米Clearwireと米Sprint Nextelは、全米規模のモバイルWiMAXネットワーク実現を目指す合弁会社の設立で合意したと5月7日 (現地時間)に発表した。新会社の名称は「Clearwire」。2010年末までにサービス対象地域を全米の1億2000万~1億4000万人にまで拡大する計画だ。

新生Clearwireには、現Clearwireのワイアレスブロードバンド事業にSprint NextelのモバイルWiMAX事業「XOHM」が吸収される形になり、現Clearwire CEOのBenjamin G. Wolff氏がCEO、XOHM事業部門を率いるSprint Nextel CTOのBarry West氏が社長に就任する予定だ。Sprintは同社が米国で保有するワイアレスブロードバンド向け周波数、WiMAXに関する商標やIP、ハードウエアおよびソフトウエアを新Clearwireに提供する。

新Clearwireには、Intel (10億ドル)、Google(5億ドル)、Comcast(10億5000万ドル)、Time Warner Cable(5億5000万ドル)、Bright House Networks(1億ドル)など5社が合計32億ドルを出資する。Sprint Nextelが全株式の約51%を握り、27%が現Clearwire株主分となる。残る22%がIntelやGoogleなど5社に割り当てられる。

Sprint NextelとClearwireは2007年後半にもWiMAXネットワークの協同構築に乗り出したが、実現には至らなかった。今回はチップセット開発、インターネット・サービス/ 広告、コンテンツ分野における戦略的パートナーを迎えての再挑戦となる。「新生Clearwireは、WiMAXチップセット、スケーラブルな事業形態、オープンアーキテクチャへの関与を通じて、多種多様な新デバイスを利用できるモバイルワイアレスインターネット・サービスを実現する見通しだ」という。両社は出資企業と、3Gおよび4Gサービスの卸売りを含むいくつかの商業契約を結んだことも発表した。例えばClearwireはGoogleが推進するモバイルプラットフォーム「Android」をサポート、GoogleがモバイルWiMAX機器向けのインターネット・サービス/ 広告/ アプリケーションなどを開発する。

Sprintは2005年にNextelを買収した頃から低迷し始め、現在に至るまで契約者数の減少が続いている。2007年第4四半期には295億ドルの赤字となり、人員削減や販売拠点の縮小に乗り出した。5月5日にはNextel部門のスピンオフまたは売却を検討しているとWall Street Journal紙などが報じている。WiMAXは有望なワイアレスブロードバンド技術であるものの、大規模な運用データが少なく、サービス展開の見通しが立っていないのが現状。AT&TやVerizonへの対抗策を模索するSprintにとって、XOHM事業が重荷になっている面があったのも、コンソーシアムという結果に結びついた一因と考えられる。