音声コーデック

ここまでは動画のコーデックを中心にみてきました。動画の再生には、音声コーデックも必要になります。ここでは、代表的な音声コーデを紹介します。無圧縮の音声データは、CD Audioなどで利用されるPCMなどがあります。動画によっては、無圧縮のPCMを利用するものもあります(音質を優先させたい場合など)。

MP3

正式名称は、MPEG Audio Layer-3です。名前からもわかるようにMPEG-1と同時に策定された規格です。現在では、音声圧縮のコーデックとして、携帯音楽プレーヤーなどでも利用されています。大きな音質の劣化をすることなく、無圧縮の状態からファイルサイズを1/10程度に圧縮することができます。最近は、可変ビットレート(ソースによってビットレートを変化させる)を使うことが増えています。

Ogg Vorbis

上述のMP3は、当初無料で公開されていました。ところが開発元のFraunhofer社が、利用料金を要求したことで、MP3に代わる音声コーデックとして開発されました。当然、オープンソースで開発が行われています。MP3と比べると、同じビットレートで音質がよいという評価を得ています。少々紛らわしいのは、コンテナのOggと混同されやすいことです。音声コーデックを指す場合は、Ogg Vorbisと呼びます。

AAC

正式名称は、Advanced Audio Codingです。MP3同様にMoving Picture Export Groupが策定した音声コーデックです。MP3よりも高音質・高圧縮を目指して開発されました。AACは、BSデジタル放送や地上デジタル放送でも使われています。また、iPodの音楽データ用としても採用されました。音楽プレーヤーなどでも採用が広がっています。

A3C

ドルビーデジタルとも呼ばれます。正式名称はAudio Code number 3です。DVD Videoの音声に使われています。5.1チャンネルなどをサポートします。最近では、Xbox 360やプレイステーション3などでも使われています。

WMA

Microsoft社が開発した音声コーデックです。MP3以上の高圧縮が可能になります。著作権管理機能を持つことから、音楽配信などでも利用されます。Windows Media Playerでは、標準のコーデックなので、扱いは簡単です。しかし、MP3のシェアを覆すまでには至っていません。

ここで紹介したコーデックやコンテナ以外にも数多くの種類があります。そして、それらの組み合わせによって、動画の種類というのは、非常に多くなるということがおわかりいただけるかと思います。このように多様な動画を汎用的に扱う、再生するというのは、やや難しいところであります。また、これらのコーデックをひとつずつ理解するのも面倒なことでしょう。まずは、動画には非常に多くの種類があることを理解できれば十分かと思います。次節では、より汎用的に動画再生などを行う方法について解説します。