセラレーションにより、「HD! ライフがもっと快適になる」と活用を紹介している。

Radeon HD 4800シリーズでHD動画の変換を行った際の対CPU比でのパフォーマンス

GPGPUをサポートする次世代モバイル向けGPUではトランスコードのようなこれまで重すぎた処理も快適に利用できる

配信や変換といった活用に加え、UVDやGPGPUを動画編集ソフトに採用しようという取り組みも紹介されている。次に登壇したのはLoiloの取締役COO 杉山竜太郎氏。同社は超高速な動画処理エンジン「エコーエンジン」を開発しレンダリングの待ち時間を無くしたことにより、誰にでもできるユーザーインタフェース「スコーピングUI」を実装させることに成功した。これを動画を手軽に編集して共有できるソフトとして「Loilo Scope」を開発、現在フリー版を提供している。10月15日には、HD映像編集に特化したLoilo Scopeの上位版となる有償製品「Super Loilo Scope」をリリースする予定であり、UVDとGPGPUに対応する予定だ。

Loiloの取締役COO 杉山竜太郎氏

同社のユニークなUI・操作性とともに、GPUを利用することで実現したスムーズなUIとともに、GPGPUによって動画に対し様々なエフェクトを加えても処理落ちなくリアルタイム再生できることなどを紹介した。同氏は、今後もLoilo ScopeにUVDやGPGPU機能の取り込みを進め、AMDと協業していくと発表した。

Super Loilo ScopeのUI。自由な場所に素材を配置できるほか、仕分けなども思いのまま。さらにこのUIがスムーズに動作する

GPGPUの効果により、様々なエフェクトを重ねてもスムーズに再生される

Loilo Scopeのようなアプリケーションが加わることで、再生、編集、変換、保存、投稿といった一連の作業が可能となり、HD映像がより快適に楽しめる環境が実現する