2024年5月21~22日、DCSオンラインとTECH+共催によるウェビナー「リテールDX~データ活用×店舗DXの両輪で顧客体験価値を加速する~」が開催された。2日間にわたり、小売業界におけるさまざまなDX事例やソリューションが紹介されたが、本稿ではその中から、Synology Japan株式会社マーケティング部 内山 裕子氏の講演「AIの力で店舗DXを推進:オールインワンの監視ソリューションで店舗の運営改善まで実現する」の概要をお届けする。

  • Synology Japan株式会社 マーケティング部 内山 裕子氏

従来の監視ソリューションの “いいとこどり”

Synology(シノロジー)は、データインフラ全般に関わる各種製品やシステムを開発・提供するグローバル企業だ。全世界1,300万以上の採用実績を持ち、日本国内でも公共機関や医療機関、映像エンタメ系企業など、多様な組織で同社のソリューションが導入されている。ウェビナーでは、数あるラインナップの中から店舗の監視ソリューションが紹介された。

監視ソリューションは強盗や万引き、内部スタッフによる不正の抑止力として、またトラブルが発生した時の追跡調査手段として有効だ。内山氏は、これからの監視ソリューションに求められる重要なポイントとして、次の3つを挙げた。第一にさまざまな環境に適応できる柔軟性、第二に人手不足の中、少人数でも活用できる自動化・省力化性能、そして第三に監視映像のデータを収集・分析し、店舗運営やマーケティングにも役立てられる機能が備わっていることである。

一般的な監視ソリューションとして、NVR(ネットワークビデオレコーダー)やVMS(ビデオマネジメントシステム)、クラウドカメラがある。NVRは、録画に必要なソフトウェア、ストレージ、インターフェースが全てシステムに内蔵されているソリューションで、導入が比較的簡単ではあるものの、柔軟性や拡張性に欠けるというデメリットがある。

VMSは、映像監視を保管管理閲覧するソフトウェアで、一元監視や他システムと連携をとりやすい拡張性が特長だが、別途録画サーバーが必要になったり、メンテナンスの手間やライセンス料などがかかったりするのが課題だ。

クラウドカメラは、簡単に導入でき自社でサーバーメンテナンスをする手間はないが、通信の利用量やデータの長期保存によって、予想外にコストがかさむ場合がある。またインターネット環境の影響を受けやすく、「通信が不安定で録画されなかった」「すぐに映像をダウンロードできない」といったトラブルが発生するおそれもある。

「このように各ソリューションには、それぞれメリット・デメリットがあります。“いいとこどり”の監視システムはないのか、と思う方もいるかもしれません。 そこでご紹介したいのがSynology の『Surveillance Station』(サベイランス・ステーション)です。ハードウェアとソフトウェアが一体となった、“いいとこどり”のオールインワン監視システムです」(内山氏)

Surveillance Stationは、ハードウェアにあたるサーバーを購入すればVMSやCMS(中央管理システム)、対応するモデルを導入すればAIによる映像解析機能が付随する。これによって、従来ソリューションのメリットだけを集約した内容に仕上がっているという。

  • 【図1】オールインワンの監視システム「Surveillance Station」

導入の柔軟性と、少人数でも対応できる省力化の仕組み

内山氏は、Surveillance Stationが先に挙げた3つのポイント(柔軟性・省力化・運営改善への貢献)にどのように対応しているか、ひとつずつ説明した。

まず導入の柔軟性について。Surveillance Stationは、ワンタイムコスト(1度ハードを購入すれば、ソフトウェアは追加料金なし、アップデートも無料)、カメラの高い互換性(140以上のブランドに対応)、さらに容量を拡張したい場合にはSynologyの多彩なストレージ製品を簡単に追加できるといった特長を備え、さまざまな環境・コストなどの条件に合わせた導入が可能となっている。

2つ目のポイントである省力化のための多彩な仕組みも揃っている。IPスピーカー、アクセス制御システム、煙探知機などと統合させることで、一定のイベントが発生したら店舗内・本社管理室に警報を鳴らしたり、管理者のメールやSNSにプッシュ通知を配信したりできる。どのようなイベントが起きたのかは、監視ポータルから簡単かつ迅速に確認できる。

ウェビナーでは監視環境の構築と、システムがどのように動作するのかを紹介するデモが行われた。各種オンライン地図サービスと連携させたSurveillance Stationのマップに、実際に配置した監視カメラを登録すると、イベントを検出したカメラの映像が「イベントウィンドウ」として、そのマップ上に表示される。これなら監視担当者が少なくても、どこで何が起こっているかを瞬時に把握できる(図2)。

「さらに詳しくイベントを調査したい場合、イベントが発生した画面を選択すれば素早く拡大されるので、重要な瞬間をすべて追うことができます。 また、過去の監視画面を確認する場合はタイムラインをドラッグして巻き戻したり、アラートパネルから疑わしいイベントが写った映像を開いて確認したりすることもできるため、情報を見落とすことはありません」(内山氏)

  • 【図2:監視モニター】イベントを検出すると、マップ上にウィンドウが開き映像が表示される。この画面内で巻き戻しや早送りも可能

  • 【図3】Synologyカメラを使えば、指定した範囲で動きがあったところを自動で検知できる

こうした監視や通知の受信は、Webブラウザ、デスクトップ用クライアント、モバイルアプリからでも利用できるため、担当者がどこにいても素早く対応が可能だ。また標準搭載のCMSにより、店舗が複数あっても管理を一元的に行える。ホストサーバーから数百台のカメラを追加したり、サーバーのシステムを一括で更新したりするのも容易だ。

内山氏は導入事例として、漫画アニメ、古書などの書物を主に販売する店舗を経営する企業「まんだらけ」の例を挙げた。同社ではCMSを使用して全国14店舗の一元管理に成功したという。イベント検知機能により、動きのあった場所の映像を特定して見られるので、事実確認のエビデンスとして、また釣銭トラブルが発生した際の証明としても活用しているとのことだ。

AIの分析機能により、店舗運営改善にも貢献

3つ目のポイント、店舗の運営改善を実現するために、SynologyはAIによる分析機能を提供している。SynologyのAI機能搭載サーバーである「DVAシリーズ」では、ディープラーニング分析タスクとして、「侵入検知」「人物および車両検出」「顔認識」「ナンバープレート認識」「人数及び車両台数計測」の5つを利用できる。

「人物及び車両検出」は、設定したエリア内の人の数が規定を超えた際や、人や車両が規定の時間を超えて滞在した際に通知するタスクだ。店舗周辺でのたむろを検知する、あるいはレジ待ち人数が設定値を超えた時にスタッフに通知するなどの使い方ができる。「人数及び車両台数計測」は、出入り口を通過した人・車両をカウントし、レポートとしてまとめる機能があるため、来客数のピークを把握してスタッフのシフトを見直すなど、顧客サービスの向上につなげるのに有効だ。マーケティング・ツールとしての活用もできるだろう(図4・図5)。

  • 【図4】設定したラインを通過した人や車両をカウントする。グラフ化も可能

  • 【図6】レポート集計見本

Synologyはデバイス、システム、接続性のセキュリティの確保にも注力している。特にシステムのセキュリティついては同社のインシデント対応チームPSIRTが組織されており、「重要な脆弱性については、業界平均の60日をはるかに上回る24時間以内に問題を解決することを約束しています」と、内山氏は言う。 「Surveillance Stationを使えば、柔軟な導入から省力化、そして店舗の運営改善までを実現できます。ご質問やご相談がある方はお気軽にお問い合わせください」(内山氏)

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[PR]提供:Synology Japan