MPEG-1

先述したMoving Picture Export Groupは、1988年にスタートし、最初の標準化を1992年に発表しました。これがMPEG-1です。主な特徴は以下の通りです。

・CDに1時間程度の動画を記録可能(Video CDと呼ばれる)
・フレームサイズは、320×240
・ビットレートは、1.5Mbps(標準)

Video CDに代表されるように、保存された状態からの再生を中心に規格が策定されているのが特徴です。ビットレートが1.5Mbpsに設定されているのは、当初からCD-ROMでの再生を考慮してのことでした。

MPEG-2

DVDなどで採用されている規格です。MPEG-1の後継として1995年に標準化されました。MPEG-1が、保存された状態からの再生(蓄積型)を中心に規格化されたのに対し、放送や通信などへも対応すべく拡張が施されています。基本的な技術はMPEG-1と同様です。より高解像度での動画の扱いや高いビットレート(2Mbps以上で圧縮効率が最適化されるように調整されている。それ以下では、MPEG-1のほうが効率がよい)での設定がなされています。他にも、インターレースや多重化への対応があります。想定するビットレートは4~15Mbpsです。

MPEG-2には、放送・通信用のMPEG-2 TSとDVD Videoなどの蓄積型のMPEG-2 PSがあります。HDTV用に、MPEG-3という標準化案も検討されていましたが、その内容がほぼ同じということもあり、MPEG-2に吸収されました。DVD Videoの普及に伴い、急速に普及しました。地上波デジタル放送でも、MPEG-2 TSが採用されています。当初は、専用のハードウェア(DSPなどの専用チップ)を使いデコードすることを前提としていました。最近では、CPU性能も向上し、PCなどでも再生することが可能になりました。

MPEG-4

MPEG-4は現在も規格の策定が続いています。Moving Picture Export Groupでは、MPEG-4を最後の動画符号化規格とする予定です(MPEG-7は、メタデータの表記に関する規格で符号化などは含まず)。しかし、今後も新たな仕様が決められる可能性があります。これまでに、MPEG-4で決められた規格で、重要なものが2つあります。まずは、1999年のMPEG-4 Part2で、たんに「MPEG-4」と呼ばれるものです。それまでのMPEG-2と比較して、低いビットレートでの使用も考慮されています。具体的には、携帯端末や携帯電話などで、動画を使用することが目的です。またインターネットなどでも、利用できるように配慮されています。

次いで、重要な標準化は2003年のMPEG-4 Part10です。「MPEG-4 AVC」と呼ばれるものです。AVCは、Advanced Video Teamの略称です。MPEG-4でより高い圧縮を目指して、ITU-T(国際電気電子通信連合の電気通信標準化部門)との共同作業により、策定されました。ITU-Tでは、動画圧縮規格としてH.261(ISDNによるテレビ会議のために開発された。後のMPEGなどの基盤技術となる)、H.263などを策定してきました。この規格をH.264と呼ぶことから、「H.264」、「H.264/AVC」、「H.264/MPEG-4 AVC」と呼ばれることもあります。

同じ動画の規格ですが、このように表記が異なることがあるので、注意が必要です。圧縮効率を高めることを目標としたように、同じビットレートでMPEG-2の半分のサイズに動画データを圧縮することができます。利用範囲も広く、

  • ワンセグ
  • 次世代DVDのコーデック
  • QuickTime
  • Flash Player
  • iPodやPSPの携帯端末
  • 携帯電話(3GPP/3GPP2)

などで利用されています。今後も普及が進むと予測されます。冒頭に述べたように、H.264を自由自在に扱えるようになることは、動画データをマスターすることに等しいのは、これが大きな理由でもあります。