今年春夏の最もホットな話題とは

総合ポータルサイト「網易」傘下の新サーチエンジン「有道」が先月末、2007年春夏期のブログ話題ランキングを発表した。サーチエンジンによるブログ関連統計は、中国全土でみて、これが初めてだという。中国網民が何に最も関心を持っているかを知るには、格好の題材を提供してくれたわけだ。

話題ランキングのトップテンは、下記の通り。

順位 話題
1 母親節(母の日)
2 快楽男生(湖南衛星TVが主催する人気番組『Super Boy』のことで、中国全土から男性の新人歌手を発掘する)
3 児童節(6月1日。中国では「子供の日」にあたる)
4 愚人節(エイプリルフール)
5 端午節
6 清明節
7 NBA
8 加油!好男児(東方衛星TVが主催する『ガンバレ!イイ男』のことで、同じく中国全土から男性の新人歌手を発掘選抜するショー)
9 父親節(父の日)
10 米バージニア工科大の銃乱射事件

このランキングからは、中国網民あるいは現代中国人の意識について、いくつか興味深い側面を読み取れる。

まず、最も重視しているのは年中行事だ。関連する話題がトップテンのうちの6件を占めており、分野としては圧倒的に多いといえる。また親子関係、家族を最も大切にするライフスタイルが、「母親節」、「児童節」、「父親節」といった祝日を重視する姿勢として如実にあらわれている。

中国古来の伝統的行事、たとえば「端午節」や、「清明節」よりは、いわば舶来品の行事、たとえば「母親節」、「愚人節」を楽しむのも今風だ。

さらに言えば、アメリカ的なテレビイベントが大好きである。正真正銘のNBAはもちろん、アメリカンドリームの中国バージョン──いわば二番煎じとすら言われている「快楽男生」や「加油!好男児」も高い人気を博している。「米バージニア工科大の銃乱射事件」が、ニュースとして唯一トップテンの末位を獲得したことは、現代中国網民が、世界中で起こる衝撃的な事件に一定の強い関心と、迅速な反応を示す様子をあらわしている。

ブログは本来、普通の人々が自分の感情や考え方などを披露したり、生活を記録したりする場であるから、普通の人々と密着する年中行事、娯楽やスポーツイベントなどがトップテンのうちの9件を占めていることは容易に理解できる。言い方を換えれば、中国網民がブログの本来の価値を発揮し、「草根博客」として活躍しながら、そのステージを拡張させているとも言えよう。

メディア価値+商業価値で新浪も変容

2005年9月に設立された新浪博客は、Web2.0時代のUGC(User Generated Contents)の特徴を踏まえ、「精英博客」と「名人博客」を看板として掲げ、ブログに対する網民の関心を呼ぶべく、普及活動に力を入れてきた。結果としてこの戦略は見事に成功し、新浪博客はそれから2年もたたないうちに、中国で人気No.1のブログポータルサイトとなった。

網民が作成したコンテンツは、新浪博客だけでなく、新浪傘下の各チャンネルに転載され、各分野で重要な情報発信元になりつつある。これにより、ブロガーの自己表現の舞台として出発した新浪博客は、大きなメディア価値を持つようになり、より広範な層の関心やページビューを呼ぶに至ったのである。iResearchによれば新浪博客の月間ページビューは基本的に増加の一途を辿ってきており、今年6月には月間ページビューで3.67億を記録、前月比17.6%増となった。

新浪はこうした成果を踏まえ、新浪博客のメディア価値がもたらした商業価値を一層開発していく構えだ。新浪は今月8日に今年第二四半期の財務報告書を公表したが、営業収入が5,980万ドルで前年同期比11%増。そのうち広告収入が4,120万ドルで、同40%増となった。一方で広告外収入は1,860万ドルで同23%減となり、広告収入が新浪の最も重要な金脈となってきている。

なかでもブログ広告による収入が、すでにこの金脈の一部になっている。