Google Cloudの最上位パートナー認定を受けているクラウドインテグレーターG-gen(ジージェン)は、サーバーワークスの小会社として昨年8月に設立された。本稿では、グーグル・クラウド・ジャパン 上級執行役員 パートナー事業本部 石積尚幸氏を招き、Google Cloud にとってパートナーとはどのような存在であるのか、そしてG-genへの期待について、G-gen 代表取締役 羽柴孝氏と語り合ってもらった。

Google Cloudにとってのパートナーの意義

羽柴氏:石積さんはHP(ヒューレット・パッカード)に26年、オラクルに12年と、両グローバル大手ベンダーにおいて長きにわたり、主にエンジニアリングやカスタマサポートの責任者を務めてきました。それが日本オラクル副社長だった2020年9月に、グーグル・クラウド・ジャパンに移籍して、上級執行役員として主にGoogle Cloudのパートナービジネス全般を統括する立場となりましたよね。そのきっかけは何だったのでしょうか。

G-gen 代表取締役 羽柴孝氏

G-gen 代表取締役 羽柴孝氏

石積氏:実際のところ、そろそろ引退しようと考えていたのですが、縁あってGoogle Cloudから声がかかったときに、改めて自分が携わってきた日本企業のIT活用の進展状況について振り返ってみたのです。海外と比べると日本の顧客のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は進んでいない傾向にあり、その大きな理由として挙げられるのが十分なクラウド活用ができていないことにあるなと。であれば、これまでお世話になった顧客企業やパートナーなどの皆さんに恩返しするためにも、日本のクラウド活用の高度化に少しでも私のネットワークなどがお役に立てればと思った次第です。そうしてGoogle Cloudに来て1年半ほどになりますが、この1年はエンタープライズの世界でクラウド利用が急速に普及しました。

羽柴氏:まずはGoogle Cloudのパートナービジネスの全体像を教えてください。どのような方針を持ち、どのような顧客をターゲットにしているのでしょうか。

石積氏:Google Cloudは自社ではSIビジネスをやっておらず「パートナーファースト」を掲げています。グーグル・クラウド・ジャパンの日本代表である平手智行氏も、2019年11月の就任時に、「Google Cloudには個々の技術としては素晴らしいものがあるものの、それらをソリューションとしてかたちづくるのはパートナーにお願いするしかない。特に日本市場ではGoogle Cloudの技術を深く理解してソリューションを構成できるパートナーが多い」と語っています。ただ、パートナーとしても、Google Cloudという他社の技術を積極的に売り出すかというと当然なかなかそうはなりませんので、いかにパートナーが自社の製品としてそのコアにGoogle Cloudの技術を用いてもらうかが大事であると認識しています。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 上級執行役員 パートナー事業本部 石積尚幸氏

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 上級執行役員 パートナー事業本部 石積尚幸氏

羽柴氏:Google Cloudのビジネス展開において、パートナーを活用することにより実現する価値、またGoogle Cloudが得られるメリットとは何だと考えますか。

石積氏:まず、今まで長期にわたって培ってきたさまざまなシステムやソリューションが顧客のもとにあるわけで、それらを一番理解しているのがパートナーなんですね。このため業務改革をするにせよ絶対的にパートナーの力が必要になります。Google Cloudの人間というのは自社のテクノロジーには詳しいものの、顧客が使用しているシステムやソリューションには知らないものもたくさんあったりします。そこに、Google Cloudが持つどのようなテクノロジーを組み合わせることで、新たな価値を創出するソリューションが実現できるのかというのは、まさにパートナーならではの発想となってくるのです。

“クラウドファースト”のパートナーとして

羽柴氏:当社の親会社はサーバーワークスであり、クラウドインテクレーターとして15年近い実績があります。ご存知のとおりサーバーワークスではAWSを中心にビジネスを行っているわけですが、そのビジョンであり使命でもある「クラウドを使ってお客様のIT環境をより良いものにしてDXを推進する」というのは共通です。G‐genは昨年8月、Google Cloud専門にソリューションを開発・提供するGoogle Cloudのパートナー企業として立ち上げました。そこで大事にしているのが、社員には我々のソリューションを愛して欲しいということでして、そのもとでGoogle CloudやGoogle Workspaceを提供していくのが我々の使命であるということなのです。

ただ現場でヒアリングをしていると感じるのが、いまのビジネスニーズに1つのクラウドですべてを満たすのは難しいため、マルチクラウドというのは間違いない潮流であることです。そうしたなかでも、Google Cloudはデータ分析を筆頭に優れたサービスが豊富ですので、他のクラウドとも組み合わせやすいと実感しています。

石積氏:G‐genさんは顧客に提供する以前に自社内でGoogle Cloudの各種サービスを使いこなしておられますよね。

羽柴氏:はい、まずは我々自身がきちんとソリューションを使い倒してからお客様に提供していくというのがポリシーとしてあります。なのですべての社員は基本的にGoogleのさまざまなサービスを使い込んでいますし、端末もChromebookだったりします。そしてGoogle Workspaceを中心に、全てクラウドで自分の仕事やコラボレーション&コミュニケーションの環境を構成しているのです。こうして日々我々が使い込んだものを、お客様に提供しています。G‐genがまさしくクラウドファーストの会社ですので、クラウドサービスを実際に活用し、お客様にとっても実のあるかたちとして提供するという点には強いこだわりがありますね。

実のところ創業して1年近くになりますが、社員全員が顔を合わせたのって1回だけなんです。採用もすべてオンラインで行っていますし、営業もリモートで行っています。これもまたクラウドファーストの恩恵であるので、ユーザーとしての実経験値を積んでお客様に提案できるというのはやはり説得力があると自負しております。

マルチクラウドでの国内トップクラスの知見を活かして

石積氏:実際にGoogle Cloudのパートナーとして支援した案件をもとに、G-genさんが間に入ることで顧客から評価された事例も多いと聞いていますが、いかがでしょうか。

羽柴氏:現時点での代表的な支援先事例としては、人材サービス企業のディップ様や、データ収集に特化した画期的なソリューションを開発しているHogetic Lab(ホゲティックラボ)様などが挙げられます。ディップ様はAWSとGoogle Cloudを併用するマルチクラウド環境を構築し、ニーズに合わせてシステムを両クラウドに分散することを考え、AWSをサーバーワークスが、Google CloudをG-genが伴走しながら取り組みを進めています。同様の案件は他の企業でも動き始めているようですね。

一方、Hogetic Lab様ではサービス展開のクラウド基盤としてGoogle Cloudを選ばれました。G-genとは単なるユーザー・SIerの関係にとどまらず、今後は両社のノウハウを共有し、協業も目指しています。

先述したように、親会社のサーバーワークスがAWSを扱っていて、我々がGoogle Cloudですので、マルチクラウド環境に関する知見や経験・ノウハウ、実績において国内トップクラスであると自負しています。我々自身でも使い倒しているしていることから、どのように連携すればコスト面や機能面、セキュリティ面でバランスがとれるかなどもよくわかります。さまざまな連携のパターンがありますが、AWSとGoogleCloudの相性は非常にいいので、2つのクラウドをまたがったセキュリティガバナンスを活かすことができるのも大きなメリットでしょうね。

憧れられるクラウドエンジニアを増やしていくために

石積氏:今日のお話からも、改めてマルチクラウド環境においてG-genさんだから発揮できる価値というものが確かにあると感じられました。また、それと合わせて、エンジニアのイメージというのもオンプレミスとはかなり変わってきているのだと再認識しております。以前のエンジニアは、提示された要件になんとかして合わせていくといった力仕事を行っているようなイメージが強かったですが、クラウドエンジニアというのは、次々と出てくる新しい技術を習得することに集中して、そこで習得した技術を活かせる仕事であり、そして顧客と一緒に仕事を経験するほどにエンジニアの価値が上がっていくイメージです。

そこでぜひG-genさんにはクラウドエンジニアのコミュニティーに積極的に参加してもらい、もっともっと皆が憧れる職業にしていこうではありませんか。

羽柴氏:コミュニティーは本当に大事ですよね。クラウドはまだまだこれからの世界ですので、我々が提供できる情報であればぜひ共有して公開していきたいですね。あと、クラウドシフトしたことで、従来データセンターへの往復にかかっていた年間200時間もの時間と労力が解消され、それだけでもすごく大きな業務効率化だと言われました。そうした力仕事がなくなった代わりに、もう少し上のレイヤーを理解しながらお客様のニーズに応えるのがクラウドエンジニアではないでしょうか。そうしたさまざまな知見や恩恵をコミュニティーに還元することで、クラウドエンジニアを増やしていきたいですね。

石積氏:お互いにさらなるパートナーシップを活かしながら、ぜひ期待しています。

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