元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな債権は「公社債」です。

前回は、確定拠出年金とは何なのか、さらに3つの控除について解説しました。それを読むと、いかに確定拠出年金が優遇された制度であるか分かります。「入ろうかな?」とちょっぴり思ったのではないでしょうか。今回は、知っておくべき注意点や入り方を案内します。

注意点

1. 支払ったお金は60歳までもらえない

年金制度なので、一般的な定年の年齢である60歳まで、払って貯まったお金はもらえません。「オレの金だぞ! 返せ!」とか言っても返ってきません。60歳までお待ちください。リストラや左遷で支払いが厳しいようであれば、毎月の支払いをストップすることはできます。

2. 支払ったお金より、もらえるお金が減るかもしれない

投資をするということは、リスクがあります。お金が増える可能性があるということは、お金が減る可能性もあるわけです。絶対にお金が増えるなら、みんなが全財産をつぎ込むはずです。

でも、国が確定拠出年金をおすすめするのは、プロに任せて長期的にお金を運用すれば、お金が減る可能性が少ないからです。投資になじみのない人でも、プロが運用してくれる確定拠出年金で、資産を増やしましょう、とこういう制度となっています。

入る年齢は?

確定拠出年金は、1年間だけお金を払っても、60歳からお金がもらえるわけではありません。最低でも10年間払ってからでないとお金がもらえないのです。だから、加入するなら、50歳未満がおすすめです。

会社員の場合、勤務先の状況により、毎月の掛金のMAXが異なります。1.2万円の人と、2万円の人と、2.3万円の人がいます。現状、支払いが難しいようであれば、確定拠出年金自体を先送りにしても良いですが、将来の安心を考えれば、可能な限り早く入る方が良いでしょう。特に年収が高い人の方が控除が大きいので、お金持ちほど早く入りましょう。

入り方

あなたが知っている有名な会社が確定拠出年金の窓口になっています。興味があれば、インターネットで資料請求してみていはいかがでしょう。

窓口には、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行といった銀行もありますし、SBI証券、大和証券、楽天証券、野村證券といった証券会社もありますし、東京海上日動、日本生命といった保険会社もあって、確定拠出年金を取り扱っています。

どこかの金融機関を選んだら、掛金を決めて、投資商品を選びます。掛金の最低金額は5,000円です。月5,000円なら、ほとんどの方が将来のために確定拠出年金を始められるのではないでしょうか。ただし、手数料がかかります。

確定拠出年金の手数料まとめ

1. 口座開設手数料

国民年金基金連合会へ2,777円の手数料を支払う必要があります。さらに、窓口となる銀行や証券会社にも手数料が必要となることがありますが、ほとんどの取扱先が、この手数料を無料にしています。

維持費もかかります。国民年金基金連合会と信託銀行への手数料が月額167円です。さらに、窓口となる銀行や証券会社に手数料が必要な場合があります。こちらは無料のところもありますし、多くても月400円です。手数料は、投資や確定拠出年金を行う上で、とてつもなく重要です。

確定拠出年金の場合、毎月5,000円支払うと年間6万円。この6万円は所得控除ができます。所得控除があると、あなたが払う税金が減りますが、減り方はあなたの所得税率によって異なります。年収400万円の会社員の方は、所得税率のMAXが10%です。年間の掛金6万円の10%で6,000円、所得税が減ります。

住民税も6,000円減りますので、年間12,000円の税金が減ります。もう少し年収が低く、所得税率が5%なら、年間9,000円の税金が減ります。手数料と減税のバランスを見ることは、人に名前を聞く前に自分から名乗るくらい基本的なことです。

2. 運用方法

投資信託には、たくさんの商品があります。株もありますし、国債もありますし、外国の株も外国の国債も、不動産や金もあります。確定拠出年金に入ってから、どんな商品にするかあなたが選ぶのです。個別の銘柄を選ぶわけではなく、あくまで、プロフェッショナルが作ってくれた商品の中から選びます。よく分からなければ「インデックス」と書いてあるものがおすすめです。おすすめの理由は、難しいので割愛します。

前回から続いた確定拠出年金いかがでしたでしょうか。将来に不安を感じたり、会社員が控除を受けようと思ったり、投資を始める入門編として検討してみてください。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら