米Appleは9日(現地時間)、現在米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されている「WWDC 08」において、第3世代ネットワーク対応の「iPhone 3G」ならびに関連サービス群を発表した。既報の通り、iPhone 3GはクァッドバンドHSDPAとトライバンドGSMをサポートしており、GPS内蔵で従来製品よりもより細かい位置情報検索が可能となる。またiPhone SDKで開発されたアプリケーションやエンタープライズ機能に対応した新ソフトウェア「iPhone 2.0」を標準搭載し、「App Store」を通して好きなアプリケーションの購入や導入が可能になる。

iPhone SDKと3G版新機能を活かす「iPhone 2.0」「App Store」

「App Store」

iPhone 2.0は同携帯電話の新ファームウェアにあたり、iPhone SDKで開発されたアプリケーション群の導入や動作を可能にする。アプリケーションはApp Storeを通して提供されることになり、Wi-Fiまたは携帯電話のネットワークを通じてどこからでも同ストアに接続し、購入やダウンロードが行える。App Storeのラインナップはビジネス、ニュース、スポーツ、旅行、辞典、医療系のアプリケーションのほか、3G機能を活かしたゲーム群も用意されている。提供形態はアプリケーションによって異なり、無料のものもあれば、有料のものもある。WWDCの基調講演で紹介されていた例では、有料アプリケーションは一律9.99ドルの設定となっていた。

App Storeのもう1つの特徴として、プッシュ技術によるソフトウェアのアップデートが挙げられる。通常、このような形でダウンロードしたアプリケーションはそのままのバージョンで使われることが多いが、App Storeでは登録されたアプリケーションのバージョンが新しくなった場合、その旨をユーザーに伝え、必要であれば最新のものにアップデートすることが可能となる。つまり、ソフトウェアをつねに最新の状態に保てるわけだ。

またiPhone 2.0の提供に合わせて、エンタープライズ向けの機能強化も行われている。現時点で発表されているのはMicrosoftとCiscoとの提携で、前者はExchange Serverとの同期・接続を可能とするActiveSyncのサポート、後者は企業ネットワークに接続するためのIPsec VPNとデータ保全を行うリモート・ワイプ機能をサポートする。またiPhone SDKならびにiPhone 2.0ではマッピング機能とロケーションサービスを標準サポートしているが、既存のiPhoneが携帯電話や無線LANホットスポットのアンテナを基に位置情報を検索するのに対し、新製品のiPhone 3GではGPSによるより詳細な位置情報を取得することが可能となる。

iPhone 2.0の提供は、iPhone 3Gの発売日と同じ7月11日を予定している。既存のiPhoneユーザーには無償で、iPod touchのユーザーには9.99ドルでのダウンロードサービス提供となる。アップデートにはiTunes 7.7以上が必要。またApp Storeも同日での提供開始が見込まれ、世界62カ国で同時ローンチされる予定だという。

Appleの新プッシュサービス「MobileMe」

「MobileMe」パッケージ版

Appleの新サービス「MobileMe」は、同社のインターネットサービス「.Mac」をリファインしたものとなる。MobileMeにはメール、コンタクトリスト、カレンダーなどのWebアプリケーション群が用意され、Webブラウザから自由にアクセス可能だ。手持ちのMacやiPhone、iPod touchだけでなく、出先のPCからインターネットにアクセスしてメールやコンタクトリストなどにリモートからアクセスできる点が特徴となる。またプッシュ技術を介してつねに最新状態にアップデートされており、手持ちのマシンで情報をアップデートした場合、それがインターネット上のデータに反映され、さらに他のマシンにも影響を与える。複数マシンで1つの最新データを共有できる点がメリットとなる。

「Gallery」による写真共有機能のほか、「iDisk」のインターネットストレージも用意されており、ここの領域を介したデータ共有も可能。年間利用料99ドルの通常パックで20GBのストレージ領域が利用でき、149ドルのファミリーパック(5人分)の場合は20GBのマスターデータ領域のほか、残りの4ユーザー個々に5GBの領域が用意され、計40GBの領域が使用可能。MobileMeのページで60日間のフリートライアルが利用可能。また旧.MacユーザーはそのままMobileMeへと自動アップグレードされる。

iPhone / iPod touchを発表したことでモバイルコンパニオンの種類が増え、生粋のAppleユーザーも複数のデバイスを同時に使いこなす必要が出てきた。MobileMeはこうした使い方での「データの同期」という問題を解決する1つの手段となる。