Linuxプラットフォームではアッパーレベルの開発

VxWorksのような組み込みOSから利益を得るモデルはシンプルだ。一方、プラットフォームにLinuxを採用した場合、どのような強みが発揮できるのだろうか。同氏はLinuxをプラットフォームに採用した場合には、ユーザから見て分かるようなアッパーレベルでの開発に注力することになるとしている。カーネルの調整やデバイスドライバの開発ではなく、もっと上位の開発に訴求力を見出すというわけだ。

組み込み開発ではクローズドに開発して優位性や利潤の獲得を実現するモデルが分かりやすいが、マルチコアや複雑なデバイスの発展などで開発が困難になっている昨今、独社ですべてを開発するということは困難になってきている。同氏は「これから世界市場で生き残っていくためには、これまでの開発方針を検討し直す必要がある。組み込みプラットフォームや開発ツールはWind Riverに任せ、顧客は自身の注力すべき部分の開発に専念するという方針への転換が有利に働くだろう」と語った。

OHAとLiMo、両携帯団体に参加している真意は

携帯電話への関心を強める同社はOpen Handset Alliance(OHA)にLinux商業パートナとして参加している。同社の取り組みは、「参加している企業の実力からしても大きな影響をもたらすことになるだろう」と同氏は述べる。現在はOHAスタックの開発にも関わっている。なお、同社には2007年第一四半期には、OHAの話がきていたそうだ。

同氏は「OHAの影響によって、たくさんの『組み合わせビジネス』が生まれるだろう」としている。同社がOHAに参加したというニュースを聞いて、同社はLiMo Foundation(以下、LiMo)にも参加しており、この2つの活動は相反するものなのではないかということが気になった。同社ははOHAでもLiMoでも重要な役割を担っている。この点について同氏は「LiMoとOHAは相補互換することはあっても競合するものではない」としている。「たとえば、LiMo互換性を実現したOHAプラットフォームといったものを考えればよい」と語った。