現代のビジネスにおいて、デジタルテクノロジーの活用は不可欠。デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むためにも、IT環境のモダナイゼーションが必要になる。そのドライバーとなっているのがクラウド活用だが、クラウドへの移行は課題も多く、実は期待していた効果が得られていないケースも見受けられる。

2020年9月8日に開催されたWebセミナー「マイナビニュース スペシャルセミナー クラウド移行、成功と失敗の分岐点」では、IT環境のクラウド移行がなぜ失敗するのか、そして成功するためにはどのようなアプローチで取り組めばよいのかをテーマに、数々のセッションが展開された。

本稿では、ヴィーム・ソフトウェア株式会社 システムズエンジニア本部 システムズエンジニアの卯花 渉氏によるセッション「クラウド移行を本当の意味で成功に導く考え方とベストプラクティス」の内容をレポートする。

ビジネスを止めないための災害対策、鍵を握るのはハイブリッドクラウド環境の構築

仮想インフラのバックアップ製品からスタートし、現在はクラウド・データ・マネジメントにおけるリーダーとして数多くのソリューションを提供しているVeeam Software(以下、Veeam)。その日本法人となるヴィーム・ソフトウェアの卯花氏は、講演の冒頭で日本企業が考えるべき課題について語る。

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 システムズエンジニア本部 システムズエンジニア 卯花 渉(うばな しょう)氏

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 システムズエンジニア本部 システムズエンジニア 卯花 渉(うばな しょう)氏

「日本国内においては、近年も台風・豪雨・地震などの自然災害が続いており、多くの企業は災害対策に取り組んでいますが、その対策は日本国内で完結しているものが多いと思います。ところが、海外における災害や社会情勢の変化により、機器の調達が滞るなど国内IT企業のビジネスに影響を与えるケースも少なくありません。昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大など、世界には数多くの脅威が存在しています」

こうしたグローバル経済のリスクを前提に「ITインフラを維持するための対策を行うべき」と卯花氏は力説する。国内のデータセンターのみの災害対策では、業務の継続性を十分に担保することはできないと語り、パブリッククラウドと連携するハイブリッドクラウド環境の構築を推奨した。仮に「地域単位の災害/紛争に備える」という観点で、異なる地域の”オンプレミス環境”へ移行すると考えたら、膨大な予算と人的リソースが必要になることは容易に想像がつくだろう。パブリッククラウドを活用し、それを介するいわゆるハイブリッドクラウド環境を実現することが、実は最も経済的であり、事業継続性が高くなると卯花氏は話す。ただ、そのハイブリッドクラウド環境の実現には、基盤が異なるという別のハードルがあるが、Veeamではそれを容易に実現できるソリューションを展開している。(詳細は後述)

新しい生活様式を実現するリモートワーク環境の構築も、クラウド移行で実現

さて、ここで昨今のコロナ禍の課題も踏まえた「新しい生活様式に合わせたリモートワークの推進」というミッションを考えてみる。コロナ禍も相まって、リモートワーク環境の構築はあらゆる企業にとって喫緊のタスクとなった。それを実現するキーテクノロジーのひとつが仮想デスクトップ環境の導入であるが、それには多くの時間と予算が必要になると卯花氏は話す。この課題を解決するためのVeeamからの提案として、既存の業務サーバーと業務PCをパブリッククラウドへ移行させるというソリューションを語った。

「業務サーバーのクラウド移行は、Veeamを活用すればほんの2ステップで可能です。また、物理PCに関してもVeeamを利用すれば、容易に仮想化環境への移行ができます。Veeamでは基盤の環境に依存しない汎用的なデータフォーマットを実現できるため、バックアップした物理PC環境を、そのまま仮想化環境やクラウド環境にリストアすることができます。これがVeeamを使うと容易にマイグレーションができる背景です」

  • クラウドマイグレーション01

オンプレミスやプライベートクラウド上のサーバーや仮想化環境のバックアップデータは、保存先となる「Veeam リポジトリ(Repository)」に集約。そこからAzureやAWSといったパブリッククラウドに簡単にリストア(クラウド移行)ができる。もちろんそれは一方的な移行ではなく、クラウドからオンプレミスへの移行も可能である。

このように、Veeamを活用すると、コストと工数を最小で、これまで使ってきた業務環境をパブリッククラウド上に構築するハイブリッドクラウド環境の実現が可能になる。

講演の後半では、これまで語ったソリューションを、実際の画面を用いて実演した。オンプレミス環境にある仮想マシンのバックアップデータを、AWS環境へリストア。オンプレミスで運用していた仮想マシンがAWSのインスタンスとして起動したことを、その場で確認した。

  • クラウドマイグレーション02

さらに、物理PCのクラウド移行も実演。物理PCにVeeamのエージェントをプッシュインストールしてバックアップを取ったあと、クラウド上にリストアして起動することを解説した。

どちらもコンソール画面から非常にシンプルな操作で実行されており、Veeamの提供するソリューションが、クラウド移行の難易度を大幅に下げてくれることを理解できた。

Veeamが提供するクラウド・データ・マネジメントプラットフォームは、クラウド移行を成功させ、企業に大きなメリットをもたらすためのひとつの解といえる。卯花氏は「クラウド移行を成功へと導くためには、従来型のツールではない新しいデータマネジメントソリューションを活用していくことが重要です。Veeamは物理・仮想・クラウドを問わず、データマネジメントを実現できる信頼できるソリューションを提供し続けていきます」と語り、セッションを締めくくった。

[PR]提供:ヴィーム・ソフトウェア