組み込み技術者向けコースが充実

名古屋ラーニングセンターを特徴付けているのが東京、大阪のラーニングセンターにはない12名教室である。同ラーニングセンターの教室数は前述のとおり9教室だが、その内訳は30名教室が2つ、28名教室が1つ、12名教室が6つという構成となっている。これは、富士通中部システムズと一緒に行っていた過去の経験から、教室の充足率を割り出した数であり、「少し小さな教室を複数用意したほうが、いろいろなコースを受講してもらうことが可能となる」(楠氏)ためである。

同社が提供しているコースの数は全部で560。その内160コースが名古屋ラーニングセンターで受講が可能だ。この160コースという数は、先行して設立されている関西ラーニングセンターのコース数が150ということからも、決して少ないというわけではないことが分かる。「この160コースは、東京および関西の各ラーニングセンターで受講数の多いものや要望の多いものを厳選したものに、中部地区の地域色に合わせた複数の"組み込みコース"を組み合わせたもの」(同)であり、数だけを揃えた、というわけではなく、質的にも高いものとなっている。

要望の多いコースとして、プロジェクトマネージャ関係やネットワーク関係などが用意されている。また、注力する組み込み関連向けとしては、"組み込みソフトウェア技術者のための電子回路/測定技術の基礎"といった初級者向けのコースから、"組み込みソフトウェアモデリング応用 ~プロセスに沿ったモデリング~"、実践力を向上させる"組み込み製品開発・プロジェクトマネジメント(実行編)"といった中級、上級者向けのコースまで用意されている。

初級者向けにLEGOブロックとマイコンを用いた組み込み教育が行われる

マイコンボードを使ったプログラム開発も行われる

同社が注力する組み込み技術者育成コースだが、これまで組み込み技術者を育成するためのインフラは各企業ごとに任されてきたため、レベルも領域もまちまちであった。その後、2005年に情報処理推進機構(IPA)が組み込みスキル標準「ETSS(Embedded Technology Skill Standards)」を策定したことで、ようやく組み込み技術者を育成するインフラが整ったという背景がある。

そうした背景から同ラーニングセンターでもETSSに準拠したカリキュラムを提供している。カリキュラムは随時新しいものが開発されており、2008年度は名古屋ラーニングセンターの開設もあり「自動車を中心とした組み込みコースを開発、下期にスタートさせたい」(同)としているほか、「名古屋地区専用のコースを開発する可能性もある」(同)という。

なお、同社では、こうしたコースを8つのカテゴリに分類、その中において、お勧めのコースを組み合わせて提供するという形態を採用している。また、提供されるコースは半期ごとに見直しが行われており、その時節に対応したものを選択することが可能だ。