WH-1000X M2とMDR-1000X、音質に違いはあるのか?

新旧モデルの音質も比較しておこう。その前にWH-1000XM2からの新機能をひとつ紹介しておきたい。先ほどのアプリからワイヤレス接続時の「音質モード」が選べるようになったのだ。

これは場面に応じて「音質優先モード」と「接続優先モード」の2種類が切り替えられるというもの。今回筆者がテストに使ったオンキヨーのスマホ「GRANBEAT DP-CMX1」は、高音質コーデックのaptX HDに対応しているので、音質優先に切り替えるとヘッドホンがaptX HDの信号で受けてくれる。なお、接続優先モードではSBCに接続が固定される。アプリの画面上部に接続中のコーデックが表示されるので、音質や音切れが気になったら、モードの選択状態とあわせて確認するといいだろう。

音質モード設定画面

音質モード設定は「音質優先」と「接続優先」の2種類。切り替えるたびに一度ヘッドホンとプレーヤー機器の接続が外れるのがやや面倒

WH-1000XM2をGRANBEATとペアリングして聴くと、輪郭の滑らかなボーカルのハイトーンや弦楽器の解れの良さなど、aptX HDならではの高音質が活きてくる。MDR-1000Xを初めて聴いたときにも、ノイズキャンセリング対応のワイヤレスヘッドホンでここまで透明感のある音が出せるのかと驚いたものだ。WH-1000XM2は、LDACとaptX HDの両方に対応したことで、ハイレゾ相当のワイヤレス再生をより楽しみやすくなっている。

オンキヨーのGRANBEATにつないだWH-1000XM2

オンキヨーのGRANBEATにつないでサウンドをチェックした

iPhone 7で音楽ストリーミングサービス「AWA」の楽曲も聴いてみる。WH-1000XM2はアプリからDSEE HXの効果が設定できるので、ONにしてからMDR-1000Xとの音を聴き比べた。内蔵するドライバーやきょう体に大きな変更はないはずなのに、WH-1000XM2は低音の定位感がより鮮明になり、音の彫りが深くなった印象を受けた。現行のMDR-1000Xでは低域がやや大人しく感じられるところもあったので、その点がドライバーのチューニングなどにより強化されているのかもしれない。特に電車やバスなど乗り物の中でメリハリの利いたサウンドを楽しめた。

有線接続を使ってWH-1000XM2でハイレゾを聴く

有線接続でハイレゾも聴いてみた

付属のケーブルをつないで有線接続によるハイレゾ再生の音も聴き比べてみたが、やはり低音の存在感が増して各帯域のバランスが整ったように感じた。低音は量感にも厚みが感じられる。演奏の土台がしっかりとしたことで、ボーカルや生楽器の音色が一段とビビッドに聴こえてくる。ロックやダンスミュージックのビートもぐいぐいと前に押し出されてくるようだ。有線接続時のリスニング体験についてひとつ注文するとすれば、ケーブルでつないでしまうと本体のタッチセンサーリモコンが効かなくなるので、リモコン付きケーブルなどをオプションで用意するよう検討してほしい。

悔しいけれど、WH-1000XM2は「買い」だ

新旧両モデルとも完成度の高いヘッドホンだが、旧モデルMDR-1000Xのユーザーとしては、機能が大きく増えた新モデルを、非常にうらやましく思ってしまった。この差を実感すると、やはり新しいWH-1000XM2は「買い」であると素直に認めざるを得ないだろう。筆者も真剣に買い換えを検討したくなった。

秋が訪れると、イヤホンからヘッドホンに"衣替え"したくなってくるもの。ソニーの先進技術を詰め込んだWH-1000XM2は、2017年の後半に、最も心地よい音楽リスニング環境を届けてくれるヘッドホンになりそうだ。

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