2in1、薄型軽量、4K対応のハイエンドなど幅広いラインナップを揃えるデルのLatitudeシリーズ。予算や目的に合わせて柔軟に選べるのが強みだが、その中にビデオカード(外部グラフィック機能)としてNVIDIAのGeForce MX250を備えているモデルがある。GeForceといえば、基本ゲーム向けのGPU(Graphics Processing Unit)だが、ゲーム以外にもメリットが存在する。今回はそれを紹介していきたい。
ビデオカードを搭載するメリットとは?
デルのビジネス向けノートPC「Latitude」シリーズでGeForce MX250を搭載しているのは、14型液晶を搭載する「Latitude 5411 プレミアムモデル」と「Latitude 5411 プラチナモデル」(2021年1月中旬時点)。どちらも第10世代 インテル® Core™プロセッサーを採用するハイエンドモデルだ。今回は、Latitude 5411 プレミアムモデルを使用して性能をチェックしてみたい。
そもそもノートPCにおけるビデオカードとは何なのか? ノートPCでは多くがCPU内蔵のグラフィック機能で画面を表示している。インテルのCPUに内蔵されているインテル® HD グラフィックスが有名だ。3D描画性能は高くないが、ゲームをしない限り問題は少なく、Office関連のソフト利用がメインなら必要十分であるからだ。
ノートPCのビデオカードとは、CPU内蔵グラフィック機能とは別に搭載されたGPUを指し、そのため外部GPUや外部グラフィック機能などと呼ばれることもある。主にゲーミングPCに搭載され、高い3D描画性能を求めるゲームを快適にプレイするための存在と言える。デルでは、ALIENWAREブランドのゲーミングPCが有名だ。
では、ビジネス向けのノートPCにビデオカードを搭載する意味はあるのか? と思うのは当然のところ。しかし、ここ10年ほどは高い3D描画が可能なGPUパワーをほかの処理に活用しようという動きが活発であり、とくにクリエイティブ系のアプリではGPUの活用が進んでいる。フォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトがその代表的なものだ。
例えば、AdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理などをGPUによって高速化できる。ただし、GPUによる処理の高速化は最近ではCPUの内蔵グラフィック機能でも利用可能になってきているため、ビデオカード搭載による絶対的なメリットではない。しかし、対応ソフトはビデオカード、とくにNVIDIAのGeForceシリーズのほうが多い。GPUパワーをゲーム以外の処理に活用する技術はGeForceのほうがずっと歴史が古いためだ。
絶対的なメリットという点では、メモリが一番だろう。CPUの内蔵グラフィック機能はビデオメモリ(グラフィックの描画に使用するメモリ)にメインメモリの一部を使用する。当然ながら、使用できるメインメモリの容量が減ってしまう。複数のアプリを起動するなど、多くのメモリを必要とするシチュエーションでは動作が重たくなる原因の一つになる。また、仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまう。高速ではないメモリを使用しているノートPCでは、CPUの内蔵グラフィック機能の性能は多少落ちてしまうわけだ。
その点、ビデオカードは描画専用のビデオメモリが搭載されている。そのメモリ内で収まる処理であればグラフィックの描画にメインメモリを使われることがないのは、ビデオカードを搭載するノートPCの大きなメリットと言える。
業務用のノートPCは勝手にソフトをインストールすることを禁止されていることも多いのでメリットと言えるか微妙ではあるが、CPUの内蔵グラフィックよりもずっと多くのゲームを快適に楽しめるのも事実だ。
と、前置きをしたところで話を「Latitude 5411 プレミアムモデル」に戻そう。基本スペックはCPUが第10世代のインテル® Core™ i5-10400H(4コア8スレッド)、メモリが16GB、ストレージが512GBのNVMe SSDだ。
搭載されているビデオカードはNVIDIAのGeForce MX250。GPUとしてはエントリークラス、アーキテクチャとしては2世代前のPascalと、GPU全体で見ればそれほど高性能というわけではないが、ビデオメモリとして2GB(GDDR5)を搭載。CPUの内蔵グラフィック機能に比べれば高い3D描画性能を備えている。
なお、GeForceシリーズは動画のエンコード(変換)を高速に行えるハードウェアエンコーダー「NVENC」を備えていることでも知られているが、GeForce MX250は残念ながら非対応。エンコードの高速化目的には使えない点は注意しておきたい。
どの程度3D描画性能が違うのか定番3Dベンチマークソフト「3DMark」で試して見よう。テストにはDirectX 12ベースのTime Spyを実行した。ちなみに、Latitude 5411 プレミアムモデルのCPUはインテル® Core™ i5-10400Hなので、インテル® UHD グラフィックス(最大1,100Hz動作)が内蔵されている。
なお、NVIDIAコントロールパネルを利用すれば、ソフトごとにビデオカードのGeForce MX250、CPUの内蔵グラフィックのどちらを使うか指定できる。同じPCで性能差を見ることもできるわけだ。
テストの結果、3D性能はGeForce MX250のほうが約2.8倍も上回っているのがわかる。
次は、Adobeのフォトレタッチソフト「Photoshop 2021」でRAWデータを開き、フィルタ処理(レンズ補正、ノイズを軽減、スマートシャープ)、回転、切り抜きを10枚連続で実行したときの時間をグラフィックプロセッサーの設定で「GeForce MX250」を指定、「インテル® UHD グラフィックス」を指定、使用をオフにした状態の3パターンで測定した。
GPUによる処理の手助けの威力がよく分かる結果だ。今回のテストに関してはGeForce MX250が一番高速だが、インテル® UHD グラフィックスとの差は小さい。このあたりはソフト側の対応次第というところだろう。
また、GeForce MX250のゲーム性能もチェックしてみよう。人気のFPS「レインボーシックス シージ」と「VALORANT」で試して見たい。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを測定。VALORANTは射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。
フレームレート(fps)とは1秒間に描画できるコマ数のこと。平均60fpsが快適にゲームをプレイするための目安と言える。レインボーシックス シージとVALORANTであれば、フルHD解像度で画質を高めても平均60fpsをキープ。画質を下げれば、最小も60fps以上となり、描画かカクつくこともほとんどなくなる。どちらの動作が軽めのゲームだが、人気は非常に高い。GeForce MX250を搭載していれば、人気ゲームもそれなりに楽しめる。
Office系のソフト中心の利用ならビデオカードの必要性は低いが、クリエイティブ系のソフトでは処理速度を上げられるケースがあるなど、PCとしての汎用性を向上させられるのは確か。自由に使えるのであれば、仕事にも遊びにも活躍できるノートPCになってくれるのが大きな魅力ではないだろうか。
原稿/撮影 芹澤正芳
監修 デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部
広域法人マーケティング シニア・アドバイザー 粟津和也
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