そんなオーラル・フレイルを防ぐために大切なキーワードは、「適度に欧米化した日本食」だと今村医師は解説する。

「食の多様性とは肉、魚、卵、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、いも類、海藻類、果物、油脂類の10種類の食品群について、毎日バランスよく摂取することです。この食品群の中で伝統的日本食に偏ると肉、卵、牛乳、油脂類が不足しがちになります。そのため、この4種類の食品を十分にとっているかどうかが、特に高齢期においては重要になってきます」。

食生活と老化の関係を考える際の重要な指標の一つに、「血清アルブミン値」がある。血清アルブミンは、栄養・代謝物質の運搬や浸透圧の維持などの働きがあるが、高齢者(80歳以上)は加齢に伴い、2年間に約0.1g/Qずつ血清アルブミンが低下していくことがわかっているという。この値を補うには、高齢期でのたんぱく質の摂取が肝要となってくる。

早食いや間食を控えよう

20代、30代の若年層からすると遠い先の話かもしれないが、今からでも将来のリスク回避のためにできることがある。下にまとめたので、日ごろから意識しておこう。

■食べ物をよくかんで、早食いを避ける

■軟らかい物ばかり食べない

■間食を頻繁にしない

■過度な炭水化物摂取を控える

■口を開けて「クチャクチャ」と音をたてて食べない

厚生労働省が発表した「平成26年簡易生命表の概況」によると、日本人男性の平均寿命は 80.50歳、女性の平均寿命は 86.83歳となっている。超高齢社会の日本で老後をアクティブに過ごすためにも、まずは「口」からのアンチエイジングを始めてみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。