――2017年度における「成長」とは具体的にどんなことを指しますか。

河野氏 2017年度は増収増益を目指します。ソニーマーケティングは、すでに増益基調に転じていますが、2011年度以降は減収が続いたままでした。2011年7月の地上デジタル放送への完全移行に伴うテレビ需要の反動が続いていたこと、VAIO事業の売却によるPC販売の縮小、タブレット事業からの撤退など、減収の状況からは抜け出せずにいました。そして、昨年度は熊本地震の影響により、イメージセンサーが品不足となったことで、デジカメの生産量が減少しました

また、2015年3月には早期退職プログラムを実施し、全体の10%にあたる300人規模の退職を伴う構造改革を実施しました。その際には、カタログのページ数を減らすことまで行ったほどです。しかしその間、社員のマインドまではリストラされなかったといえます。経営層からは現状について積極的に情報を開示し、社員が納得感を持って構造改革に取り組んできました。

2016年度からは将来に向けた投資として、ソニーストアの出店にも注力してきました。そして2017年度は、いよいよ増収増益を目指す「成長」に挑戦します。その点が、これまでの事業計画とは大きく異なります。

――ソニーストアとしては5店舗目となるソニーストア札幌が2017年4月1日にオープンしました。

河野氏 北海道のお客様の近くに、ソニー自らが出店できることをとてもうれしく思っています。ソニー製品のすべてをいち早く展示したり、時には発売前の製品も体験できる場所がソニーストアです。ソニーストア札幌は、北海道全域のソニーファンが気軽に訪れて、製品を体験し、吟味してもらえる場所にしたいと思っています。

ソニーストア札幌

今回のオープンに合わせて、北海道では初公開となる100型4K液晶テレビ「KJ-100Z9D」を4月23日まで展示しています。これは量販店では展示されていない液晶テレビですし、ソニーストアでも銀座と札幌にしか展示していません。さらに、発売前の超短焦点4K HDRホームシアタープロジェクター「VPL-VZ1000」を4月16日まで先行体験できるようにしています。

ソニーマーケティングでは「カスタマーマーケティング」に取り組むことを掲げていますが、これは、買ってもらったらそれで終わりではなく、購入前から購入後までをサポートすることを目指した顧客中心のマーケティングであり、ソニーストアはそれを実現するための最重要拠点となります。ソニーストアとカスタマーマーケティングを通じて、ソニーファンを創出し、ソニーファンの顧客満足度を高めたいと思っています。

銀座と札幌のソニーストアだけに展示している100型4K液晶テレビ「KJ-100Z9D」。希望小売価格7,000,000円の受注生産モデルだ

ソニーストア札幌のシアタールームでは超短焦点4K HDRホームシアタープロジェクター「VPL-VZ1000」を発売前に体験できる