爪の状態と体調の関係性について知りましょう

爪の状態と体調の関係性について知りましょう

読者の健康や美容にまつわる悩みを、さまざまな分野の専門医の力を借りて解消していく連載「教えて! ドクター!!」。今回のテーマは、爪と体調の関係性についてです。

近年は爪を含めた指先のケアへの意識が浸透しつつあり、ネイルを楽しむ女性はもちろん、爪の手入れをきちんとする男性もみられるようになってきました。毎日、幾度となく目にする機会があるこの爪、実は体の異変を知らせてくれる役割を担っていることをご存じでしょうか。今回は、美容皮膚科医のやながわ厚子医師に話をうかがってきました。

――Q. 爪の状態で身体の異常を見分ける方法はありますか?

爪の状態は病気に罹っていることを教えてくれる"サイン"ではありますが、まずは爪の仕組みをきちんと理解しましょう。

そもそも、爪はケラチンというたんぱく質でできています。爪の付け根にある「爪母(そうぼ)」と呼ばれる組織が爪をつくっており、1日で約0.1mm伸びると言われています。

この爪母は、指先の骨の骨膜と密接しています。指の骨は、関節の部分は幅もしっかりあるのですが、指先の部分はかなり細くなっています。爪は指腹にかかる力を支える重要な役割を担っており、爪がないと物をつまむ際に力がうまく入らないのです。

「体調が悪いとお肌が荒れる」という現象と同じように、体調不良は爪にも変化をもたらします。爪の色や形、表面の凹凸などをみれば、爪周囲の皮膚の状態のみならず、全身の健康状態がわかるのです。

それでは、いわゆる「健康的な爪」とはどのような状態を指すのでしょうか。健康的な爪か否かを判断するには、「爪甲(そうこう: 一般的にネイルアートなどを施す場所)」をみるといいです。

形は縦方向に全体的に平たく、少し中央部分が凸な状態で、爪甲を横から見た際になだらかな山のように見えるのが好ましいです。色は透明なので、爪床の血流が透けて見えるようなピンク色をしていれば、健康な爪と言えます。また、爪の根元に白い「三日月」と呼ばれる部分がある人がいますが、その周囲の皮膚は水分を含んだハリがあればよりよいでしょう。一度チェックしてみてはいかがでしょうか?

病気や体調不良が疑われる爪の特徴

「健康的な爪」があれば、その反対に病気が疑われるような「不健康な爪」もあります。例えば、爪甲に茶色、ないしは黒い筋(線)が縦に走っている(爪甲帯色素沈着症)と、色素を作る爪母の異常が疑われますが、まれに「黒色腫(メラノーマ)」と呼ばれる皮膚がんである場合もあります。

爪甲に痛みを感じる場合は、グロムス腫瘍の可能性があります。腫瘍と名が付いていますが良性腫瘍で、外科的に取り除いてしまえば痛みは消えてしまいます。また、爪甲の側縁先端が皮膚に食い込んで炎症を起こして痛みが出る「陥入爪」や、緑膿菌が爪とジェルネイルとの間に繁殖してしまう「緑色爪」、皮膚から爪甲の中に白癬菌が侵入して発症する「爪水虫」など、爪そのものにまつわる疾患も数多くあります。

これらの病気は1本の指で起こっており、その大半は「爪の異常」です。一方、1本にとどまらず、手の指すべてに起こった変化は、体の異常を示している可能性があります。例えば、爪甲が反り返った状態である「スプーンネイル」は鉄欠乏性貧血に陥っていることが考えられますし、指先が丸く膨らんでいる「ばち状指」は、心臓や肺の病気との関連性が指摘されています。

他にも、栄養状態が悪くなると10本の指の爪が波打ったようになったり、抗がん剤などにより爪が黒くなったりと、爪は全身の状態の影響を受けて変化します。そして、皮膚よりも生まれ変わりに期間を要するため、正常に戻るのに時間がかかります。

もしも「何かおかしい」と感じたら、皮膚科受診をお勧めします。ただ、先ほどお話ししたように、複数の指に同じ症状が出現している場合は、全身疾患によるものである可能性が高いので、内科を先に受診するほうがよいかもしれません。

毎日のネイルケアで爪の状態をチェック

お伝えしたように、爪は私たちの体の調子をチェックできるバロメーターでもあります。毎日ネイルケアを行い、爪の状態を把握しておくと有事の際にもいち早く発見できます。

また、マッサージクリームにて指先をマッサージし、ネイルオイルなどで乾燥を保護すると血流のよいピンク色の爪になっていくと思います。指先のマッサージは血行も改善するので、冷え性の女性にもお勧めですよ。

※写真と本文は関係ありません

取材協力: やながわ厚子(ヤナガワ・アツコ)

美容皮膚科・美容外科・形成外科。En女医会所属。
美容皮膚科クリニック ヤナガワクリニックの院長を務める美容のエキスパート。
美容医療や化粧品やに詳しく新しい美肌治療や化粧品や食事やサプリメントもふくめてカラダの中からも美肌を目指す。二児の母でもある。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。