だいぶ後回しになってしまったが、本稿ではVIA Technologies関連の話題をレポートしたい。同社はCOMPUTEX会期中の6~7日に、隣接するホテルで恒例の「VIA Technology Forum」 (VTF2007)を開催しており、そこでの内容もあわせて紹介しよう。

VTFの開幕直前、国内メディアからの猛烈な取材を受けていたWenchi Chen社長兼CEO

携帯電話プラットフォームに参入?

VTF初日の基調講演にて、同社のWenchi Chen社長兼CEOが披露したのが新フォームファクタの「Mobile-ITX」。大きさはわずかに7.5×4.5cmで、この基板上にx86アプリに必要な全てのコンポーネントと、CDMAチップまで搭載したという。

「Mobile-ITX」は名刺よりも小さいとアピール。"Business Card Size(BCS)"というニックネームもあったそうだ

同社の小型化の歴史。Pico-ITXのCPUはNanoBGA2であるが、その隣に見慣れないものが。新パッケージか?

いつも通り、Chen氏はこのサンプルボードをポケットから取り出すというパフォーマンスで紹介したのだが、講演後にそのまま持って帰ってしまい、残念ながら最後まで実物を近くで見ることはできなかった。COMPUTEX会場の同社ブースには展示がなく、しかも誰に聞いてもあまり詳しくないあたり、まだ立ち上がったばかりのものなのかもしれない。

Pico-ITXの大きさが10×7.2cmだったので、またさらに半分小さくなったことになる。CPUはまだしも、いままでのチップセットのパッケージサイズではこんな小型化は到底無理だと思われるが、細かい仕様についての言及は特になかった。ITX好きの自作ユーザーには気になるところであるが、CDMAチップまで搭載されていることからも、これは完全にモバイル向けの組込み製品となる可能性が高そうだ。

VIAのウルトラモバイル

また今回、同社はいわゆる"UMD(Ultra Mobile Device)"のリファレンスデザインとして、「NanoBook」を発表した。7インチのタッチスクリーンディスプレイ(800×480)とフルキーボードを装備するノートPC型デバイスで、CPUはC7-M/1.2GHz、チップセットは1チップのVX700を搭載。大きさは230(W)×171(D)×29.4(H)mm、重量は850gだ。

これが「NanoBook」。実際に持ってみた感じでは、重くはないが軽くもない、といったところ

デバイスマネージャの画面。IEEE 802.11gやBluetoothも入っていることが確認できる

左側にはカードリーダーとDVI端子

右側はUSB、LAN、オーディオなど

ぱっと見て、ディスプレイの隣に何かがあるのが分かるが、これはVoIP、GPS、時計などの機能を持つ「MobilityPLUS」というモジュール。VoIP機能を使うときには、本体から取り外して電話のように利用することもできる。モバイルとなると、気になるのはバッテリ持続時間であるが、担当者の話では、5時間30分程度だという。

まだモックアップだが、こんな感じで取り外せる

そしてこのNanoBookをベースにした製品が、実際にPackard Bellから発売される計画があるという。「EasyNote XS」という製品名で、NanoBookのような拡張モジュールは付かないが、その代わりにカメラとマイクが仕込んであった。こちらは9月頃の発売を予定しているそうで、価格は600ドル程度になるとのこと。

Packard Bellの「EasyNote XS」。NanoBookに似ているが、拡張モジュールの有無やポインティングデバイスの位置などが異なる

大きさ的には、UMDというよりも小型のノートPCといった感じ。ちなみに、Let'snote Rシリーズとなぜかほぼ同じサイズだ

マザーボード関連の話題

Mini-ITXマザーでは、グラフィック機能が強化された「EPIA SN」が注目だ。弊紙ではすでに第一報をお伝えしているが、これは「Chrome9 HC」グラフィックコアを内蔵する「CN896」チップセットを初めて搭載するマザーボード。DirectX 9に対応しており、Windows VistaのBasicロゴも取得したという。

注目の新製品「EPIA SN」。DDR2-667メモリスロット×2、PCI Express x16スロット、SATAコネクタ×4などが用意されている

ノースブリッジは「CN896」が搭載されている。組込み向けのCN/CXシリーズでは、Chrome9の統合は初めてだ

前述のレポートからまだ日が浅いこともあり、新情報はほとんどなかったが、ブース担当者に聞いたところでは、量産はやはり7~8月くらいになりそうとのことだった。ボードは以前見たものと同じで、基板上には動作クロックが2GHzと思われるC7が搭載されていたが、製品ラインナップについてはまだ決まっていないそうだ。