3番目の発表は映画のレンタルサービス「iTunes Movie Rentals」だ。レンタルは映画のオーダーから30日間かつ視聴開始から24時間有効だ。料金は新作が3.99ドル、その他が2.99ドルとなっている。この日の基調講演の最大のサプライズは、このレンタルサービスだった。提携スタジオとして、まずMetro-Goldwyn-Mayer (MGM)、Lionsgate、New Line Cinema、Miramax、Touchstone Picturesなど、iTunes Storeではおなじみの顔ぶれが紹介された。続いてJobs氏が「ほかにもこのようなスタジオの作品が……」と言ってスクリーンに映し出されたのは、20th Century Fox、Walt Disney Studios、Warner Bros.、Paramount、Universal Studios Home Entertainment、Sony Pictures Entertainment。メジャースタジオ全てが参加しており、これには会場からどよめきが起こった。
iTunes Movie RentalsはMac、PC、iPodおよびiPhoneで楽しめる。では、テレビでは……というと、昨年Appleは「Apple TV」をリリースしたが、「期待していたような成果が上がっていない」とJobs氏。Apple TVを、iTunesとパソコンのアクセサリという役割にとどめたのが失敗した原因の1つと見る。ユーザーが求めているのは動画の鑑賞システムではなく、映画そのものであり、そこでもっとストレートにユーザーと映画を結び付けるApple TVのソフトウエアアップデートを提供する。新版ではパソコンを介さずにApple TVから直接映画をレンタルできるようになる。HDバージョンの映画のレンタルも可能で、その場合はレンタル料金が新作が4.99ドル、その他が3.99ドルになる。
Apple 、 Amazon 、 Blockbuster 、 Microsoft 、 Netflix 、 TiVo 、 VUDU など、数多くの企業がネット映画配信とテレビを結び付けようとして失敗している |
MacのアクセサリだったApple TVを主役に据えて仕切り直し(撮り直し) |
MacBook Airに光学式ドライブがない理由
最後の4つめの発表は「MacBook Air」だった。既報の通り、世界でもっとも薄いノートパソコンとアピールされた。トラックパッドでマルチタッチジェスチャーをサポートしているのもユニークだが、見逃せないのは光学式ドライブを備えていないという点だ。世界最薄を実現するためには邪魔な存在だったと考えられるし、実際アクセサリとしてUSB接続の外付けSuperDriveを用意している。ただAppleは同時に、光学式ドライブがなくても、ワイアレス経由で対処できる手段も用意しているのだ。例えば、バックアップにはTime Capsule、映画の再生にはiTunes Movie Rentalsという具合だ。
光学式ドライブを使うシーンと言えば、映画鑑賞、ソフトのインストール、バックアップ、音楽CD作成など |
光学式ドライブがなくても、iTunes Movie Rentals、Remote Disc、Time Capsule、iPodで対処できる |
Apple ComuterからAppleとなったことで、デジタルハブというコンセプトにも変化が見られるようだ。従来のデジタルハブにおけるMacの役割に、HDDを備えたTime CapsuleやApple TVを含まれるようになった。昨年のApple TVはMacのアクセサリに過ぎなかったから失敗したのだ。今年のApple TVはリビングルーム向けの機能ではMacと対等であり、Mac同様にコンテンツやサービスを扱える。そのような機器がつながって1つのシステムになるのが今のデジタルハブだ。このように考えると、MacBook Airの薄さはデザインだけではなく、不便を強いることでユーザーにワイアレスなデジタルライフを実現してもらうところにAppleの狙いがあるように思える。もしこれがユーザーに受け入れられたら、さらに身軽なMacが登場するのではないだろうか。
AppleはMacworld開催前にMac Proの新製品を発表した。なぜMacworldまで発表を待たなかったのかという声もあったが、万能でパワフルなMac ProはApple Computer時代のスタイルのパソコンであり、Apple時代のデジタルライフスタイルを提案した今回の発表にはそぐわないと判断したのではないだろうか。