Google Workspaceへの移行で利便性は向上したが、セキュリティが課題に

P-UP Worldは携帯電話販売代理店として1998年に創業し、総合デジタルショップ「テルル」の運営などを行っている。現在では、国内大手キャリアショップの運営代理店である株式会社ピーアップに加え、学童保育型英会話スクールを運営する株式会社Kids-UP、組織コンサルティングを提供する株式会社P-UP neoなど6つの事業を柱として展開している。

そんなP-UP Worldでは、もともとMicrosoft Officeを中心に業務環境を整備しており、メーラーは各自が扱いやすいものを選択していた。しかし、さまざまなツールを横断して利用することへのわずらわしさから、2014年、G Suite(現 Google Workspace)への一本化を行った。「1つのサービスにログインすれば、メールもスケジュールもワークフローも利用できる環境を構築でき、メール環境の統合も可能になったのでとても便利になりました」と株式会社P-UP World 取締役専務執行役員 石黒文三枝氏は当時を振り返る。

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    株式会社P-UP World 取締役専務執行役員 石黒 文三枝 氏

一方、Google Workspaceを導入したことで利便性は高まったものの、セキュリティ面では不安が残っていたという。店舗などの拠点アカウントはIPアドレス制限でログインを制限し、個人アカウントは個人を認証する形式にしていたが、あることをきっかけに見直しを図ることになった。

「新規事業の立ち上げで非常に忙しいなか、ノートPCをオフィスに忘れてしまった従業員がネットカフェからGoogle Workspaceにログインしたことが発覚しました。会社から貸与したPCやスマホでなくてもログインできる環境にあったのがいけませんでした」と石黒氏。これを契機とし、デバイス制御をしなければならないという危機感が強くなり、セキュリティ強化に向けたアドオンの検討が本格化されることとなった。

サテライトオフィスの端末認証とサポート力に魅力を感じた

サテライトオフィスとの出会いは2023年。“お仕事のご縁”から始まった。

「株式会社Moto-UPというバイクのパーツ販売やメンテナンスを行う事業があるのですが、バイクレースのスポンサードも行っています。その所属レーサーの1人がサテライトオフィスの原口社長と同郷だったということもあり、個人スポンサーになっていただきました。その話をするなかで、サテライトオフィスが端末認証もできるGoogle Workspaceのシングルサインオンを提供していると知り、具体的なお話を進めさせていただきました」(石黒氏)

その後、更新時期に合わせてGoogle Workspaceの契約先をサテライトオフィスに乗り換えることを決定。2024年9月より、「サテライトオフィス・シングルサインオン for Google Workspace」の利用も含めた現在の体制へと移行した。また、アカウント数に応じたプラン変更・価格変更の必要性があったことを提示してくれたほか、以前契約していた会社とのサポート面での違いも大きな決め手になったと石黒氏は評価する。

「以前のベンダーは“販売窓口”といったイメージで、技術的な質問に答えてもらえませんでしたし、教育的なサービスもありませんでした。メールでサポートを受けていたのですが、なぜそうなるのか、どういう仕組みなのか、どうしたらセキュリティが強くなるのかなどがわからない。ところが、サテライトオフィスではそういった技術的なサポートを提供してくれています」(石黒氏)

手厚いサポートで、スムーズな導入と管理分担を実現

「乗り換え前に半年ほどやりとりした後、シングルサインオンの導入と落とし込み、認証コードの発行などを行い、全員に浸透させるのに1カ月程度かかりましたね。基本的に自社で各種設定を行うのですが、うまくできない場合はミーティングを行って、手取り足取り教えてもらえました。本社従業員など個人に付与するアカウント数は前回導入時と大きな変化はありませんでしたが、事業拡大に伴って拠点数が増えた関係で全体のアカウント数は400以上にもなっていたので、サテライトオフィスさんのサポートにはとても助かりました」と安心感を語る。

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また、Google Workspaceの機能を知るなかで活用したい機能が増え、管理の分担が行えるようになったのもメリットの一つだという。

「以前は総務がGoogle Workspaceの管理を全体的に請け負っていたのですが、アカウント管理は総務部。セはキュリティや監査は監査部。加えて、ISMS委員会でポリシーを策定するといったかたちで、管理体制を分担できるようになったのはとてもよかったです」(石黒氏)

管理面での変化はあったが、ユーザー側からすると、もともと利用していたGoogle Workspaceに大きな変化はない。「サテライトオフィス・シングルサインオン for Google Workspace」導入後も変わらずメールやスケジュール、ChatやMeetなどが日常的に利用されているという。Google Workspace自体は以前から使っているが現場からは自宅にある私物PCでログインできなくなって不便だと言われることもあるようだが、「これは狙い通りに機能しているということなので諦めてもらっています」と石黒氏は笑う。

Google Workspaceのスムーズな運用・活用を推進中

長く活用してきたはずのGoogle Workspaceだが、乗り換えをきっかけに知った機能も多く、適切な運用や活用に向けて現在は調整中の部分もあるという。

「これまでadmin権限が必要な担当者はすべて特権管理者にしていたのですが、サテライトオフィスとやり取りするなかで、一般管理者権限で対応できることがわかりました。今は必要な部分の権限だけを付与するロールを作って適切に配布しようと考えています。今後はM&Aのときに相手企業がMicrosoft 365を利用していればGoogle Workspaceに乗り換えてもらう作業も発生しますから、今はほかの機能も含めGoogle Workspaceの理解を深めることが先決だと考えています。新にアドオンを追加する予定は今のところありませんが、AIについては業務の役に立つようなら使いたいという気持ちはあります」(石黒氏)

また、「社内にGoogle マスターと呼べるような人がいたら、Google Workspaceは本当に利便性の高いサービスだと思います。弊社の場合はアドオン導入をきっかけにサテライトオフィスのサポートを受けられるようになったことが財産になっていると感じています。現在、現場の連絡用にLINE WORKSもサテライトオフィスから導入しているのですが、どのサービスを利用する場合でもサポート力が高く、わからないことがあればサテライトオフィスに尋ねてみると全部解決できてしまう。もっと早く導入したらよかった、と感じています」と改めてサテライトオフィスのサポート力を評価する。

サテライトオフィスによる細やかなサポート対応と、必要に応じたアドオンやAI活用の提案により、今後もGoogle Workspaceをもっと有効に活用できそうだ。

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