─ では、PCリモーターについてお聞きします。端末自体にOSはインストールされていませんが、PCとして使える仕組みを教えてください

栗山: ネット経由でホームサーバPCにアクセスし、リアルタイムでデスクトップをキャプチャします。PCリモーターのマウスやキーボードで操作を行うと、その情報がホームサーバPCに行き、それを反映した画面が届くという仕組みです。毎回若干のディレイ(遅れ)が発生するため、最初は多少違和感があると思います。ただ、使っていただければ分かると思いますが、エクセルやテキスト入力する際に支障を来すほどではありません。

あと、素早く転送するためにキャプチャ画像を圧縮しているため、多少文字がぼやけます。しかし、文字のエッジを検出してくっきりみせる補正をかけているので、文字が読めないということはありません。また、一度画面を転送すると、以降は変化した部分だけを送るようになるため、マウスカーソルが移動した場所や新たに文字を入力した周辺は、よりくっきり表示されます。

一度画面を転送すると、以降は変化した部分だけを送る。画面写真左のような箇所でマウスカーソルを通過させると、画面写真右のようにくっきり表示されるようになる

─ 動画を視聴するデモを観させていただきましたが、映像や音声は普通に表示されますね

栗山: 5Mbps以上の帯域があれば、快適に視聴できる仕様です。特に映像を見る場合は、ムービーモードに設定すると若干バッファリングするため、回線が多少滞っても途切れずに再生されます。なお、ネットワークの帯域が狭くなったときも、画像を美しくするか動きを優先するかというパラメーター設定ができるので、状況に応じてフレキシブルに対応できます。ちなみに、PCリモーターに搭載しているのはモノラルスピーカーですが、音声データ自体はステレオです。ヘッドフォンを使うことで対応します。

─ PCリモーターはSDカードスロットなどを搭載しています。ホームサーバPCからのデータをメモリカードに保存することも可能ですか

栗山: そのためにファイル転送モードを搭載しています。このモードでアクセスすれば、ホームサーバPCの中にあってもLAN上のファイルとして認識しますので、ファイルをコピーしたり、逆にメモリカードのデータをホームサーバPCに送ることもできます。

─ なお、12月の発表ではノートタイプとポケットタイプの存在を明らかにされていますが、それぞれの使い分けについて教えてください

栗山: ポケットタイプはライトユースですね。空き時間に少しだけメールをチェックしたいですとか、ブログを更新したいといった人向きでしょう。じっくり操作したいという人には、フルキーボードを搭載しているノートタイプがお勧めです。新型のLaVie Jと同じように2.5mmストロークのキーを採用しているので、入力性もそこそこ高いと思います。液晶画面もワイドVGAなので、一般的なモバイルノートと同じ感覚で使えるでしょう。

PCリモーター ポケットタイプ。こちらはIEEE802.11b/gアダプタのみ搭載。4.1型ワイドWVGA液晶を備え、重量は約250g。液晶を上にスライドさせると、ミニキーボードが現れる

PCリモーター ポケットタイプの側面

─ ノートタイプのバッテリー駆動時間はどれくらいでしょうか

栗山: まだ公表していませんが、モバイルPCのスモールバッテリーで動くくらいの時間です。採用したのは2セルのバッテリーで、1個約115gなんです。4セルの大容量バッテリーを搭載する案もありましたが、それよりは標準バッテリーの予備を1本持ち歩くほうが良いだろうということになりました。使っている時に軽くて場所を取らないという点を優先したカタチです。

PCリモーター ノートタイプ。10.6型ワイドWXGA液晶を搭載し、重量は約650g。有線LAN端子と、IEEE802.11b/gアダプタを内蔵する。試作機の段階では、キーボードの上に穴が開いており、絵画のパレットのように片手で固定できるスタイルも考案されていたという

─ ノートタイプとポケットタイプは価格に違いがありますか?

栗山: 多少出ると思います。アーキテクチャ自体はほとんど変わりませんが、液晶パネル代の差がありますから。あと、ノートタイプは筐体をマグネシウム合金で作っているので、その分のコストもかかっています。