防犯目的として、多くの小売店舗に設置されている防犯カメラ。これをクラウドカメラに置き換えるだけで、店舗の見える化や映像データを活用した業務改善など、遠隔業務の可能性が広がる——こう説明するのは、クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を展開するセーフィー セールス&マーケティング本部 マーケティング部 佐藤美帆氏。9月22日にオンライン開催された「リテールDXソリューションカンファレンス 2021」で、クラウドカメラを起点とする『現場に行かない店舗マネジメント』について、実例を交えながら紹介した。

  • セーフィー セールス&マーケティング本部 マーケティング部 佐藤美帆氏

鮮明な映像で遠隔臨店を実現。エリアマネージャーの移動費・出張費を削減

小売業のなかでも、特に多店舗経営を行っている場合、エリアマネージャーの生産性向上が店舗マネジメントの重要なポイントとなる。佐藤氏は、顧客の声を日々ヒアリングするなかで、ここに悩みを抱えている企業が多いことを実感しているという。

「コロナ禍の移動制限、人手不足、物理的な限界により店舗を回りきれないことで、エリアマネージャーが店舗の状況を十分に把握することができず、実際のお客様の反応を正しく把握できなかったり、現場と本社のコミュニケーションが不足してしまったりと、ビジネス拡大に向けての全社的な生産性低下を招いている。現場を把握するエリアマネージャーの業務負担軽減や効率化は、ビジネス拡大のカギを握っており、小売業や飲食業の皆様から我々に一番多くご相談が来るポイント」(佐藤氏)

そもそも、従来の店舗管理は臨店業務がベースにあった。臨店の目的は、本部の指示通りに店舗が運営されているか確認する、店舗運営の課題や問題点を発見する、キャンペーンや新商品に対する顧客の反応を見るといったところにある。つまり、エリアマネージャーの生産性を上げるには、臨店が十分にできない状況のなかで、従来の臨店の目的をどう果たすかという点が問題になる。

そこで、セーフィーでは、こうした課題の解決策としてクラウド録画サービス「Safie」の利用を提案している。Safieのクラウドカメラを活用し、店舗に行かず“遠隔臨店”を行うことで、移動時間や出張費を削減しながらも、店舗の状況を効率的かつ効果的に把握することができるという。

  • カメラ一覧画面。アカウントに紐づくすべてのカメラ映像を確認することができる。

  • 再生画面。リアルタイム映像はもちろん、タイムラインを操作することで、過去の映像をさかのぼって見ることも可能。早送り再生や15秒ごとに進んだり戻ったりすることもできる。

佐藤氏によると、小売業ではSafieの2つの機能が特によく使われているという。

1つめは、カメラの映像を複数人で共有する「シェア機能」。権限を細かく設定できることが特徴で、たとえば、エリアマネージャーや店長が確認できるのは自身が担当する店舗の映像のみ、現場のスタッフが確認できるのはそのうちリアルタイムの映像のみ、などといったように役割に合わせて権限を設定することで安全な運用が可能となる。共有された人は、自身のPCやスマホから映像を確認することができる。

2つめは、撮影した映像の一部を切り出して保存する「ムービークリップ機能」。切り出した映像はSafieのサービス画面上で確認できるほか、MP4形式の動画ファイルをダウンロードすることも可能。重要なシーンを切り出して、トラブル発生時の証跡の確保や、良い接客をした際のナレッジシェアなど、さまざまな目的で使うことができる。

防犯対策に留まらない、クラウドカメラ活用術

続いて佐藤氏は、Safieの活用事例や活用アイディアについて紹介した。

まずは、もともと防犯目的でSafieのカメラを設置した大手アパレル小売店の事例だ。同店はSafieの導入以前にも防犯カメラを設置していたが、店内のレイアウトを変更すると死角ができてしまい、万引の被害を防げないという課題を抱えていた。そこで同店はSafieを導入し、レイアウト変更に合わせてカメラの位置を自在に動かすことで、万引率の半減につなげたという。

このように、同店のSafie導入の当初の目的は防犯カメラとしての活用だったが、映像をいつでもどこでも確認できる利便性により、副次的な効果も生まれた。それは、エリアマネージャーが臨店しなくても店内状況を確認できるようになり、改善提案や教育がより容易になったことだ。また、洋服の陳列棚が乱れた際にすぐに整理に向かったり、バックヤードにカメラを設置して配送商品の荷受けを無人化したりといったさまざまな活用にまで広がっているという。

さらに佐藤氏は、複数店舗の同じポイントにカメラを置くことで、店舗ごとの違いを比較するという方法を紹介する。

臨店では、エリアマネージャー自身が足を運んだタイミングでしか店舗の実際の様子がわからないが、カメラの映像を使えば、顧客の入り状況やレジの回転効率、作業タイミング、スタッフの活気、POPのわかりやすさなどを店舗ごとに見比べながら、よりよいオペレーションを構築することができる。

  • Safieの画面例。タブで画面の切り替えもできるので、エリアごとに映像をまとめて比較することも可能。

その他のアイディアとして、本社による店舗指導の効率的な実施に活用するというものもある。本社から遠隔で店舗の様子を見ることができるため、遠隔で改善点を発見して指導し、さらにそれがきちんと反映されているかどうかを店舗に巡回せずとも確認できる。従来は、現場スタッフが臨店に向けて前もって準備してしまうことにより普段の様子がわからないという課題もあったが、Safieの映像では日常的に店舗を把握できるため、実態に即したより質の高い指導のPDCAサイクルを回していくことが可能となる。

ある大手飲食チェーンでは、かつて地方店舗のQSCチェックのために本社の社員が毎週出張し、紙と写真により報告書を作成、約4700万円の年間臨店コストを投じていた。しかしSafieで遠隔臨店を実施し、映像を利用して報告書を作成するようにしたことで、臨店コストを約60%削減することに成功したという。

また佐藤氏は、焼肉ファーストフード店「焼肉ライク」での活用事例を紹介した。同店の特徴は、注文から3分以内という提供スピードの早さだが、これはオペレーションが徹底的にマニュアル化されているために実現できている。同店ではここにSafieを活用し、マニュアルが守られているかどうか映像を通して確認。毎週の店長会議で、3分以内に提供できなかった事例を検証し、接客・会計の優先順位付けやスタッフ間のコミュニケーション方法などを見直すことで、サービス品質の向上につなげているという。佐藤氏は「これまで共通のファクトとして見ることができなかった事象を映像で可視化し、すべての関係者で確認できるので、業務のボトルネックがわかる」と説明する。

クラウドカメラによる「現場DX」の広がり

クラウドカメラは、API連携やAIとの組み合わせにより、さらなるDXを推進するツールとなり得る。Safieでは、シフト管理ツールや万引防止アラートツールなど、さまざまなソリューションとの連携を開始している。2021年7月には、「Safie AI People Count(セーフィー エーアイ ピープル カウント)」というオプション機能をリリース。クラウドカメラにAIを掛け合わせることで、特定のエリア内にいる人数を自動カウントして混雑状況を一目で把握できるというもので、スタッフ配置の最適化などに活用できる。

防犯カメラの延長線上にあるというイメージが強いクラウドカメラだが、遠隔から現場の状況を把握できるようになるということは、今回紹介したようにさまざまな用途で活用できる可能性を秘めている。佐藤氏は「技術の組み合わせで将来的にDXを繰り広げていくことが可能」と、DXにも大きく貢献するものであると強調する。

Safieは、電源とインターネットに接続するだけで利用を開始できる。また、現地調査や設置工事にも対応しているので、店舗の現場DXを今すぐ始めることが可能だ。興味のある方はぜひこちらから問い合わせてみてほしい。

[PR]提供:セーフィー