McCaslin & Menlow Platform

次はUMPCに関する話題だ。まず現在Intelは、DothanをベースにUMPCのプラットフォームを提供しているが、2007年にはMcCaslin Platformを投入、更に2008年にはMenlow Platformを提供することを明らかにした。さて、まずはMcCaslin Platformについてだが、こちらは余り目新しい話はない。基調講演で述べられた話をまとめると、

  • CPUは90nmプロセスを利用しており、製品名はA100/A110の2製品。TDPは3W以下に抑えられている。それぞれ600MHz/800MHzの動作周波数で、FSBは400MHz、キャッシュは512KBになっている。
  • チップセットはIntel 945GUとICH7Uの組み合わせとなる。

という程度だ(Photo29)。従来このマーケットに投入していたCeleron M processor Ultra Low Voltage 353の場合、900MHz駆動でTDPは5Wという枠だった。またパッケージは通常のMobile向けと全く同じだったが、これが大幅に緩和されることになる(Photo30)。チップセットは945GMSをベースに、不要な機能を「簡単に省ける範囲で」省き、省電力化と省スペース化を実現したと考えられる(Photo31)。ただし性能的には第1世代のUMPCとさして違いが無いわけである。ちなみに会場ではパッケージも実際に展示されたが(Photo32)、2007年のプラットフォームは先ほどPhoto24~28で示したものと何ら違いが無い。ここから推察するに、恐らくこれは先に省スペース向けパッケージが開発され、これをMobility GroupがBlue Dolphinとして、Ultra Mobility GroupがMcCaslinとしてそれぞれ製品化に採用した、という以上のものでは無いと思われる。

Photo29:これは基調講演の後で開催されたBriefingにおける「本日の発表のまとめ」スライド。

Photo30:発熱・消費電力・パッケージサイズの比較。発熱そのものは余り変わらないが、消費電力やパッケージサイズは大幅に削減される。ただ消費電力に関しては、CPUのみならずチップセット側も多少貢献していると思われる。

Photo31:目に付く部分ではGMCHのPCI Express x16やICHのSATA/PCI Expressが全部省かれている。これらはダイ上で殺す形で省電力化を図っているのであろう(流石に物理的に省くところまではやってないと思われる。それが行われるのはMenlow PlatformのPoulsboだろう。

Photo32:横に置いた1円玉(日本のもの:直径20mm)と比較すれば各々の寸法が概ね推測できる。

まぁそうは行っても、省スペース性を生かした製品が作りやすくなるのは事実。富士通の試作機(Photo33)などは、キーボードのつくりも通常のノートPCに近いもので、これなど「限りなくノートPCに近い」UMPCの実例といえそうだ。

Photo33:これでトラックポイントだったら完璧だったのだが…というのは筆者の個人的な趣味。左に装着されたACアダプタのジャックの大きさから、逆に全体の小ささが推測できる。