ケーブルテレビに関する、国内最大のコンベンション「ケーブルテレビ ショー 2008」が19日(木)~21日(土)の期間、東京ビッグサイトで開催されている。主催は日本ケーブルテレビ連盟と、日本CATV技術協会。

マスプロ電工の新モデル「DST62H」。HDMIを装備し、EPG、データ放送にも対応する

パイオニアが参考出品する「NEW300」シリーズ

今回でで25回目となるケーブルテレビショーのテーマは「ケーブルテレビがつなぐあなたと未来」。なかでも、2011年のアナログ放送の停波に向けた各社の地デジ体策への取り組みが、展示内容のなかでも大きなウェイトを占めている。

ケーブルテレビショーは、基本的には、CATV業者に向けて行われるイベントで、一般視聴者のためのイベントではない(ただし、最終日である21日は、一般向けのイベントなども多く行われる)。会場は、大きく、ハードウェアゾーン、サプライヤーゾーン、主催者ゾーンに分けれれており、ハードウェアゾーンでは、放送用機材や、測定器、STB、協同受信施設用機器などが展示されている。また、少数ではあるが、個人ユーザー向けの地デジ受信用アンテナや、チューナー、ブースターなどの展示が行われているブースも存在する。

サプライヤーゾーンでは、CATVの各チャンネルが、そのコンテンツを紹介するブースを展開。21日(土)には、各ブースで、キャラクターショーなどが行われる予定となっている。主催者ゾーンは、日本ケーブルテレビ大賞番組コンクール、ブランディング オブイヤー2008、プロモーション大賞、ベストプラクティス賞に選ばれた作品を見ることができるほか、地デジ相談コーナーなども設けられている。これらの中で、我々一般視聴者に関連してくるのは、STBと、個人向け地デジ受信機器といったところだろう。

さて、昨年のケーブルショーでは、松下電器産業の「TZ-DCH2800/2810」や、パイオニアの「BD-V700」といった、HDDを内蔵したり、外付けのHDDを接続できたりする、録画機能を備えたモデルが注目を集めていた。それに対して今年のケーブルショーでは、ベーシックなクラスのデジタルSTBをメインとしているブースが多い。

パイオニアでは、「NEW300」シリーズを参考出品している。このモデルは、設定内容を記録したUSBメモリーを使用することで、設置時の作業の簡略化を計ることが可能というもの。また、マスプロ電工では、新製品の「DST62H」を展示。この製品は、HDMIを装備し、EPGデータ放送にも対応するモデル。これらは、現在使用されている、アナログのホームターミナルの置き換えを狙った製品だ。

デジタル化によるメリットは、地上波の場合には、まだ分かりやすい。CATVの場合はどうかというと、ハイビジョン化とデータ放送への対応、さらに多チャンネル化やデジタル化されたコミュニティチャンネル、といったことがデジタル化のメリットして上げられている。さらに、VOD、IP電話やケーブルテレビ電話サービスの実施などもあげられているが、これらはすでにFTTH回線を付設している環境では、実現しているわけで、デジタルCATVのみのメリットというわけではない。そこで新たに言われ始めているのが、災害時の速報システム。現在も、地震の際に、その震度と主要波の到達時刻を知らせる「緊急地震速報システム」が運営されている。これに加えて、防犯や、防災などの告知用にも使用していこうという試みだ。地域密着型のCATVならではのシステムといえるだろう。テレビポータルのブースでは、次世代緊急地震速報システム「マルチアラート」のデモが行われている。これは、現在の地震速報システム(高度利用者向け)に、津波、噴火、河川の氾濫、がけ崩れ、台風、光化学スモッグなどといった、地域に密着した緊急情報を加えたもの。まだ開発段階だが、実際の運用時には、STBと同様に、CATV業者から、一般ユーザーに貸し出されるような形態になるらしい。

テレビポータルが開発中の「マルチアラート」(製品とは形が異なる)

ビエラリンクに完全対応したHDD内蔵STB「TZ-DHC3000」シリーズ

ビエラのリモコンで、STBのほぼすべての操作が可能になった

アンテナにダイレクトに接続できるブースター「DPW01」

そのような中、松下電器産業のブースでは、昨年同様、HDD搭載モデルがメイン。昨年モデルでは、HDMI CECには対応していたが、電源の連動程度しかできなかったため、ビエラリンク対応はうたわれていなかった。今年の新モデル「TZ-DCH3000」シリーズでは、ビエラ側のリモコンで、STBのほとんどの機能を利用することが可能となり、晴れて、ビエラリンク対応がうたわれている。ビエラのリモコンから「ケーブルテレビの操作一覧」を選択すると、画面を見ながら、STBの操作が可能だ。

CN値が向上し、ブロックノイズの減少が期待できる

個人ユーザー向けの地デジ受信用のアンテナは、日本アンテナ、八木アンテナのブースで展示されている。八木アンテナのブースで、少し変わった製品が展示されていたので紹介したい。地デジ専用のブースター「DPW01」だ。アンテナのF型接栓にダイレクトに接続可能なモデルで、パッシブ型のアンテナの感度アップが可能となっている(アンテナ部分はもちろん防水)。CN比が向上し、現在、普通に地デジが映っている環境でも、ブロックノイズの減少が見込めるそうだ。発売は7月を予定している。