Chipset
昨年はついにIntelとAMDのロードマップがスライド1枚に収まる形になってしまったが、今年は再び分離した。この背景には、今年3月に同社がIntelと1333MHz FSB/Quad Coreのバスライセンスを締結した事があるのは明白だし、さらにその裏にはATIがAMDに買収・合併されてしまい、にもかかわらずNVIDIAが独立勢力のポジションを崩さないため、SiSを味方陣営に引きずり込むしかない、という話である。敵の敵は味方みたいな話ではあるが、結果的にSiSはIntel向け製品を大幅に拡充する方向性を明確に打ち出した。
さてまずIntel向けだが、SiSは久々にSingle Chip製品をここに投入する。680SCD/SCE/SCH/SCP/SCLの5製品だ(Photo02)。基本的なスペックは同じであり、
- 680SCD:ハイエンド向け、統合グラフィックなし。1333MHz FSB対応。
- 680SCE:メインストリームトップ向け。Mirage 4内蔵。1333MHz FSB対応。
- 680SCH:メインストリームミドル向け。Mirage 4内蔵。1066MHz FSB対応。
- 680SCP:メインストリームボトム向け。Mirage 4内蔵・HD Video対応なし。1333MHz FSB対応。
- 680SCL:バリュー向け。Mirage 4内蔵・HD Video対応なし。1066MHz FSB対応ながらDDR2-1066には未対応。
といったところ。ついに統合グラフィックが、DirectX 10対応のMirage 4に進化し、しかもワンチップという魅力的なソリューションにしあがった。
面白いのは、このSingle Chipが出た後の2008年Q1~Q2に掛けて、今度は2 Chip Solutionが出荷されることだ(Photo03)。SiS665がハイエンド、メインストリームがSiS673FX、バリュー向けがSiS673となっている。何で同じ機能を持つ2種類の製品があるのか理解しにくいが、かつてSiSのSingle Chip構成のチップセットが、サウスブリッジ機能にバグがあり、結果としてチップセット全体が使えないという事態に陥ってえらく大変な騒ぎになった事がある。あるいはOEMベンダーの中にはこの時のことを覚えていて、強硬に2 Chip Solutionを求めたのかもしれない。
Photo03:両者(Single Chipと2 Chip)はまったく同じ機能だ、というのがYang氏の説明。「んじゃ何で両方出すの?」と聞いたところ、「俺にはわからないからあとでボスを紹介する。なのでボスに聞いてくれ」という答え。ところがボスが彼より先に姿を消してしまい、結局聞けずじまい。「後でボスに聞いて答えをメールする」と言われているが、今のところメールは届いていない。 |
それはともかく、急速にIntel向け製品ラインナップを増やす必要性が出たためか、割を食ったのがAMD向け。ロードマップはこちら(Photo04)だが、昨年のこれと比較すると、SiS 771がどこかに消えてしまったことがはっきり分かる。その代わりに投入されるのがSiS 757。SiS772は昨年の計画から1年以上のDelayになってしまった。相対的にAMD Platformの競争が激しくなり、特にAMD 690ファミリーと真っ向勝負となってしまうため、Direct X 9相当のMirage 3を統合しても勝ち目がなく、グラフィックをMirage 4に乗せかえるためにDelayした、ということだそうだ。
Photo04:結果的にAM2+への対応は随分遅れることになる。ただ幸いAM2のままでもAM2+のCPUは使えるから、暫くはこれで凌ぐということか? それにしてもたった1年で環境が随分激変してしまった。 |
一方サウスブリッジであるが、SiS968はすでにMass Productionに入ったものの、SiS969はさらにDelay(Photo05)。もっとも、South BridgeのチームはまずはSiS 680シリーズの開発に専念しているようだから、こちらが後回しになるのは致し方ないと思われる。