『栄光の翼』で追加されたポイントは?

フライトシム、いやFSXの本質がわかったところで、本題の『栄光の翼』の見どころをチェックしてみよう。『栄光の翼』はFSXに新しい機体とミッション、そして待望の対戦要素を追加するものだ。ゆえに遊ぶにあたっては『栄光の翼』のほかにFSX本体も必要になるので注意したい。

最初に注目したいのは新規で追加された機体だ。FSXはセスナやジャンボジェットといった機体が主体だったが、『栄光の翼』ではアメリカ海軍の主力艦載機(正確には1つ前)である"F/A-18 ホーネット"をはじめ、各国の軍・警察・救助用に活躍する中型ヘリ"アグスタウェストランド EH101"、そして第2次世界大戦中に生まれた傑作戦闘機"ノースアメリカン P-51D マスタング"の3機種が新たに利用できるようになる。オリジナルのFSXには戦闘機は一切収録されていなかっただけに、この変更点はとにかくウレシイ。

特に"F/A-18"は、初心者がフリーフライトであちこちを飛び回りたい時にも使いやすい。FSXではジャンボからグライダーまで様々な航空機を使えるが、プロペラ機だと馬力がない上に足が遅く、大型旅客機だと重すぎて軽快に飛べない。もちろんグライダーはテクニカル過ぎて論外だ。だがF/A-18は、図体が小さいのに馬鹿みたいに馬力があるので、とりあえずスロットルを開けて機首を上げておけば墜落することはまずないし、足も速いのでいろいろな場所に短時間で到達できる。さらに、HUD(ヘッドアップディスプレイ)を見てれば、姿勢や方位。高度などもすぐに把握できるのだ。

『栄光の翼』で新規追加された目玉機体の1つがこの"マクダネル・ダグラス F/A-18 ホーネット"。残念ながらバルカン砲1発撃つことすらできないが、機体性能が抜群に高いため、初心者がとりあえず飛び回るのには最適だ

F/A-18のコックピット。メーター類は全て3Dで描かれるので(2Dモードもある)、視線を振ってもメーター類はそのまま機能する。かなりの数のスイッチを自分で操作できるので、いろいろ試してみるのも面白い

F/A-18が使えるミッションのいくつかはカタパルトから発進する。カタパルトに車輪をロックする前から脳内で映画「トップガン」のテーマを補完できれば、フライトシムにハマれる素質は十分!?

警視庁でも"おおぞら1号"の名で導入されている中型ヘリコプター"アグスタウェストランド EH101"。FSXのヘリは小型で機動性が高いものばかりだが、これは適度に重く扱いやすい

"ノースアメリカン P-51D マスタング"は最高のレシプロ戦闘機との誉れ高き傑作機。『栄光の翼』ではその運動性を活かしたスポーツモデルとして登場している

さらに、ファン待望の対戦要素も追加された。FSXには元々マルチプレイヤー要素があったが、単にプレイヤー同士が同じマップ上で飛び回れるだけのものだが(バイクで言うところのツーリング)、『栄光の翼』では航空機を使ったハイスピードでテクニカルなレースが可能になっている。各レースはどれもパイロンや旗で示された一定のコースをどれだけ速く飛行できるかを競うものだが、3次元機動が可能な航空機だけに、適格な機動をいかにミスなく決められるかが鍵となる。シングルプレイヤー用ミッションでCPU相手に練習ができるので、ある程度練習を積んでから挑みたい。

対戦要素は航空機を使ったレースが基礎だ。指定されたパイロンの間をひたすら抜けていくだけだが、これが非常に難しい。的確な速度制御と旋回をマスターするまではソロで練習するといいだろう

F/A-18を使って峡谷を駆け抜けるレースもある。戦闘機を扱ったゲームでは割とお馴染みのシチュエーションだけに燃える燃える! 上に逃げると手痛いペナルティがあるため、緊張感はかなりのものだ

また、『栄光の翼』ならではのシングルプレイ用ミッションも用意されている。武器が使えないという制約を感じさせない、巧みな設定と雰囲気の盛り上げ方は必見だ。 FSXにはヘリコプターのミッションも用意されているが、『栄光の翼』ではそちらもパワーアップしている。新規追加された"EH101"には荷物をロープで吊り下げる機能があり、それを使った輸送/救出ミッションは激しく歯ごたえがある。何せ、吊り下げたロープの先を正確に荷物に近づけないとダメなのだ。ヘリ独特の操縦感覚を身体に叩き込みつつ挑戦しよう。

新規追加されたミッションの中でも割と簡単なのが「未確認飛行物体を追跡せよ」。UFOを一定時間追跡し、ウイルスコードを送信するというものだが、適当に飛んでいるだけでは、あっという間に振り切られる。視界に小さく見えるのはUFOの母艦だ

FSX自体にもミッションは多数収録されている。走行するバスの上に着陸するなんていうおバカなミッションもあるが、やってるほうは汗だくだ

ミッションの基本は離陸と着陸だ。だんだんとリアリティを高くして、実際の航空機の挙動に近い状態でトライしてみるのもいいだろう