社会インフラや産業向けのICTソリューションを提供するアドソル日進。同社は、屋内外の人やモノの位置を検知し、現場の安全管理、業務効率改善、工数の見える化などに活用できる位置情報ソリューション「uS1GMA」(ユーシグマ)を提供している。さまざまな人・モノの動きや工程の管理をサポートする本ソリューションは、もともとオンプレミス向けにパッケージ展開していたが、クラウドシフトにも対応していくため、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」を活用した「uS1GMA powered by SRM」をIIJと共同開発。この取り組みが「IIJ Partner of the Year 2022」において「ビジネスイノベーションアワード」を受賞した。果たしてIIJとの協業でどのような強みが生まれたのか、同社にその取り組みについて迫った。

現場の作業工程を定量化して多彩なデータ活用をサポート

人が介在する業務が多く残る製造現場や物流現場。業務がシステム化されていないことから、定量的にデータを取る手段がなく、人・モノの位置や作業動線がブラックボックスとなっている工程が多く見られていた。「uS1GMA」は、そうした現場の作業工程を見える化し情報を蓄積することで、改善ポイントの発見などにつなげていけるソリューションである。

アドソル日進のソリューション事業本部 デジタル・イノベーション事業部でソリューション部長を務める冨田知宏氏はこう説明する。「製造や物流のお客様が抱える課題としては、現場において人の動きやモノがどこでどれぐらい滞留しているかといった、ブラックボックス化している部分をまずは可視化したいという声が多いです。生産計画の値は決めているものの、その数字が正しいのかどうかデータによる裏付けがないことを課題に感じている企業もあります」

  • アドソル日進株式会社
    ソリューション事業本部 デジタル・イノベーション事業部
    ソリューション部 部長 冨田 知宏 氏

その可視化を実現したうえで、定量化されたデータを製造・物流のさまざまな作業工程における管理業務に活用できるのが「uS1GMA」のメリットだ。

「本ソリューションの最大の用途は、現場の人やモノの情報を収集して作業を見える化することですが、単なる情報収集・可視化だけでなく、それらの情報を分析して現場の管理や安全性向上に活かしたり、製品原価に占める人件費が正確に把握できるようになるなど、業務改善に役立てたりするところまでできてこそ、ユーザー企業に貢献できると思っています」(冨田氏)

オンプレミスからクラウド上のサービスとして展開することにした背景について、冨田氏はこう語る。「世の中の動きを見ると、今後データはこれまで以上にクラウドへ集まっていくことでしょう。分析を行ううえでも、クラウドベースのサービスであることで、より高い効果を期待できます。製造や物流の業界はまだまだオンプレミスでのシステム運用が多いですが、やはり長期的に見ればクラウドにシフトしていくはずです。そこで当社のサービスもオンプレミスだけではなくクラウドにも対応することで、ユーザーのシステムのクラウドリフトなど、進化するユーザーニーズに対応できるようにと考えました」

現場の人やモノの位置を見える化するソリューションはほかにもあるが、その中で「uS1GMA」の強みや優位性はどこにあるのだろうか。ポイントを冨田氏が解説する。

「本ソリューションは、施設内で測位したデータとGPSデータの双方を扱えるので、屋内でも屋外でも活用できます。たとえばトラックの配送状況を屋外で見える化し、荷物や部品などが屋内に入ってからも追跡が可能で、屋内外問わず一元的にデータを見える化できるのが大きな強みです。またマルチデバイスに対応しており、細かな単位で位置をセンシングする機器から大まかに把握する機器まで、さまざまなデバイスのデータをまとめて扱えるのも強みだと考えています」

屋内測位ではビーコンを壁に設置し、スマートフォンでその電波を受けて位置を検出したり、逆に人がビーコンを持ち、その電波を天井に設置したセンサーで受信して位置を高精度に推定したりと、ロケーションのセンシングにはさまざまな方式がある。「uS1GMA」はそういった多様な方式に対応できるところが大きなアドバンテージといえる。モノの位置は粗めに捉え、一方で人の動きは高精度で把握したいというニーズも多いといい、さまざまなニーズに統合的に対応できるところも間違いなく強みだ。

IIJとのタッグでセキュアに利用できるクラウドシステムを構築

今回受賞対象となったのは、アドソル日進とIIJで共同開発した屋内向けのクラウド測位ソリューション「uS1GMA powered by SRM」だ。同ソリューションは、産業機械をIoT化し、管理や監視を可能とするIIJの「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」を活用している。

屋内向けソリューションは、製造・物流現場の安全管理に使われるケースが多く、その場合は測位のリアルタイム性が重視されるという。「たとえば工場で進入禁止の場所に人が立ち入った場合、即座に通知してほしいというニーズをよく聞きます。そのため本ソリューションでは、リアルタイムな測位・解析をはじめとし、安全管理を強化する機能を組み込んでいます」と冨田氏。

今回の受賞は「uS1GMA powered by SRM」を活用し、IoT分野の先進的なフォークリフトの稼働監視システムを展開した取り組みが評価された。フォークリフトの移動を把握することで、稼働管理と安全管理の両面で成果を生み出している。

稼働管理については、現場ごとにフォークリフトが適正台数で運用されているか確認できるようになり、今後は季節変動などに対応した運用計画の策定やランニングコスト削減にもつながっていく可能性があるという。また安全管理については、フォークリフトの急制動を検知し、重大事故発生前のヒヤリハット時点で安全の徹底に活用できる。

このほか製造・物流現場における「uS1GMA」の活用シーンとして、工場の倉庫でモノの位置を検出することで、製造に用いる部品が広い倉庫内のどこに置かれたのか探し回るムダをなくす用途に使われるケースもある。「この事例では探す時間の9割を削減し、従来の20分がわずか2分になったという効果が出ています」と冨田氏。また、物流のピッキングは人が歩いている時間が7割、実際のピッキング時間は3割ともいわれるが、「uS1GMA」で人の動きを把握し、最適化することで、生産性が大きく向上するケースもあるという。

「uS1GMA」のクラウド化に際してIIJの「産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」を採用し、システムを構築した理由について冨田氏はこう語る。「クラウドにデータを集めていくうえで、やはりお客様は現場とデータの保存先や通信経路の安全性に不安を感じます。その点、IIJならデータセンターを国内で運用しており、データが他国に出ることがないうえ、通信にはセキュアな閉域網の回線を利用できるので、大きな安心感があります。当社としてもIIJのソリューションを活用することで、お客様にデータの安全性をお伝えできるのはもちろん、保守にまつわる対応やコストの削減にも大きなメリットを感じ、今回の共同開発に発展しました」

受賞対象となったフォークリフトのシステムは、同社とIIJ、および導入企業の3社で協議しながらプロジェクトを進めていった。その過程でIIJが3社間の課題共有や調整、スケジュール管理などの旗振り役を担い、プロジェクトが円滑に進んだことも冨田氏は高く評価している。

「当社単独では実現できなかったソリューションであり、IIJには感謝しています。今回はIoT分野の取り組みの新しさに加え、従来からインフラに強いIIJが、ソリューションを共同提案する際のビジネスパートナーとしてのポテンシャルを評価してくださったと考えています。今後は実績面も評価されるように、新たな機能を継続して取り込み、多くのユーザーに使っていただけるソリューションとして成長させていきたいと思っています」と冨田氏。今後については同社の強みであるマルチデバイス対応をさらに推し進め、カメラ映像との連携を視野に入れている。さらにその先にはAIを活用し、現場の状況のより高度な分析への進化も見据えている。

「日本の製造業・物流業は自動化による効率化は進んでいるものの、スマートファクトリーやスマートロジスティクスの実現にあたっては、工程間にはまだムダもあるため、その改善や全体最適化に当社のソリューションを活用していただけます。それを実現するうえでIIJは大切なパートナーです。当社とIIJのWIN-WINな関係をさらに発展させ、日本の製造業・物流業の競争力向上に寄与していきたいと考えています」(冨田氏)

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