ハリウッドの超大作での役割
--ジョンさんが関わられたスター・ウォーズシリーズを教えてください。
ジョン氏:「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」のスペシャルエディションからですね。宇宙戦闘シーンばかりを担当していました。
--大作映画に長年携わっていく中で、ジョンさんの役割というのは何か変わってきましたか?
ジョン氏:会社の中での立場は間違いなく上がっています(笑)。いろいろと賞をいただいたりしたこともあって、名の知れた大作に携われるようになっています。
--アカデミー賞を受賞した時はどのような感想を持たれましたか?
ジョン氏:非常にいい時期でしたね。私が嬉しいというよりも、現場のクルーにとっていいことだと思いました。本当に質が高く、よくがんばってくれる最高のクルーたちですから。一番感極まったのは、授賞式の翌日会社に行ったときにちょっとした集まりがあったのですが、そこでのクルーたちの目の輝きが違うんです。あれを見たときには本当に感動しました。
--映画界最高の賞をすでに手に入れてしまったわけですが、ジョンさんはこの先どういったことをしていきたいですか。
トーマス氏:もう一度アカデミー賞を獲ればいいじゃないか(笑)
ジョン氏:私はVFXの仕事が好きですから、賞を獲るということは関係なく、この仕事が楽しからやっているんですよ。
CGの進化の先には
--現在映像のCG化が進んでますが、ジョンさんはこの先映像はどのように進化していくと思いますか。
ジョン氏:すべての映像がCG化されてしまうというのは、まったくないとは言い切れませんが、実写映像とCG映像がバランスよく残っていくと思います。
--ジョンさんはどちらのほうが好きなのでしょう?
ジョン氏:特にどちらが好きというのはないのですが、なんらかの現実、何らかの実写というのは映像製作で絶対に必要ですから、実写映像はなくならないと思います。
--現在映画に登場するキャラクターがCGに置き換わってきていますが、昔のアニマトロニクスなどのモデルに比べてどうですか。
ジョン氏:「パイレーツ・オブ・カリビアン」に関していえば、実際の特殊メイクでは創り出せないキャラクターを作ろうと思ってCGで作成しました。中には体に穴が開いてしまっているキャラクターもいるので、人間では表現できないところはCGを使って表現しています。ディビー・ジョーンズの肌なんかは半透明になっていますからね。メイキャップでできないところをCGにしているわけです。
--「パイレーツ・オブ・カリビアン」の骸骨なんかもハリー・ハウゼン氏のようなキャラクターアニメーションを使っても面白かったでしょうね。
ジョン氏:ILMの中のクリエイターにもハリー・ハウゼン氏に影響を受けながら育ってきた人が非常に多いんです。「シンドバットの冒険」で骸骨と剣で戦うシーンがありましたが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の台本があがってきたときにまさしくあのシーンを思い浮かべていた人は多かったと思います。実際にハリー・ハウゼン氏は、よくILMに顔だしてくださっているのですが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の1作目の骸骨との戦闘シーンの撮影時にも同席してくださり、非常に嬉しかったのを覚えています。
--イベントで見せていただいた「パイレーツ・オブ・カリビアン『ワールド・エンド』」の渦巻きのCGですが、これは専用のマシンを使用して作成しているのでしょうか。
ジョン氏:特に専用のマシンというわけではないのですが、32GBのメモリを搭載したマシンで、レンダーファームを使って作成しています。この映画では、5,000台のAMDの64bitのブレード・サーバでレンダーファームを構成しています。渦のシミュレーションに使用したソフトはスタンフォード大学と共同で開発したオリジナルのものです。