Mac OS X用バックアップツールは数多あるが、ここ日本ではなかなか普及していないように見受けられる。理由はいくつか考えられるが、明日やればいいや、今度ひまなときでいいや、気が向いたときで……実際のところはわからないが、本音はやはり"バックアップが面倒"だからだろう。この危機意識のなさは、HDDクラッシュという不測の事故に見舞われたとき、大切なデータの喪失という悔やんでも悔やみきれない事態を招くことになる。

Indelible IIの特徴は、Macユーザに親しみやすいユーザインターフェイスと、メニューを選びボタンを数回クリックする程度で作業が完了するという、「割り切りのよさ」にあるといえる。HDDクラッシュという(自己基準で)未曾有の災難に遭ったばかりの身としては、バックアップという作業にもっとも大切なのは、まさにこの部分だと考える。バックアップソフトは機能の豊富さではなく、必要な機能をどれだけ単純化して提供するか、どれだけ簡単に(できれば無意識のうちに)利用できるかが重要なのだ。

筆者はこれまで、UNIX伝統のtarやNeXT由来のdittoを利用してバックアップ作業を行っていたが、ディレクトリ / ボリューム全体を一括バックアップするときには便利なものの、特定の拡張子を持つファイルに絞り込むなどの用途には利用してこなかった。正直、面倒だったからだ。

いまさらな話だが、このような"面倒くさがりでも簡単に使える"バックアップソフトが手元にあれば、HDDがクラッシュしたときに慌てふためくことはなかったはず。そこのあなた。他人事じゃありませんよ。悪いことはいわないから、今のうちにバックアップの習慣を身につけておいたほうがいいですよ。

"バックアップを面倒に感じさせない"ことが実は難しい