新型コロナウイルス感染拡大によって働き方が大きく変化する中、世界中の企業・組織でリモートワークが取り入れられるようになった。では、これからのアフターコロナの時代に向けて、リモートワークのあり方はどのように変わっていくのだろうか。そこで本連載では、「未来のリモートワーク」にフォーカスし、「一歩先を行くリモートワーク」とはどのようなものなのか、各業界のトップランナーに見解を求めていく。

第二回目となる今回は、高品質と高信頼性からヘルスケア業界やクリエイティブ業界を中心に長年に渡り世界中で愛用され続けているEIZOブランドの映像機器を製造、販売しているEIZO株式会社の梶川和之氏に、リモートワークの現状と課題や、モニターに対するニーズの変化、そしてSplashtopのソリューションによる課題解決への期待などについて話を聞いた。

世界中で愛され続ける「EIZOブランド」

──クリエイティブな世界を中心に独自の強いブランド力を築き上げているEIZOですが、まずは簡単な企業やソリューションの紹介をお願いします。

EIZO株式会社 企画部 商品技術・マーケティングコミュニケーション担当部長 兼 商品技術課長 兼映像ソリューション営業部 ダイレクト販売部長 梶川和之氏

EIZO株式会社 企画部 商品技術・マーケティングコミュニケーション担当部長 兼 映像ソリューション営業部 EIZOダイレクト部長 梶川和之氏

当社は1968年の創業以来、モニター機器を中心にこれまで一貫して映像に関する製品をつくり続けてきました。モニターメーカーは世界中に多くありますが、そうした中で当社のユニークな点として、企画開発から生産販売そしてアフターサポートまで自社で一貫して手掛ける、品質へのこだわりが挙げられます。おかげさまで製品の品質と信頼性の高さから長年に渡って海外からも高い評価をいただいています。

ここ最近では、モニター機器のみならず、病院の手術室で使用するカメラや監視用の超高感度カメラ、撮影データを記録し配信するデバイス、そして、これらの撮影・記録・配信・表示機器をつなぐシステムでもビジネスを展開しており、実績を積み重ねつつあります。

──クリエイティブやデザイン系といった世界での実績は言わずもがなでしょうけれど、最近は業務用モニター全般においても存在感を示していると聞きます。

はい。リモートワークの普及などにより一般業務用のモニターにも品質や機能性が求められるようになってきていますので、例えばノートPCで普及しているUSBタイプC端子につなぐことのできるモニターなどのニーズも高まっていますね。

より自然に仕事ができるような数々の仕組みがモニターに

──EIZOのソリューションは具体的にどのような仕事や場面でその力をより発揮するのでしょうか。

液晶モニターの画面というのは、時間が経つにつれて少しずつ色味に変化が生じてくるもので、こうした経年変化というのはどうしても避けられません。しかし仕事の現場で使っていただく際に、3年前と今とで、例えば赤い色の見え方に違いがあるというのは問題が生じるケースもあることでしょう。そこで、EIZOのモニター機器には、経年変化による見え方の違いを補正する仕組みを用意しています。これにより、長期間使い続けていただいても同じ見た目を保つことができるため、色味や明るさなどの表示品位に重きを置くクリエイティブ関連やヘルスケア関連などの業種で活用いただいています。

また、一般的なオフィス用途のモニターについても、その用途は多岐に渡るはずで、よくあるのが長時間画面を見つめていて目が疲れるといった悩みでしょう。そうしたモニターを使い続けることによる目の疲れに関しても、少しでも軽減できるような工夫を凝らしています。例えば、目の疲れの主な原因となるのが画面の明るさと周囲の明るさとの差ですが、オフィスワークからテレワークまで幅広い用途向けの当社のビジネスモニター製品である「FlexScan」シリーズでは、ベゼルにセンサーを組み込んで、周囲の明るさを測定し、それに合わせて画面の明るさを目に優しい最適なレベルとなるよう調整しています。

さらにこのFlexScanシリーズで特徴的なのが、表示モードの1つとしてペーパーモードが選べることです。これは、新聞やコピー用紙など紙の色味に近付ける表示技術であり、紙のようにモニターが表示するため、目の疲れの軽減が期待できます。こうした人に優しくまたそれぞれの使い方に応じることのできるさまざまな技術は、リモートワークの普及によってますますニーズが高まっています。

テレワークならではの課題もモニター技術で解決

──現在、利用が拡大しているリモートデスクトップでEIZOモニターを使用する際に提供できる価値、実現できる仕事環境とはどのようなものでしょうか。

やはりリモートデスクトップというのは、自宅などのリモートワーク環境で使用されることがメインであると思いますが、オフィスでは照明や窓からの採光など細部まで考慮されているケースが多いのに対し、自宅だとなかなかそこまで対応できないのが通常でしょう。その際に一番問題となるのが画面に照明や窓外の光が映り込んでしまうことで、そうなると写り込んだ照明等のその先の表示データを見なければならなくなり、これは目によくありません。このため、映り込みを抑えるノングレア加工や、先述したように環境に合わせて常に明るさを調整する機能などが重要になってきますが、EIZOモニターであればその辺りにも十分に配慮されています。

  • EIZOの本社工場。厳しい検査を経てモニターが製造されている

    EIZOの本社工場。厳しい検査を経てモニターが製造されている

もう1つ、モニター機器の視点から、オフィスワークと、リモートデスクトップを用いるような在宅ワークとの大きな違いと言えば、デスクや椅子が挙げられるでしょう。オフィスでは仕事に最適化されたデスクと椅子が用いられているため、キーボードと画面、身体の位置関係もユーザーに優しいものとなっているはずです。しかし在宅ワークでは、ソファや床に座って仕事をしたりといったように姿勢は様々なはずです。このため目や肩などの疲労もしやすくなってしまうのです。こうした実態を受けてEIZOのモニターは、画面の位置の高さや角度を1人1人の姿勢に合わせて調整できるので、自宅であってもオフィスに近い環境を実現できるのです。

──ユーザーはEIZOモニターにどのようなことを求めていると捉えていますか。

やはり、高品質・高信頼性に使い勝手の良さ、そして疲れにくいことではないでしょうか。お陰様でクリエイティブやヘルスケア関連のお客様からは“色が正確で使い続けていても変わらない”といった声を数多くいただいていますし、特に一般オフィス用途では、壊れにくい信頼性や使いやすさが、企業内のユーザーへのサポートを担う情報システム部門の負荷の軽減にもつながっていると評価されています。

アカデミー科学技術賞に輝いた理由とは

──このほど、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が主催するアカデミー賞の一部門である科学技術賞を受賞されましたが、どのような点が評価されたと捉えていますか。

このたびの受賞は、ColorEdge CGシリーズに搭載されている自動キャリブレーション技術などの企画・開発に貢献した当社社員4名が対象となりました。受賞に際して審査員の方々に高く評価されたポイントとしては、まず先述した画面の色や明るさを測定するキャリブレーションセンサーを筐体に内蔵し、自動でキャリブレーション可能とした点が挙げられるでしょう。また、画面表示の輝度・色度ムラを抑え、表示均一化を図ることができる技術も評価されています。

加えて、他のソフトウェアとの連携を容易にするSDK(ソフトウェア開発キット)を映像制作関係者などに提供していることも、評価をいただいております。

──アカデミー科学技術賞の受賞に至った経緯を簡単に振り返っていただけますか。

以前、国内外のクリエイティブ業界にヒアリングしたところ、当社と業界の間に共通言語のようなものが存在しないことに気付きました、このため、クリエイターと何度もやりとりして、自分たちの言葉に置き換えて、徐々に共通言語を見つけ出し、それらを製品仕様に落とし込んでいきました。

そうした成果でもある今回の受賞には、ディズニーやピクサーといった世界的な映像制作会社から「パートナーとしておめでとう」といった祝辞をいただけたことが何よりも嬉しかったですね。単なる買い手と売り手という関係ではなく、パートナーとして評価していただけたことに感動しました。

  • アカデミー科学技術賞受賞時の記念撮影

    アカデミー科学技術賞受賞時の記念撮影

リモート技術の発展とともに、実現したい世界がある

──最後に、ハードウェアを提供するEIZOと、ソフトウェアを提供するスプラッシュトップとのコラボレーションで創出できる価値について期待するところをお聞かせください。

今後さらにリモートワークが当たり前の世の中となっていく中で、オフィス以外の場所でもオフィスにいると錯覚するぐらいシームレスに働ける環境づくりが求められてくることでしょう。つまり、「リモートワークだからこれぐらいでいいや」といった妥協が必要なくなるぐらいの生産性を、働く場所を問わずに発揮できるようになることが重要になってくるわけです。私はいずれ「リモート」という言葉がなくなればいい、とすら思っています。どこにいようとも、いま働いている場所がすなわちオフィスであるのだと。そうした世界を実現するためには、ハードウェアのEIZOと同時にスプラッシュトップのようなソフトウェア企業とも協力しあうことが欠かせませんから、今後のより密なコラボレーションに期待しています。

関連情報

・EIZO株式会社 カラー液晶モニタープレゼントキャンペーン
 応募期間2022年9月1日~11月30日

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・EIZO株式会社 公式サイト
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