JR東日本とJR北海道は4月6日、大宮駅6時0分発の臨時列車「はやぶさ101号」を6月23・30日に運転すると発表した。新函館北斗駅の到着時刻は9時41分。途中停車駅は大宮駅、仙台駅、盛岡駅、新青森駅となっている。

臨時増発列車は定期列車に遠慮するかのように停車駅を増やし、時間調整する事例が多いけれど、今回の臨時列車は速達タイプの「はやぶさ」と同じになっている。早朝だから主要駅しか乗客を見込めないかもしれないけれど、この速さのおかげで、かなり便利な列車になった。新函館北斗駅到着が定期列車より1時間も早い。

  • 時刻表2018年4月号をもとにに作った東北新幹線ダイヤ。赤が速達タイプ、黒が停車タイプの列車。青で臨時「はやぶさ101号」を加えてみると、このままだと盛岡駅の手前で「はやぶさ95号」に追いついてしまう。当日は「はやぶさ95号」のダイヤを小変更し、北上駅で待避が行われるだろう(列車ダイヤ描画ソフト「OuDia」で作成)

JR北海道側の受入れ体制も万全といえる。函館方面は新函館北斗駅9時54分発・函館駅10時9分着「はこだてライナー」を臨時運転。札幌方面は特急「北斗85号」を臨時運転し、函館駅を9時31分、新函館北斗駅を9時51分に発車し、札幌駅には13時42分に到着する。他に五稜郭駅、大沼公園駅、森駅、八雲駅、長万部駅、洞爺駅、伊達紋別駅、東室蘭駅、登別駅、苫小牧駅、南千歳駅、新札幌駅にも停車。どの駅も定期列車より早く着く。

ちなみに定期列車でこのルートをたどると、最も早い列車は東京駅6時32分発「はやぶさ1号」で新函館北斗駅10時57分着だった。「はこだてライナー」に乗り継ぐと、函館駅には11時25分着。「スーパー北斗9号」に乗り継いだ場合、札幌駅14時41分着となり、早朝臨時列車より1時間も遅い。東京方面から札幌まで乗り継ぐ人がどれほどいるかわからないけれど、昼過ぎに1時間も早く着くなら、札幌市内の観光時間も長く取れそうだ。

鉄道ファンならその先の乗継ぎにも注目したい。臨時「はやぶさ101号」「北斗85号」で札幌駅に着くと、釧路行の「スーパーおおぞら7号」に乗り継げる。釧路駅到着時刻は18時39分。運転日の日没は19時以降だから、明るいうちに到達できる。「はやぶさ1号」「スーパー北斗9号」の場合は「スーパーとかち5号」で帯広駅19時着。「スーパーおおぞら9号」で釧路駅21時59分着。3時間以上も差がある。

網走・稚内方面の接続列車は変わらない。網走駅へは札幌駅15時30分発「ライラック25号」から「大雪3号」の乗継ぎで網走駅20時49分着。稚内駅へは札幌駅18時30分発「ライラック35号」から「サロベツ3号」の乗継ぎで稚内駅23時47分着。どちらも運行本数がもともと少ないので、しかたない。しかし札幌駅に1時間早く着けば、札幌市内の観光、食事などに時間を使える。網走へ行くなら札幌滞在時間は1時間48分。稚内へ行くなら札幌滞在時間は4時間48分となる。

出発地側はどうか。JR東日本が大宮駅始発の臨時新幹線を設定した理由は、定期列車が走り出さない早朝に増発できるから。そして東京発の臨時列車を増発しにくいからでもある。東京~大宮間は東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線が合流し、密集したダイヤになっているため、東京発の臨時列車を設定しにくい。

一方、大宮駅からはどの新幹線もダイヤにゆとりがある。大宮駅始発の新幹線列車は東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線ともに可能だろう。昨年、仙台~金沢間で臨時新幹線が設定された理由も、大宮駅でスイッチバックできたからだった。今年1・2月にも大宮駅発着の臨時「はやぶさ」が運行された。これらの列車の好調が、大宮駅を早朝に発車する臨時「はやぶさ101号」につながったとみられる。

東京発と大宮発では、「大宮発なんて遠い、不便」と思うかもしれない。しかし実際は、都内からでも大宮方面の列車が便利な場合があり、湘南新宿ラインや埼京線などからも乗り継げる。乗換案内アプリなどで渋谷駅・新宿駅・池袋駅発着の私鉄沿線から東北・上越・北陸新幹線方面を検索すると、時間帯によっては湘南新宿ラインや埼京線で大宮経由という結果が出てくる。

大宮駅・東京駅への到達時間を調べると、渋谷~大宮間は湘南新宿ラインで38分、渋谷~東京間は山手線経由で23分。15分の差だ。新宿~大宮間は埼京線で31分、新宿~東京間は中央線快速で20分。池袋~大宮間は埼京線で26分、池袋~東京間は山手線で27分。山手線の北側ほど差が縮まっていく。もうひとつ付け加えると、東京駅6時発の新幹線に間に合わなくても、大宮駅6時発なら間に合うという駅もある。

東海道新幹線も品川駅6時0分発、新横浜駅6時0分発の定期列車があり、東京駅6時0分発「のぞみ1号」より先行する。夜間人口を考えれば、東京のど真ん中の人より郊外に住む人のほうが多いから、東京駅始発にこだわらなくてもいいわけだ。そう考えると、大宮駅始発の新幹線は一定の需要が見込めるということになる。

北國新聞の4月4日付の記事「北陸新幹線、大宮発着に意欲 JR東日本社長」によると、4月1日に就任したJR東日本の新社長が、最初の記者会見で「北陸新幹線が好調」と語り、大宮駅始発の臨時列車に前向きな姿勢を示したという。大宮駅始発・終着の臨時新幹線が成功したら、定期列車への格上げ、さらには「とれいゆ つばさ」や「現美新幹線」といった列車の大宮駅発着定期化も検討してほしい。