東京メトロが半蔵門線の新型車両18000系を報道公開。「伝統と新しさが交じり合う街に、さらなる活力を。」という設計コンセプトの下、快適性の向上、バリアフリーの促進、省エネ性の向上、安全・安定性の向上を図る車両となる。報道公開で撮影した写真とともに18000系を紹介する。

  • 東京メトロ半蔵門線の新型車両18000系。報道公開では、東京メトロキャラクター「駅街かける」と「メトポン」も登場した

半蔵門線の新型車両18000系は、先にデビューした有楽町線・副都心線の新型車両17000系と同時期の2017年8月から設計開始し、一部仕様については17000系と共通化したという。半蔵門線は渋谷・表参道・清澄白河・押上といった「伝統と新しさが交じり合う街」を結ぶとともに、東急田園都市線および東武スカイツリーラインと相互直通運転を行い、埼玉県から神奈川県までひとつなぎに結ぶことから、通勤・通学、ビジネス、観光など、さまざまな乗車目的に寄り添えるデザインをめざし、新型車両の設計が進められた。

18000系の車体寸法は、1両あたり長さ20,000mm(先頭車20,470mm)、幅2,780mm(車側灯間2,828mm)、屋根上高さ3,635mm(パンタ折畳み高さ4,80mm)。定員は先頭車142人(座席定員45人)・中間車153人(座席定員51人)。アルミニウム合金のオールダブルスキン構体を採用し、側構体の溶接に摩擦攪拌接合(FSW)を用いることで、高精度かつ歪みの少ない構体を実現している。あわせてリサイクル性の向上も図った。

車体前面は半蔵門線の既存車両8000系・08系の端正な表情を受け継ぎ、直線的なデザインの標識灯(前部標識は拡散用4灯と集光用6灯の白色LED、後部標識は赤色LEDと拡散板により構成)を採用。識別帯には半蔵門線の路線カラーであるパープルを用い、車体前面から側面へ流れるように濃淡2色の帯を配置することで、親しみとスタイリッシュな印象を感じられるデザインとした。車外の種別・行先表示器はLED化され、日本語・英語と駅ナンバリングのカラー表示を行う。

車内もパープルを基調に、床面から天井に向かって明るい色彩になるような配色としている。ロングシートの座席幅は1人あたり460mm。腰掛内部に金属バネを組み込み、座面全体に適度なクッション性を持たせた。表地にはアラミド繊維を採用し、腰掛表面の耐久性を向上させるとともに、消臭・抗菌・抗ウイルス加工を施している。モケットには日本の伝統的な織物の柄をレイアウトした。

袖仕切りや荷棚、貫通引戸に透明な強化ガラスを採用し、地下においても開放感のある車内空間を演出。貫通引戸の開口有効幅は800mm、握り棒に開扉アシスト機能が付加された。ドア上部には、17インチワイド液晶の車内情報表示器を2画面搭載。右側画面は行先・号車・次駅・乗換案内・運行情報等を多言語で表示し、左側画面は各種PR・広告等を表示する。セキュリティカメラもドア上部にあり、各車両に複数台設置し、死角なく車内全体の状況を把握できるようにしている。

バリアフリー促進のため、車いす・ベビーカー利用者に向けたフリースペースを全車両に設置。立位の利用者も快適性が向上するように、横手すりとヒップレストを一体化した構造としている。車外のフリースペース付近にピクトグラムを配置して視認性を確保したほか、フリースペース付近のドアレールに切欠き加工を施し、車いす・ベビーカー利用者の乗降性向上を図った。床面高さを1,140mm(既存の8000系は1,200mm)に低減し、ドア出入口下部をホーム側へ約10mm傾斜させるなど、車両とホームの段差低減にも努めた。

乗務員室の機器配置は相互直通運転を行う他社の車両と共通化を図った。1運転台あたり3台のモニタ表示器を搭載し、通常はメータ画面とTISモニタ画面を表示。残り1画面は他のモニタ表示器が故障したときのバックアップ用だという。18000系の車両性能は最高運転速度110km/h(最高設定速度120km/h)、加速度3.3km/h/s、減速度3.5km/h/s(常用)・4.5km/h/s(非常)。編成形態は4M6T(CT1-M-T-M-Tc1-Tc2-M-T-M-CT2)。制御方式は2レベル・ベクトル方式VVVFインバータ制御であり、主回路は4群で構成され、1群あたり1モータを各軸で制御するため、冗長性の向上とともに4M6Tの編成形態を実現可能にしたとのこと。

省エネ性向上のため、主電動機は高効率な永久磁石同期電動機(PMSM)を用いるとともに、SiC素子を採用し、スイッチングロスによる力行電力量の削減と回生領域の拡大による回生電力量の増大を図った。補助電源装置にハイブリッドSiC素子を採用して装置の効率を向上させ、あわせて「並列同期 / 休止運転方式」による電力量の低減を図っている。18000系の台車(ボルスタ付台車、モノリンク式)は、東京メトロ線内での曲線通過性能と相互直通先での高速安定性を両立するため、各機構を最適に設計するとともに、これまでに培ってきた輪重抜け防止策や横圧低減策を踏襲した。

  • 新型車両18000系と既存の8000系・08系が並ぶ。報道公開では東京メトロ車両部設計課課長の荻野智久氏が取材に応じた

新型車両18000系は、設計開始から約3年を経て完成に至り、昨年10月に最初の編成(18101編成)を搬入。11月から各種性能試験(走行安全確認、制御・ブレーキなど)を実施しており、今後は半蔵門線および相互直通先で乗務員訓練を行う。これにともない、今月から日中の営業時間中に試運転も行うとのこと。今年8月の営業デビューを予定している。

報道公開で取材に応じた東京メトロ車両部設計課課長、荻野智久氏は、18000系のデザインに関して、「今回は見た目にこだわっていて、丈夫で軽量なシルバーのアルミニウム車体に半蔵門線の路線カラーを配色し、なおかつ沿線の皆様に愛されてきた8000系や08系の名残も残したかったので、直線的なデザインにして兄弟・姉妹感を出しました」とコメント。18000系では、車両の走行状態を遠隔から監視できる「車両情報監視・分析システム(TIMAシステム)」も導入しており、「万が一故障が起きても、車両基地や指令所から電車の状態をつねに確認できるため、輸送障害の時間を極限まで縮小することが可能です。こうした鉄道の安全安定輸送はもちろん、サービスの品質を上げる取組みがお客様に受け入れられたら非常にうれしく思います」と荻野課長は話した。

18000系は今後、既存の8000系を置き換え、2025年度までに全19編成190両の搬入を完了する予定となっている。なお、置換えとなる8000系に関して、「基本的には廃車。その他は調整中」と萩原課長。詳細は決まっていないとのことだった。

  • 新型車両18000系の車内

  • 新型車両18000系の外観