NVIDIAは26日、GeForce 8600/8500シリーズで搭載された高画質化機能「PureVideo HD」に関する技術説明会を開催した。解説を行ったのは、同機能を担当する米NVIDIA Multimedia部門のProduct Marketing ManagerであるPatrick Beaulieu氏。

同機能をデモするPatrick Beaulieu氏

まずハードウェア面でPureVideo HDと前世代のPureVideoと比較すると、Video Processor(VP)のバージョンが1から2(VP2)にアップ、Bit Stream Processorが追加、AES128エンジンが追加されるという3点が異なる。当然、従来のPureVideoが搭載していた各種高画質化機能は引き続き利用可能だ。

VP2へと進化、BSPとAES128エンジン等を搭載したPureVideo HD

従来と異なる点のみピックアップして紹介していくと、VP2では、MPEG-2やH.264、VC-1といったコーデックにおけるIDCT(Inverse Discrete-Cosine Transform)、MotionComp、Deblockingといった処理をGPU側で処理可能となるほか、第2のビデオストリーム(例えばBD/HD DVDタイトルではディレクターズカットなどを本編に重ねて表示すること)を処理することが可能とされる。BSPでは、CABAC/CAVLCといったエントロピー復号化処理を行う。そしてAES128エンジンは、当然ながらコンテンツ保護関連の暗号化通信のために用いられる。

PureVideo HDでは、GeForce 7シリーズよりもさらに多くのことを、GPUがCPUに変わって処理する

PureVideo HDによるビデオストリーム再生時の処理のながれ

これによって、従来CPUがおこなってきた処理をGPU(この場合カードと言うべきだろうか)で処理できるようになる。同氏の示したグラフは、Core 2 Duo E6400をベースに、BD/HD DVDビデオの再生をCPUで処理した場合、GeForce 7600 GT(VP1世代)で処理した場合、G84(つまりGeForce 8600)で処理した場合での比較だ。

Yozakura HD DVDを見るとCPU使用率は100%、Open Season BDは90%、そのほかも80%以上となっておりCPUを限界近くまで使っている。GeForce 7シリーズを追加した場合、VP1で処理すれば60%前後まではCPU使用率を減らすことができる。しかしG84の場合、一気に20%程度までCPU使用率を減らすことが可能と示されている。つまり、BD/HD DVDがコマ落ちなくスムーズに再生できるとともに、この余ったCPU使用率で他のタスクを動かすことも可能となる。ちなみにG84でもCPU使用率が20%程度必要となっているのは、GPUの関わらないドライブ-CPU-GPUなどのデータ伝送処理にCPUパワーが要されているためである。

PureVideo HDにより余ったCPU使用率は第2のビットストリーム処理などコンテンツ自体をよりリッチにすることも可能、他のタスクに割り振ることも可能

メディアから出力までのデータのながれ

HD DVDタイトル「夜桜」再生時のCPU使用率。途中でハードウェアアクセラレーション機能を(再生ソフトのオプションから)オフからオンにしている

これは別のタイトル。メインコンテンツを再生しながら、右下に撮影風景、左上に絵コンテなど、複数のビデオストリームを重ねて表示することが可能

もうひとつ注目すべきは、低価格機あるいは旧モデルのPCにG84を搭載した場合の効果だ。Core 2 Duo E6400をもってしても100%に近いCPU使用率となるBD/HD DVD再生処理だが、GeForce 8500 GTを追加すればPentium 4 531でもCPU使用率35%前後で再生できるというのが次に示したグラフ。極端な話、Pentium 4 531を搭載したPC、比較的廉価なHD DVDプレーヤー、GeForce 8600 GTの組み合わせなら約1000ドル以下のコストでHD DVD再生マシンが手に入る計算になる(ただしデジタルで楽しむにはHDCP対応ディスプレイは別途必要だ)。

シングルコアのPentium 4構成でもBD/HD DVDの再生が可能という

1000ドル以下でHD DVD再生環境を構築可能。PureVideo HDのこうした機能をGPUに搭載することはPCメーカー側から要求が高かったとのこと

同社では、一定の要件を満たしたPCに対し、「PureVideo HD」ロゴを付加するという。ただし、ここでいうHDには、旧世代VP1のGeForce 7シリーズも含まれておりGeForce 8600/8500でいうPureVideo HDとは異なるようだ

比較的低コストで容易なメインストリーム向けグラフィックスカードの拡張で、(場合によっては性能の低いCPUであっても)BD/HD DVD再生が可能となる、従来までのPureVideo同様に各種の高画質化機能が利用でき、さらに(システム構成によっては)3Dゲームも楽しめる、というのが同氏の主張するGeForce 8600/8500シリーズ、そしてその搭載するPureVideo HDのメリットだ。

PureVideo HDの特徴4つ