Phenom X3と順番が前後してしまったが、まだPhenom X4 9850をテストしていなかったので、この機会にその素顔に迫ってみたい。

Phenom X4の最上位「Phenom X4 9850」

Phenom X4 9x50シリーズと従来のPhenom X4 9x00シリーズとの違いはコアのリビジョンだ。Phenom X4 9x50シリーズはB3リビジョン、Phenom X4 9x00シリーズはB2リビジョンである。普段であればリビジョンの変更でここまで騒がれることはあまり無いのだが、今回の場合、Phenom X4 9x00シリーズが抱えていたTLBに関するエラッタが解消されたというのが注目される箇所だ。

Phenom X4 9x00シリーズでは、このTLBに関する問題を回避するために、BIOSからTLBの利用を無効化するという手段が用いられ、これを行うとベンチマーク等でスコアが落ちるという報告が上がっている。つまりこの場合、Phenom X4の真のパフォーマンスは得られていないとも言えるわけだ。しかしB3リビジョンのPhenom X4ではこれが解消され、100%の力が引き出せる。

CPU-ZからもB3リビジョンであることがわかる

キャッシュ容量など、他の基本的な部分に変更は無い

このほかにもB3リビジョンでは、より高クロックなモデルが追加されているので、これの仕様をまとめておこう。

Phenom X4 9850 9750 9650 9600 9550 9500
Black Edition BE BEも有
リビジョン B3 B2 B3 B2
動作クロック 2.5GHz 2.4GHz 2.3GHz 2.1GHz
クロック倍率 12.5 12 11.5 10.5
L1キャッシュ (64K+64K)×4=512KB
L2キャッシュ 512KB×4=2MB
L3キャッシュ 2MB
メモリコントローラ 128bit PC2-8500
製造プロセス 65nm SOI
HT Linkバージョン 3.0
HT Linkクロック 2GHz 1.8GHz
Processor Bandwidth 33.1GB/sec 31.5GB/sec
コア電圧 1.2-1.3V 1.1~1.25V
Max. TDP 125W 95W

追加された高クロックモデルは2つ。Phenom X4 9850と同9750である。よく注意してほしいのはコア電圧とTDP。より高クロックで動作させるため、ということか、従来のラインナップおよび他のB3リビジョン製品と比べ、コア電圧が引き上げられている。それに関連してTDPも30Wほど高い。

もうひとつ、最上位のPhenom X4 9850のみ特典があり、これがBlack Editionとなっている。通常モデルでは固定されているベースクロックに対するコア動作周波数の倍率が、同製品では解除されており、倍率を変更してのオーバークロックが可能だ。また、同モデルではHT Linkクロックが通常モデルの1.8GHzに対し、Phenom X4 9850では2GHzに引き上げられている。