ところで、外資企業は卒業生にとって相変わらず最も人気のある就職先だ。当該調査では卒業生の約3割が外資企業を就職する際の第一希望としている。これに続くのが国営企業(25.80%)、政府機関(15.20%)で、これら三つの総和はほぼ7割に達する。雇用吸収余力が最も大きいはずの民営企業と個人企業は、大学卒業生にそっぽを向かれているかたちだ。このあたりをみると、数年前までの卒業生の「起業熱」はかなり冷え込んでいるように思われる。

調査は、人材市場の需要供給バランスの矛盾をある程度反映している。外資企業は、卒業生受け入れではさほどの余力がないにもかかわらず、最も人気がある。政府機関も同様だ。近年来の、安定志向の「公務員ブーム」には、ここ数年むしろ拍車がかかっている。

初任給をみると、卒業生の希望賃金はほとんど3000元/月以下に留まっている。こうした状況は北京や上海のような大都市部でも同様で、二桁の長期経済成長が続く割には大卒者の賃金が上昇していない現状がみてとれる。

就職希望地をみると、北京、上海といった大都市圏に集中。卒業生の就職希望地が北京、広東、上海およびその他の沿海都市部に集中し、中央政府が開発重点に掲げている中部地方や西部地方を希望する卒業生はきわめて少数だ。当然ながら、政府の産業政策との乖離が広がっており、人材需給上の矛盾が深刻化している。なお、当該調査では北京が最も人気を集めており(24.69%)、これに次ぐのが広東省(21.76%)となっている。